36話
「クックックックッ...これでもうこの国に私を邪魔する者はいない。さてテストがてらこの国を滅ぼして我が城に戻るとしよう」
アルフォードが上空に真っ黒な穴を開けると、穴の中から見るのもおぞましい化け物が限り無く降ってくる。
「さぁ!!お前達!!、この国で好きなだけ暴れるがいい!!」
アルフォードが両手を広げて宣言すると理解したのか化け物達は明かりの灯る街へ一斉に移動を開始する。
「眠い...」
「ん?」
この場に合わない声色で呟かれたセリフにアルフォードは振り返る。
「チッ...アレを食らって生きているとは運の良い奴だ。
お前達、あのガキから血祭りに上げろ!!」
「ググググ!!!」
「シシシシ!!!」
「ゲケゲゲ!!!」
様々な奇声を上げながら化け物が和樹に襲いかかる。
「せっかく良い気持ちで寝ていたのに、どいつもこいつも邪魔しやがって...」
「テテテテ!!!」
化け物の一匹が和樹に鋭利な爪で切りかかるが和樹は何もする事なく、攻撃を受け入れる。
「テテテテ??」
しかし、化け物の鋭い斬擊は和樹の体に触れる事無く爪がバラバラに砕け、さらに化け物から黒い何かが抜け出ると化け物は空気に霧散して消えた。
「何が起こったのだ?、貴様、一体何をしたのだ?!」
アルフォードが激怒するなか化け物はアルフォードの命令に従い次から次に和樹に襲いかかる。しかし、和樹は何もする事なく化け物の攻撃は和樹に触れる事無く無効化され化け物は黒い何かを抜かれ消える。
「不味いなぁ~、コイツらの魂は...」
和樹の何気ない呟きにアルフォードは悪寒を覚える。
「(こいつ、吸魂鬼に目覚めたというのか?!)」
アルフォードの額からイヤな汗がジワジワとにじみ出る。
「こいつが最後か...」
軽く数百はいた化け物の群れがあっと言う間にいなくなり、アルフォードと和樹だけが残される。
「フフフ...あはははは...実に良い、実に良いぞ小僧!!」
アルフォードは突然笑いだして和樹を見据える。
「これだけの強者血の血を吸えば私は更なる「とっとと死ね」」
和樹はまだしゃべっているアルフォードに一瞬で近づき、心臓を貫く。
「グフッ!!」
アルフォードの口からおびただしい量の血を吐き出して膝を地面に付く。
「まだだ...この程度で勝った気になるなよ!!、私には黒血の真珠が「これの事か?」な?!」
和樹はアルフォードの体から手を抜き取り黒血の真珠をアルフォードに見せる。
「お前がどんな手を使おうが吸血鬼を補食するために生まれた吸魂鬼の前では無意味、さっさ死ね!!」
和樹は黒血の真珠を砕きアルフォードの首を跳ねた、そして体から出る白いモヤモヤを掴み口へ運ぶ。
「美味くもなければ不味くもない...」
「そちは...和樹なのか?」
アルフォードの魂を食した和樹に白は恐る恐る訪ねる。
「いや、俺は和樹の体に眠る者...訳は分からないが目の前にうるさい吸血鬼がいたので食べた。なんか起きてるのも面倒臭くなってきたので俺はまた寝る」
そう和樹は言うとまるで何かに取り付かれていたかのように和樹は地面に倒れた。
「アレが和樹の体に眠る吸魂鬼...」
白は意味深く呟くと満天の星空を眺めて深いため息をついた。
「面倒臭がり屋の吸魂鬼とは、和樹らしいのう...」
「ここは?」
目覚めた和樹は辺りを見回す。
「起きたか、和樹...」
白は地面を跳ねながら和樹に向かってくる。
「喜べ和樹、此度の戦いは私達の勝ちじゃ!!」
「え?!マジで?...あっ、て言うことはアルフォードはどうなったの?!」
和樹が困惑しながら白に訪ねると白は和樹に翼を突きつける。
「アルフォードはお主が倒した、ついでに黒血の真珠も破壊した、これにて吸血鬼騒動は終わり、めでたしめでたしじゃ!!」
気楽に言った白に和樹は更に困惑する。
「なら俺はどうやってアルフォードを倒したんだよ!!、確か黒血の真珠は破壊出来なかったハズじゃ!!」
「ごちゃごちゃうるさいは和樹!!」
突然白は和樹の頭を口バシでつつき黙らせる。
「とりあえず、今回は勝てた。素直にそれだけ喜んでおれば良い。それにお主の体に宿る吸魂鬼が一時的に目を覚ました。アルフォードは吸魂鬼となった和樹が食い、黒血の真珠は吸血鬼の力で壊した。鍛練しないとやがてお主は吸魂鬼に支配されてしまうぞ...ってなわけで今から町を百周じゃぁ!!」
「全く訳が分からないんですけど?!」
「うるさい!!、とっとと走れ!!」
白は和樹の頭をつつき無理矢理走らせる。
「痛い!!マジ痛いって!!」
和樹は朝日が昇る中、走って行く。
「ふふ、やっぱり和樹君は私の運命の人なのね」
「そうですね、カミーラ様」
走りゆく和樹を見ながらアースはカミーラに答えた。
「あなたが、初めてこの国に来たときから、アルフォードが和樹に倒されるように頑張って来たかいがありました」
「本当ですよ!!、いくらあなたが未来を見ることができるといって、わざわざアルフォードに黒血の真珠を渡すなんて、アホと思いましたわ!!」
「しかし上手く行ったでしょ、私はただカミーラ様の願い通り、アルフォードと黒血の真珠を始末したまです」
アースは薄く笑いながら懐からマスクを取り出す。
「さて、カミーラ様本日も授業がございます、くれぐれも遅刻しないように」
マスクを付けたアースの顔にカミーラは驚く。
「あなた、萩原先生だったの?!」
「そうですよ、この十年間、アースとしてカミーラ様を支え、萩原先生として和樹君を見守って来ました、気づきませんでしたか?」
「気づくかアホ~!!」
カミーラは萩原先生を両手でポカポカ叩く。
「痛い、痛いですよカミーラ様!!」
「あなたが悪いんですよ!!」
カミーラは萩原先生を叩く手を止めて顔をまっすぐ見る。
「はい...すみませんでした...」
素直に謝る萩原先生に対してカミーラは腰に両手を当てて胸を張る。
「ならよし!!」
「あっ、それとこれはカミーラ様のお母様から恋人がカミーラ様に出来た時のの伝言なのですが...「しっかり恋して乙女になりなさい」だそうです」
「アースのバカぁ~!!」
萩原先生は凄まじいスピードで逃走すると突如道で立ち止まる。
「アース!!今から貴方のほっぺたを叩くから甘んじて受け入れなさい!!」
「それは嫌ですね!!」
萩原先生がカミーラを挑発するように言ってカミーラは宣言通り萩原先生を叩こうと近き手を上げてカミーラが振り下ろした瞬間、後ろを走っていた和樹を身代わりカミーラに突きだす。
「うわ!!」
「ごめんなさい!!」
心地よいビンタの音と驚く二人が互いに向かい合う。
「コラ、萩原先生が和樹を身代わりにするから和樹に当たったじゃない!!」
「えっ?!、何で萩原先生が?!」
驚く和樹に萩原先生はマスクを半分だけ外してアースの顔を見せる。
「て、テメェ!!萩原先生だったのか?!」
驚く和樹を面白がりならがらアースはとんでもない爆弾発言をする。
「ちなみに私の本名はアース・フォン・ドラキュラ、原始序列零位の吸魂鬼だよ~」
「「えええ!!!」」
和樹とカミーラの叫びが早朝の街に響き今日も新しい一日が始まる。
おわり
何とか最後まで書ききれました。ここまで読んで下さった読者の皆様には心より感謝を申し上げます。
この作品は私の初めて連載させた昨日で本来は題名通りの主人公が恋した人が敵だった。と言う話にしたかったのですが、書いているうち何故かいろんな方向へ脱線していき不恰好な作品になったことをお詫び申し上げます。
作者自身、この愛敵という作品は初めて連載させた作品ですので手探りで書いてい途中何度も削除したい衝動にかられましたが、こんな作品でも読んで下さる人がいるのに削除するのは非常に申し訳ないと思い、下手くそでも完結させる事を目標にして書いて来ました。
もし、将来、もっと良い作品が書けるようになったら。この愛敵と言う初めての作品をリメイクして今度こそ、思い描いた作品にしたいと思います。
周一の連載で約半年間、本当にありがとうございました。
作者コモルー




