16話
次の日は様子見と言うことで自宅で休み、怪我から3日目、和樹は再び側に登校した。
「よっ!!和樹!!ずいぶんと早い登校で!!」
和樹が教室に入ると、山田が自分の席から片手を上げて挨拶した。
「よっ!!病院は金が掛かるから精密検査で背中の傷意外には何にも異常がなかったから退院してきた」
いつもどうりに山田に返事するが、今日はクラスの雰囲気が違った、いつもは女子や男子同士でグループを作り、ゲームやファッション、アイドルやマンガなど、それぞれしゃべって要るのだか、和樹が教室に入った瞬間、全員がこちらに視線を向けひそひそと小声で何かを話している。
「ヤァーマーダァ!!、テメェー何しやがった!!」
和樹は山田の席に全速力で向かい、胸ぐらをつかんで上下にゆさぶった。
「えっ...一体なんの事かな...」
山田は和樹から視線を反らすが、目がかなり泳ぎまくっている。
「山田、テメェ、たしか昨日「この山田元気様が取り仕切って準備してやるからな!!」とか言ってたよな!!、何を準備してくれたのかな?、答えてくれるよな!!」
和樹の額に青筋が浮かび満面の笑みで、山田に問いかける。
「えっ、とそれはなぁ...」
山田は渋々自分が何をしたのか語り出した。
五分後...
「...と言う訳で俺は別に悪気があった訳でなくて、でしてね...」
「話長げーよ!!」
和樹は山田の胸ぐらから手を外して、机に叩きつけた。
「要するに、お前は一昨日病室にあったボイスレコーダーで俺と会長の会話を録音しており、昼に校内放送で流したんだよな!!」
「はい...そうです...」
和樹の脳裏に一昨日の会話の内用がよみがえる。
「私を助けたせいで貴方は入院するほどの怪我をしたのですよ!!」
「これくらいの怪我想定内ですよ、それに目の前で可愛い女の子が死ぬ所なんて見たくないじゃないですか...」
「そんなこと言われたら、もう何も言えないじゃないですか...」
山田は力無く頭を下げ、うなだれた。
「それでどうするんだよ...会長は学校のアイドルだ、全クラスの男子を敵に回す事になったぞ!!」
「おーい、席につけ!!朝のホームルーム始めッぞー」
頭をかきむしる和樹に担任の萩原先生は出席簿を叩き込む。
「イッ..ていなぁ~、怪我人をもっといたわって下さいよ、萩原先生!!」
和樹は頭を押さえながら振り向き、背後に立っている萩原先生に文句を言った。
「怪我人なら、なぜ朝から決闘の話が聞こえるんだ?」
萩原先生は親指で廊下に並んでいる屈強な男子生徒を指差した。
「え...」
和樹は恐る恐る萩原先生が指差しした方を見ると、いかにも部活の主将や、キャプテンをしていると思われる男子生徒が、凄い強面でこちらをにらんでいた。
「決闘するのもいいけど、ほどほどにな、骨折とかされると責任問題で俺が面倒くさい事になるから、ただでさえ先日の神苛さんの件でお前が怪我した事で、ハゲ校長から叱責食らったんだから、これ以上もめ事はごめんだね」
言い終わると、廊下にいる男子生徒に教室にもどれと手で指示し、教卓についた。
「それでホームルームを始める」
・・・・
キーン、コーン、カーン、コーン
「あ~、授業終わった~」
山田が席に座りながら背伸びをする。
「なにが授業終わっただよ...」
和樹は山田に暗い表情を浮かべて、愚痴る。
「昼になったら、会長をかけて放課後決闘しようというやからから、決闘状が全ての部活から届くし、クラスの男子からは哀れみに近い眼差しが届くし、女子に関して言えば、俺を見ながらひそひそ話をずっとしてるし、不登校になろうかな...」
「あっ!!、そう言えばその会長さんから手紙を預かっているよ!!」
山田は和樹の席まで移動して、綺麗におられた淡い水色の便箋を取りだし、和樹に渡した。
和樹は受け取った便箋を開き目を移すと綺麗な文字で便箋の真ん中に六文字が書かれているだけだった。
「はぁ...」
和樹は深いため息をつき、目を閉じて深呼吸する。
「こん風に言われたら、逃げも負けも許されないじゃないか...」
和樹は再び便箋を綺麗に畳むと胸の裏にあるポケットにしまい席から立ち上がった。
「まずは俺が怪我する原因を作った柔道部主将からだな、放課後武道館に来いだったけ?」
和樹はポケットから雑に切り取られたノートの切れ端を取り出して決闘場所を確認する。
「決闘状、放課後武道館にて待つ、柔道部主将、橋本健太、間違いないな」
ノートの切れ端をポケットに強引に押し込むと和樹は武道館に向けて歩きだす。
「どうしたんだ、急にやる気だしてさ?、あの手紙には何が書かれていたんだ?」
歩く和樹を追走しながら山田は訪ねる。
「たった六文字だけ、「ごめんなさい」と書かれていたよ」
和樹は意味深く答えると歩くペースを上げて武道館に向かった。




