二人の恋人
高校生の俺は、何の変哲もない、文化研究部なる部活に所属していた。
なんでも、比較文化研究を行うだけの部活なのだが、それゆえだろうか、人気が全くなかった。
2年生に上がった俺は、どうにかして部活を存続させようと考え、引退間近の部長と共に、やっと2人の女子部員を入部させることに成功した。
そして、1ヶ月後、ひっそりと部長は引退した。
それからはかなりのんびりと部活をしていた。
といっても図書館から本を借りてきて、あーだこーだ話し合うだけの部活だから、それぞれが自然と仲良くなっていく。
部長引退から2ヶ月後、いつも通りに高校へきた俺は、下駄箱の俺のところに、封筒が入っているのを見つけた。
いわゆるラブレターというものらしい。
ゆっくりみようと思い、いったんポケットにしまって、教室へと上がる。
机の中を確認すると、そこにもラブレターがあった。
授業中、そのラブレターを二つとも開けてみた。
後輩たちから、今日の放課後に部室で待ってるという内容だった。
待ち合わせ時間も同じときた。
どうしようかと考えながら、のんびりと考えることにした。
時間はあっという間に過ぎ去って、もう放課後となった。
どうしようか考えながら部室へ向かうと、中から口論の声が聞こえる。
「来たぞ、二人とも」
ドアを開けて、中にはいると、後輩二人が部屋の真ん中で机を挟んで言い争っていた。
俺が入ってくるとすぐに喧嘩を中断し、俺を見つめて言った。
「先輩!あたし/私のどちらと付き合ってくれますか!?」
見事なハモりっぷり。
再びいがみ合う二人を見て、慌てて俺は言った。
「二人とも好きだから、ここで決めてっていうのは無茶だ。とりあえずは喧嘩をやめろ」
俺の言葉を聞いておとなしくなったが、すぐに一方的な宣言が後輩の片方からあった。
「じゃあ、勝負よ!先輩がどっちを好きになってくれるか、どっちとちゃんと付き合ってくれるか。この1年で決めてもらいましょ」
「のぞむとこよ!」
二人はキッと俺をにらみつけてきて、そう言い放った。
大波乱の予感しか、感じなかった。