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愛敵  作者: コモルー
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2話

体育館に並べられたパイプ椅子に座り、それぞれが最近話題の

アイドル、俳優、ゲームについて話している。


「なあ!和樹、今年もうちのクラスの女子には好みの子、居ないのか?」


山田が後ろの席から話しかけてくる。


「お前そこの席じゃないだろ!」


「良いじゃないか、後ろの席は携帯いじりたい奴が、代わってくれって、言ってきたんだから!!」


「先生にバレたら面倒くさいぞ!」


「どうせ、職員席に座っているし、向こうからこっちは暗くて見辛いから、一人、一人の顔なんか、分かりゃしない」


「俺はなに言われても知らないぞ~」


後ろで何か言っているようだかが無視と決め込み、司会の方を見る。


「えー、続きまして生徒会長の神苛藍花(かみいらあいか)さんに新入生への挨拶です」


舞台袖から、上品な金の髪に美しい藍色の瞳、天使、いや、女神が登場した、


「おい、おい、和樹、滅茶苦茶可愛いくないあの子、どう思う?」


座席から立、前のめりなって小声で話しかけてくる。


(あんな子中学校の時先輩でいたっけ?)


ふと、疑問に思い、あごに手を添える、


「おい、聞こえているのか?」


「えっ?何が?」


「はははーん」


山田がこれ以上無い悪い顔になる、


「お前もしかして」


「お前も気がついたか」


山田の顔を真っ直ぐ見る


「一目惚れしたな!」


「えっ???」


「この山田元気様にはお見通しだぞ~」


山田の右手が肩をつかんできて、ウィンクしながら左手で親指を立てる。


「……なっ?!、ちげぇよ!!」


山田の手を払いのけ奴を睨み付ける。


「ただ……、あの子、俺たちの先輩にいたっけ?、と思ってな」


あごに手を添え、少し考えるそぶりをし、口を開いた。


「確かに、あんなに可愛い子が先輩にいたら、嫌でも小、中、でアイドルになってるな」


「小学校から高校まで同級生がほぼ変わらないこの学校で知らないとなると、あの子は……」


「ああ、間違いない」


山田と和樹はお互いに指を差し合い、


「「転校生だ!!」」


バシッッン!!


「「イッッッタ!!」」


「おい、今は入学式の最中だぞ、外に出されて恥じかきたくなかったら、静かに話を聞け!!」


後ろに学級日誌を丸めて持っている、萩原先生が立っていた。


「先生、痛いじゃないですか!!、体罰ですよ!!、虐待ですよ!!、人種差別ですよ!!」


頭を抑え、萩原先生を睨み付ける。


バシッッン!!


「山田、悪いがこれは教育的指導だ、体罰でも虐待でも人種差別でもない、きちんと山田の両親には許可を得ているぞ」


と、客席の方を親指で指す、そこには山田の母親らしき人が拳を握り、息を吹きかけていた。


ソロ~~リと静かに前を向く


「西原、お前もどさくさに紛れて知らないは無いぞ」


(やっぱり逃がしてくれないか……)


萩原先生に向き直り、姿勢をただす。


「お前も、両親を早くに亡くし、色々とストレスが溜ってやんちゃしたくなるのは分かるが、さめて両親に胸はって顔向け出来るように……」


(あ~~~でたでた萩原先生の分かるぞが、こうなったら面倒くさいだよな)


「はい、そのとうりです、本当にすみませんでした」


先生に向かって頭を下げる。


「まっ分ればいい」


そう言い終わると静かに、職員席に戻っていった。


(そういえば……あの先生も父親を早くに亡くしたって言ってたなぁ……)


一人、何気なく、体育館の天井を見る。


「しっかし、あの先生、いつも、突然現れるよな、どうやっているんだろ」


萩原先生「いかんなぁ……西原の前だと境遇が似ているせいか、少し身内っぽく言ってしまうな~、嫌な教師だぜ」


一人言を呟きなが職員席に座り、自分のクラスの方を優しく見つめる。


「……では、皆さんの此れからのご活躍に期待しています、以上生徒会長、神苛藍花」


それぞれのクラスや客席から盛大な拍手が送られた。


「やっと入学式終わったな~このあとどうする?」


校門に向け歩きながら和樹にたずねる


「おまえは家帰って母親に叱られてこい、隣の父親らしき人抑えるのに必死になってたぞ」


「まっ、大丈夫、大丈夫」


「顔が死んでいるぞ」


「えっ、マジ……」


(お前の母ちゃん怖いもんな……、昔、暗くなるまで遊んでたら、俺の家に乗り込んできて、2時間そのまま正座させられ説教されていたっけ?)


「悪い事は言わない、俺の平和ために死んでくれ」


山田の肩に手を置き、笑顔でウィンクする


「お前、俺の親を殺人か悪魔とでも思っているの、流石にそれはひどくない?」


「じゃあ何なの?」


「あの人は、大魔王……じゃ無くて、天使、女神、聖女かな……」


顔が徐々に苦笑いになり震え出す。


「どうした?、尋常じゃない冷や汗だぞ?!」


「うっ、後ろに……」


「後ろ?」


後ろを振り返って見ると、先ほど客席で拳に息を吹きかけていた女性、

そう、山田の母親である山田幸子(やまださちこ)が満面の笑顔で立っていた。


「あら、久しぶりね、西原君、少し聞き捨てならない言葉が聞こえたきがするけどきっと気のせいですよね?」


顔は笑顔だが気配が殺気立っている。


「あっ……そうですね、何の事だかわかりません」


「そうですよね、殺人鬼だとか、悪魔とか気のせいですよねぇ?」


顔が徐々に近ずいてくる。


「幸子さんみたいな優しいひとをそんな風い言うわけないじゃないですか」


慌てて両手降りながら、必死に弁解をする。


「まあ、今日は特には言わない事にしましょう」


ホッと一息つき胸を撫で下ろす、


「今安心しましたか?」


キリッとした視線でこちらを見る。


「いえ!!、安心などしておりません」


姿勢を伸ばし、幸子さんに敬礼をする。


「まあ、いいでしょう、ところで元気、さっき、何て言ったのかしら、もう一度言ってくれます?」


「えっと……天使、女神、聖女と言いました」


目がかなり動揺してる。


「その前を言ってくれます?」


「その前は……、その前は……」


「大魔王とか言ってましたね……」


「申し訳ありません!!なにとぞ、なにとぞご容赦を!!」


ジャンプ土下座をし地面におでこを擦り付ける。


(どこの侍だよ!!)


「話しは家で聞きます、西原君、悪いけど元気は連れていきますね」


元気の首根っこをつかみ、子猫を運ぶ母親みたいに引っ張っていった。


「元気、お前の死は無駄にしない、骨が残っていたら拾ってやるからな」


二人が消えた方に両手を合わせるのであった。





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