表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの革命 【改訂版】  作者: 片山 碧
31/45

11時

「なぁ、ガモウくん、飛行機を乗っ取ってどこに行くつもりなんだ?

俺には君たちが何をするか解らないんだよ。

飛行機を乗っ取るってのはそんな簡単じゃないんだぞ。

運よく離陸できたとしても、行った先で着陸を拒まれたらどこにも降りられない。」


憐れみの籠もった様な眼で僕を見ながら言った。


「解ってます」


「…昔あったハイジャックで某国に飛んだ事件もあったが、はっきり言って、時代も違うし、パッと出の君たちとあのグループとじゃ違い…」


「だから、解ってますよ。」

僕は藤堂の話を遮った。


藤堂は少し鼻白んだ様だったけど黙った。


そんな事言われなくても解ってるよ。最初からさ。

「藤堂さんとアロハの…虹川さん、あなた方には人質になって貰います。

約束通り羽田に着いた時点で解放します。

いいですね。」


藤堂も虹川も頷いた。

クーに言って二人共縛ろうとした。


…いや…待てよ

「虹川さん」


「ん?」


「マイクロバス運転できますか?」


「ああ出来るよ。…二種免許は持ってないけどな」

小さな目をパチパチさせながら言った。

彼独特のジョークだったみたいだ。


だけどこれで計画は一段と楽になった。


警察官が運転手ってのが一番信用できないからね。


藤堂と虹川、藤井たち3人、武田たち3人の合計8人。見かけ上の人質だ。


まーくとヨシを呼んで脱出について相談した


基本的には僕が事前に立てていた計画なんだけれど、あくまでも僕が最後に一人で脱出する為のものだったから立て直す必要があったんだ。


僕の元の計画は順番に仲間を拘束してから武田だけを連れて…そう、友田の様に破れかぶれで出るつもりだったんだよ。


まーくが言った荒い計画…それはその通りだったんだ。


なぜなら本来なら仲間とはそこで別れるはずだったからね。


計画というのに型があるかどうかは解らないけど、僕の立ててた計画の最後は破滅型みたいな感じだった。

どうにでもなれという感じと言えば分かり易いだろうか。

その計画を、言い換えたら成功型に切り替えるのはなかなか大変な事だったよ。


しかも時間がないからね。


計画ができるとクーも呼んで4人で最終的な打ち合わせをした。


話し合いが終わった時、「なぁ、ガモ、ほんとに着替えなきゃダメかい?」


まーくがため息をつきながら言った。


僕が頷くと更に落ち込んだみたいだった。



「最後の大博打だ。これから移動をはじめる。

僕と田頭と伊東。

まーくと、武田、工藤、山本。

クーと藤井。

ヨシと藤堂さんと虹川さん…の四つに分ける。」


「車は…パトカー、バス、コンビニのトラックとセダンな。」ヨシ



「最初の車がパトカー運転手は警官、これにクーと藤井。

二台目がバス、運転手は警官、これにまーくの班。

三台目がセダン、僕が乗る。

最後はヨシの班でトラックだ。」


準備に入る


まーくは嫌そうな感じで購買に向かった。


藤井たちも立場上、手を緩く拘束する。


ヨシと二人で武田たちを引きずって来る。


そこに職員室側から女子生徒が顔を覗かせた。


「…こんなのでいいのかよ?」


「うわっ!まーくかわいいじゃん!」

ヨシが言う


「うんうん。ショートの女の子にしか見えないょ」

クーも笑いながら言う


「馬鹿か!僕の気持ちにもなってみろよっ」


そこには真っ赤になって怒る女子生徒の制服を着たまーくが居た。


まーくに女子の制服を着る様に指示したんだ。


本当はヨシも、と思ったけどあの身長だとすぐバレるだろうから諦めた。



移動する時、犯人と人質が解らなくするのが目的だ。


藤井たちもクーもまーくにもバンダナで顔を隠す様にした。


これでパッと見では誰が犯人なのか解らないはずだ。

警察も不用意には狙撃できないだろう。


まーくが昨日、精神的圧力をかける為に使った黒い箱…赤色のLEDが点滅するやつをいくつか持ってきて女の子たちの首からかける。

本当は全く意味はないが知らない人からみたら、何なのか解らない分、怖いだろう。


クーに指示してタクティカルベルトを外させた。


見た目は人質の女の子たちと同じにする。

これで更にまーくとクーは狙撃される可能性は下がる。

僕とヨシは仕方ない。


学校を出たら警察はいつ強硬手段に出てくるか解らない。

ただで羽田に着けるとは思っていない。

藤堂が言った様に飛行機を使っての移動はそんな容易じゃない。

リスクが大き過ぎる。

最初からハイジャックするなら少し違うのかも知れないけど。

警察だって形振り構わず阻止するだろう。

高校生にいいように右往左往させられた挙げ句、飛行機まで乗っ取ってどこかに亡命でもされた日にはメンツも何も無くなる。

もし飛行機に乗り込んだって、警察の手が入ってるんだ、換気システムに催涙ガスや麻酔ガスを仕込むのだって、ギャレーや貨物室に特殊隊員を隠しておくのだって自由自在だ。


…そんなリスクは元から背負う気はないよ。


ただ、普通の高校生がちょっとかじった知識で飛行機を乗っ取って逃げようと考えたら、こうするだろうな。と言うのを実際に警察にアピールしてるだけだ。


そんなアピールに警察が乗ってくれるといいのだけれど。

…僕らは警察の裏をかかなきゃ。



仲間たちの表情は固い。


テレビモニターに羽田の格納庫前にジェット機が引き出されて来たのが映っている。

ボーイング777の民間機だ。僕は携帯を取り出して吉岡に電話を入れる。


「準備はできましたか?」


『…ああ。ジェット機の準備は進んでる筈だ。』

苦々しい様な言い方だ。


「次の指示です。」


『なにっ!?』


「南関東銀行羽田空港支店と浜松町支店から米ドルの100ドル紙幣で百万ドルをすぐ、飛行機の脇まで持って来させてください。足りなければ天王洲支店や大井町支店を使っても構いません。

たかだか百万ドルです。30分もあれば充分でしょう。

ちなみに見張りがいるので動きが無ければ取引は中止して人質は順番に射殺します。」


これはヨシが提案したんだ。

「お金も奪うってどうだよ?警察の動きも変わるだろ?」って。


その話にまーくが計画を付けたんだ。

時間をタイトにして警察に考える時間を与えない。

警察の人員をそっちにも振り向けないといけない。

お金を奪うのが目的じゃなくて警察への陽動が目的なんだ。

だから誰も銀行の監視なんかしてない。


『…』


「あと、世田谷通り…都道3号線、玉川通り246号、首都高3号渋谷線、谷町から都心環状線、首都高1号羽田線、湾岸線を経由しますので通り上の警察車両は全て排除してください。追尾も禁止します。

特に高速道路上で見かけた場合、一人、若しくは一台見かける度に藤堂さんの手足や耳や鼻を一つづつ切り落とします。」

手元の道路地図を見ながらそう言った。

当初は環七を使うつもりだったけど、これもまーくの指摘で変更したんだ。

いろんな意味で高速の方が好都合なんだ。

あとお金の件でも同じなんだけど具体的な物や目標を相手に与えると如何にも計画立ててるみたいだろ?

…本当は出任せさ。



『調子に乗るなよこの…』

怒気を含んだ低い声で吉岡が言った


「…『このガキ』ですか?そのガキの気持ちも解らない大人達に何がいえますか?

しかもそのガキに右往左往させられるあなた達は何なんですか?

何度も言いますがカードは僕らが握ってます。人質を生かすも殺すも僕らの自由です。

…人質も我々も爆弾を付けてます。狙撃したら全員爆死します。

車の走行を妨げても同様です。

出発前にまた連絡します。」


吉岡が何か言い出す前に電話を切った。



「おいおい、物騒だな。俺は切り刻まれるなんて聞いてないぜ」

藤堂は笑いながら言った。


…仲間になったつもりか?

所詮子供とナメてるのか?

スゴいネタの渦中にいるのが楽しいのか?

…単に怖いのを隠してるだけか?


どうでもいいけど、ヘラヘラしてる藤堂見てたら何だが吐き気がしたんだ。


汚いものを見た気がしてさ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ