31話
時は少し遡り、和樹と別れたあと神苛は昔じゃ考えられなかった和樹との幸せな時間を思いだし、口元が少し緩み微笑を隠すように手を添える。
すると、曲がり角から和樹と同じクラスの春夏キララがゆっくり歩いて神苛の進路を塞ぐように立った。
「神苛さん、貴方には悪いけど大人しく捕まって」
キララが発言すると、神苛を囲むように白と青の狩衣を来た人達が姿を見せる。
「春夏さん?、これはどういうことですか?」
神苛は謎の威圧を放つ集団に怯え一歩、また一歩と無意識に後ずさる。
「ごめんね、本当はこんなことしたくないんだけど...
この国の未来がかかってるの、諦めてね...」
キララは言い終わると同時に指を鳴らして、神苛を幻術に掛け、倒れる神苛に一瞬で近付き体を支えると部下に指示を出して車に乗せ、大里山へむかった。
時同じくして、とある豪邸の薄暗い書斎室にアルフォードは部下から受け取った手紙に一通り目を通すと、出前の机に頬り投げて漆黒の椅子に座ったまま足を机にのせ、手を腹の前で組んだ。
「ん~~~、実に面白い。
まさかここまで予想通りに事が運ぶとは思わず罠を疑いたくなるよ、そうは思わないかねアテノラ・シール君」
「ハッ!、お言葉ですがアルフォード様、百二十パーセントの確率で罠です!!」
赤髪に金の瞳で執事服を着たアテノラ・シールはアルフォードに上品な礼をとる。
「ああ、もちろん私も罠だとおもっているよ。
しかし、罠だとしてもここまで大袈裟に罠だと分かるように手紙を寄越してくるとは私と国を掛けて戦争する気みたいだね」
アルフォードは足を机から下ろすと椅子から立ち上がり特に意味もなく書斎をふらふら歩く。
「私の予定ではカミーラ王女を泳がせる事で一刻も早くこの国から私を追い出したいあいつら(人守衆、大森林、近衛組など)は王女を捕まえ私に出ていけと強力をするようにみせかけ殺す、っと予想していた訳だが...」
アルフォードは机に投げた手紙をとり、アテノラに投げる。
「読んでみな」
アテノラは手紙を開き目を通す。
「今夜12時似て、大里山で王女カミーラを引き渡す...ってこれだけですか?」
アテノラは視線をアルフォードに向けて訪ねる。
「その通りだ、君も王女を取引の材料にして私を巧妙な罠にはめる気だとは予想はしていたのだろう...しかし、実際蓋を開けてみれ堂々と、お前の欲しい者は我々の手にあり場所も用意した、だから勝負しろ!!っと言って来たわけだ」
アルフォードは部屋の隅においてある本棚に近づいて上から二段目、右から五番目の黒い背表紙の本を手に取り黒い笑みを浮かべる。
「今宵の月は紅いかな」
時刻は十二時間近、大里山の山頂では篝火が円形に立てられ中央に、近衛組大将、アラン・リグレー。大森林頭、紅秋花。人守衆総長、西原一郎がたっている。
そして、円から少し離れた所に、近衛組副将、木村総司。大森林若頭、蒼秋花。そして人守衆、参の文字を背負う次元大五郎、肆を背負う須藤健次がおり、全員の中心に置かれた椅子に神苛は座らせられ、手錠をはめられていた。
「あの~すみません、お尻が痛くなってきたのでそろそろ立ちたいのですが...」
神苛は正面にいる次元と須藤に話しかけるが、我慢しろと二人から一言言われるだけ全く取り合ってもらえなかった。所で神苛をここに連れてきた春夏キララはと言うと、神苛に手錠をはめて椅子に座らせ動けないように手錠と椅子を固定すると一言「ごめんね...」っと言って森の中へきえていった。
「(和樹君...)」
神苛は今日何回目かも分からなくなった名前を心のなかで呼ぶ。
「(和樹君...たすけて...)」




