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愛敵  作者: コモルー
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19話

「いや~、あの時は死ぬかと思った~」


翌日、左腕に包帯を巻き布で三角に吊るしている元気が、無駄に元気な声と笑顔で教室に入って来た?


「キララの勘に触るからだよ、生きててよかったなー」


和樹は棒読みで言うと、昨日の事について振り返った。


「(元気がバカしたせいで、各部活動の主将やキャプテンから決闘を申し込まれ、初めに生徒会長の神苛藍花を屋上から落とす原因にもなった柔道部主将橋本健太と戦う事になったが彼は原始序列五十三位の吸血鬼グレド・ジーザスだった、彼はこの学校に、恐らく吸血鬼の王女捜索目的で潜伏し、捜索ついでに生徒の血を吸おうとしていた。

 グレドと俺は異空間でバトルになったが、人守衆で陸の番号を背負う、春夏キララの手により倒すことに成功する。

 その後分かった事だが、グレドは柔道部の部員だけではなく他の部活の主将、キャプテンに根回しをして俺を悪者にし、俺の魔の手から神苛藍花を助け出したヒーローになるつもりだったらしい。

 全く自己中なやろうだ。)」


「か~ずき、お~い」


和樹の視界につき出された手が上下に降られ元気がめっちゃ腹立つ笑顔で、こちらを見ていた。


和樹の平手打ちが元気の左頬に直撃し、元気はおおげさに倒れて机を倒した。


「ひどい、ひどいよ和樹くん怪我人に向かって平手打ちとは酷すぎるよ和樹くん!!」


おねえ座りをし、打たれた頬に左手を当ていじける姿はどこかで見たような昼ドラのワンシーンを思い出させた。


「お前、左腕の骨折は嘘なんだろ?」


席を立ち元気の前まで移動してそう言うと、元気は目を泳がせる。


「えっ、どうしてそう思うのかな?」


動揺している元気に対し和樹は元気の左手を指差し言う。


「骨折しているやつが倒れても腕を痛がる素振りもせず折れているはずの左腕を動かして、手を頬に当てれるか!!」


「......」


「......」


数秒沈黙が続き、元気はため息を吐くとゆっくり立ち上がり席を元に戻した。


「ノリの悪いやつめ!!」


元気がふてくされて言うと、教室のドアが開き萩原先生が入って来た。


「みんな席付け~、転校生を紹介するぞ~」


萩原先生は黒板の前に立つと教卓に首席簿と教科書を置き生徒全員が席に付くと、廊下にいる転校生に手招きをした。


「まだ入学して一ヶ月も経っていないが、ご両親の都合により大里高校に転入する事になった春夏キララさんだ、男子生徒は美人だからと言って発情するなよ、」


すると、赤髪の女子生徒可愛い笑顔で教室に入って来て萩原先生に向かって一言。


「先生、教師が卑猥(ひわい)な事を言っていいのですか?、そもそも私は発情期を迎えた雄猿に襲われても返り討ちにしますので問題無いですよ」


キララの笑顔に昨日の事を思い出したのか、元気は身震いをする。


「そうか!、それはたのもいしな、特にあそこの山田元気と言う奴には...」


「もうシバキましたわ」


萩原先生の言葉をさえぎり、キララは明るい笑顔でこたえた。


「山田...お前って奴は...」


萩原先生は顔に手を当て少し悲しむ素振りをすると、素早く親指を立て。


「青春してるな山田!!、歩く性犯罪者にはならないように!!」


元気はいきよいよく立ち上がり叫んだ。


「誤解だよ、先生は俺の事をなんだと思ってるんですか!!」


「えっ...歩く○○○じゃあない?」


「もっと駄目じゃないですか!!」


和樹「(前略、じいちゃんへ、今日も学校は平和です)」


「おい和樹!、お前からも言ってやれよ」


元気は怒りながらも笑顔で指差ししてくる、和樹はゆっくりと椅子から立ち上がり。


「萩原先生!!、授業初めて下さい!!」


「そっちじゃな~~い」


山田の声は高らかに春の青空へと響き渡った。


・・・・


キーン、コーン、カーン、コーン♪


チャイムが鳴り昼休み入ると廊下が急に賑やかになり、神苛さんが教室に訪ねてきた。


「あの~すみません...西原和樹くんはいらっしゃいますか?」


神苛がクラスの女の子に訪ねると女の子は彼女に見とれて少しボーッとしたあと、慌てて和樹のいる席を指差した。


「ありがとうございます」


神苛は丁寧にお辞儀してから、ゆっくりと歩き、和樹の机に座っている山田の隣に立つと椅子に座っている和樹の目線に顔を合わせる。


「あの...もしよろしければ私とお昼一緒にどうですか?」


視線を反らし、少し恥ずかしがりながらの甘いセリフに和樹は一瞬頭がフリーズするが、ふと、グレドの事を思い出し、神苛の瞳を真剣に見る。


「わかりました、俺もあなたと話をして見たかったので」


二人は教室を出ると例の神苛が落ちた屋上へと向かった。


・・・・


階段を上がり屋上に出て三歩ほど歩いた所で神苛の歩みは止まり振り返った。


「西原君、先日は危ない所を助けて頂きありがとうございました!!」


いきよいよく下げられた頭のあとに彼女が使っているシャンプーの花の香りが漂う。


「いい香り...じゃなかった...頭を上げて下さい、病院でも言ったと思いますが俺はたた目の前で可愛い女の子が死ぬところを見たくなかっただけです、それよりあの手紙の事ですが...」


和樹はゆっくりと柵に向かって歩き、両腕を乗せた。


「ごめんなさいは無いと思います、神苛さん、あなたはただトラブルに巻き込まれただけで悪くはありませんし、何よりあなたを助けた俺の気持ちを否定しないで下さい」


「うっ...ぐすんっ...ごめんなさい...」


神苛は頭を下げたまま涙をポロポロこぼし、和樹はソッと神苛の前に移動するとハンカチで涙を優しくぬぐった。


「泣かないで下さい、謝らないで下さい、そして出来ればあなたの事を聞かせて下さい、どうしてあなたが苦しんでいるのかを...」


神苛は目を真っ赤にしながら小さな声で語り出した、どうして謝るのかを。












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