32話
「あのジジイふざけやがって!!」
時刻は十二時を周り、目が覚めた和樹は白に一郎の事を訪ねたとところ、白は重苦しい雰囲気で、アルフォード達吸血鬼と一郎達率いる人守衆、大森林、近衛組の連合が今日の十二時に大里山似て衝突すると聞き、和樹はいつもの白狐の仮面と黒いマントに吸魂刀を腰に下げて大里山へ向かっていた。
「第一に何だよ、あのふざけた威力の雷は!!、完全に俺を殺す気だったしっ...て一回殺されたか。
それに藍花を使ってアルフォードを呼び出すとか、神苛を守るって約束したのに、一ヶ月もたたないうち破ってどおするんだよ!!」
和樹は自分の思い描いた今と実際に起きている現実の違いにムシャクシャしながら風を切って走る。
景色がどんどん後ろへ流れて行き大里山が見えて来ると山頂付近で強い霊力を持つ者が激しい戦闘を繰り広げているのを和樹は感じ、走るスピードを更に上げて向かった。
一方、大里山山頂ではアルフォードと一郎、紅秋花、アランが一対三で死闘を繰り広げていた。
「はぁ...はぁ...歳はとりたくないのう...」
一郎は血をいたるところから流し、自分の実力不足を呪った。
「言い訳するなら逃げてもいいのよ」
紅秋花も元の綺麗な十二単は見る影もなくボロボロになっており口とは裏腹に紅秋花自身も限界近い。
「ここで我らが負ければこの国はめでたく吸血鬼の物となる...かぁ...」
アランは地面に背をつけたまま口だけ動かした。
「まあ、三人係とは言えこの源子序列第三位の私をここまで追いつめたのは称賛に値します。
正直、自分の血を見るのは十年前の白狐以来初めての事ですよ」
アルフォードは額から流れる血を黒いハンカチでぬぐい、おかしな方向に曲がる足や手首を無理やり直す。
「まぁ...所詮、力の落ちた陰陽師に天狐に成ったばかりの小娘と秀才の騎士では吸血鬼の鬼才たる私に血を流させるだけが限界ということだ!!」
アルフォードは両手を広げて高らかに宣言する。
「さぁ~て、待ちに待った黒血の真珠を頂くとするかぁ」
アルフォードは一郎達はもう眼中に無いと堂々と横を通りすぎ蒼秋花達が守る神苛の元へ歩く。
「まだ終わらせない!!」
紅秋花がボロボロの体に無理をさせて天を焦がす程の火柱をアルフォードの足下から吹き上がらせる。
しかしアルフォードは何事も無かったかのように歩いて火柱から出ると一瞬で紅秋花前に移動し、目視出来ない程速い蹴りを腹に食らわせて紅秋花はうめき声を上げ、倒れた。
「この程度の距離など無いに等しい...それに弱ったお前達など赤子の手をひねるの同等...だ!!」
アルフォードは最後に凄まじい殺気を放ち神苛以外の全ての生物を気絶させた。
「久しぶりだね、カミーラ・アイル・オブ・カーチス...いや、今は神苛藍花と言ったかな?」
アルフォードはいやらしい笑みを浮かべ、神苛のあごを優しく触る。
「触れるな!!穢らわしい!!」
神苛は顔を背けて抵抗すると、アルフォードは不適な笑みを浮かべ神苛の制服を脱がそうとセーラー服のチャックに手を掛ける。
「い...いや...やめてぇぇええええ!!」
セーラー服を脱がし神苛の胸に刻まれている黒血の真珠を確認するとアルフォードは右手を尖らせて神苛の胸に差し込む。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
神苛は悲鳴を上げると気を失い力なく項垂れる。
アルフォードは神苛の悲鳴など聞こえなかったように淡々と胸の中を探るようにかき回して、手先に触れた丸い小さな物を掴み引きずり出す。
「これが黒血の真珠か...思ってた物より正直弱いな」
アルフォードは神苛の胸から取り出した黒い一センチ程の真球を眺めると突然真珠が赤く光だし、神苛もまた共鳴するように赤く光ると、胸に空いた穴が徐々にふさがり、まるで始めから何もなかったかのように綺麗な肌が現れる。
「なるほど...真の持ち主でなければ力を完全には使えないか...
ならカミーラの血を吸いとり、黒血の真珠を我が物とするだけだ」
アルフォードが力なく項垂れるカミーラに近づき首筋に口を近ずけて血を吸おうと口を開けた瞬間、何者かの気配を感じ後ろを振り返る。
「これからが良いところだったのに邪魔するのは何処の誰ですか?」
アルフォードは目の前に立っている白狐の面をつけた男に話しかける。
「....」
無言を返す狐面の男に対しアルフォードは不適に笑う。
「おっと、失礼...私としたことが、警戒のあまり殺気を出してしまっていましたね」
アルフォードは殺気を納めると大胆に狐面の男へ向かい男の面を剥がし和樹の白い髪と蒼瞳が現になる。
「おや?、知らない顔ですねぇ~、貴方は誰ですか?」




