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愛敵  作者: コモルー
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10話

「さて、ワシらも行くとするかのう……」


一郎が呟き、大竹の元に行き詫びを入れる。


「此度、鯉の間を壊してしまいすまなかった」


大竹に頭を下げる。


「別に構いませんよ、空間が無事であるなら直ぐに直せますので……」


大竹が指を鳴らすと、逆再生するように、地面が平らになり、基礎が出来、柱が立ち屋根が出来、あっという間に鯉の間が出来上がる。


「さすが建築の神様、あっという間に、直してしまうのう……」


一郎は瞬く間に直してしまった大竹の神力に関心する。


「お褒めいただきありがとうございます」


大竹が紳士的に礼をする。


・・・・


「ちょっと大五郎!!これはどういうこと!!」


竜の間、前に戻ると、その場にいたキララが怒りを表にし大五郎に詰め寄る。


「これには訳があって……いてて!!」


「言い訳は聞きたくない!!、事実をはなせ!!」


大五郎の髭を掴み、自分の顔の高さまで引き寄せる。


「キララ……、大五郎を放してやりなさい、理由についてはワシから話そう」


一郎が静かに言うと、キララの後ろで雑談していたメンバーも話をやめて、一郎に注目する。


「皆が何故、集会に参加できず、竜の間に閉じ込められたかについては……皆を守為じゃ……」


「私はコイツらと違って人守衆で陸の継承者!!番号背負う者よ!!何故私がコイツらと一緒なわけ!!」


キララが後ろにいる者達を指差し、一郎に抗議する。


「キララ……お前は全く分かっとらん!!」


一郎の語気にキララは少し後ずさりする。


「キララ……、お前は後ろにおる者達と一緒に紅秋花の霊気に耐える事が出来なかった、その様な弱者が鯉の間にいたら確実に死んでいたぞ!!」


一郎は今までに何があったのかを話した、紅秋花と、アランが集会前に吸血鬼、アルフォードが、仲間を取り返しに来ること、出来れば今日仕留めたい事、一緒に戦える者を選別する事、アルフォードに三人がかりでも仕留め切れなかった事、吸血鬼が王女を捕獲しに来ていて、それに干渉しないこと。


「紅秋花の霊気に耐えれた、大五郎や和樹ですら、アルフォードの前に何も出来なかった、そこにお主らがいて何ができた?、立つ事も出来ずに、ただ倒れいることしか出来なかったじゃろうが!!」


一郎の指摘は的を得ており、キララ達はただうつむいて黙り込むしかなかった。


「これを見よ!!」


一郎が狩衣をぬぎ上半身裸になると、目を覆いたくなるような青いアザが数十箇所に渡ってつけられていた。


「お前達より何十倍も強いワシでも、たった一秒に満たない戦闘でこの有り様だ、この意味分かるじゃろ?」


今、日本で長年に渡り陰陽師の頂点に君臨し続けて来た、西原一郎ですら、アルフォードと言う吸血鬼に勝てない、この事実を突きつけられ、キララ達は事の大きさを初めて実感した。


「そんな化け物……どうすればいいのよ……」


キララは頭を抱えて座り込む。


「幸い、奴らはこの国を侵略しに来たのではない、ただ王女を捕らえる為に来たそうだ、お互い何もしなければ戦いにはならない、くしくも奴の提案に助けられる形になってしまったわい」


一郎は狩衣を着直すと、何も言わずにこの場を立ち去った。


「キララ、何も負けると決まった訳じゃない、奴と戦うまでに強くなればいい、それだけの事じゃないか?」


和樹はキララの目線に合わせて、話しかける。


「あんたは、ポジティブでいいね、一郎さんは、五十年に渡って陰陽師の頂点に君臨し続けて来た、半分人外の化け物よ、その化け物ですら、殺せない相手をどうやって倒すのよ……」


「五十年に渡って頂点に君臨していたとしても、これからも君臨し続けるとは限らないだろ?、俺はいつかではなく、そうだな……今年中に一郎より強くなる!!」


「はいはい、そうですね、あんたおかげて希望がもてた、私疲れたから帰るね……」


愛想の欠片もない、見事な棒読みで言うと、さっさと出口に向かって歩いていった。


「冗談出はなく本気なんだがね……」


和樹は苦笑いして、キララの後を追った。


・・・・


「和樹お帰りなさい、集会はどうだった?」


集合場所の神木に戻ると白が声を掛けてきた。


「白、お前今までどこに行っていたんだ?」


「何か嫌な予感がして、刀を取りに戻っていたよ」


白がそう言い足に掴んでいた、刀を和樹に投げる。


「ありがとう、だがこの刀は家に置いてきて正解だったよ」


和樹は白に集会で何があったのかを話した。


「……ってな訳でお互い干渉しない事になった、この刀があった所でアルフォードには勝てなかったし、むしろ、この刀の力に気ずかれていたら、間違いなく、殺されていた……」


受け取った吸魂刀握り締め、鈍く紺色に光る鞘を見つめた。


「吸魂刀は世界に三振りしかなく、魂ある物すべてを喰らい塵に替える……その強力な力の反面、刀は使用者を選び、使用者意外が使えば魂を食われる代物、手に入れても使える者は滅多にい無いが……」


白は刀を見つめる和樹に視線を向ける。


「俺は使える……、だが俺はまだこの刀に頼ってばかりだ、頼らなくても魔物を刈れる様に成らないと……」


和樹は腰に鞘を差し、白に視線を向ける。


「さぁ、家に帰ろうか、明日から忙しくなりそうだ!!」


和樹は仮面をつけ直し、桜の舞う夜空に飛び出した。






























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