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僕らの革命 【改訂版】  作者: 片山 碧
21/45

0時

4人はテレビ画面に見入った。


まーくは、友田がまだ昇降口前で南にナイフを突きつけていた時のVTRを違うモニターで細かくチェックをしてた。


校舎内には特に警察がいる徴候は何も映っていないと言い、


「まぁ写る様なヘマはしないと思うけどね」

と付け加えた。


日付が変わった頃、LIVE映像はどこかの地上映像に切り替わった。


警察の車の誘導で友田のパトカーはサービスエリアに入ったとテレビは伝えている。

ガソリンの補給の様だ。


警察が、この期を逃すはずはない。

必ず仕掛けてくる。


友田、気をつけろよ…


画面はライトに照らされた人気のないサービスエリアのパトカーを写し続けていた。

画面は静止画の様に特に動きはない。


車の中は見えない。


パトカーの近くに特殊隊員の様な警官の姿は見えないが、サービスエリアの建物周辺には機動隊の大盾が並んでいるのが見える。


SITの狙撃班がどこかで構えているのは間違いない。

ただ、友田が火炎瓶を持っているから強行手段に出れないだけだろう。


つまりは友田は人質と離れると危険って事だ。


車を離れたら…間違いなく撃たれる。



10分程動かない画面が映っていたが、各局が一斉にLIVE映像を打ち切ってCMに入ったり、VTRに変わったり、別の番組が始まったりした。


「報道協定か…」まーくが呟く


「警察からの要請だろ。ヤバいぜ」ヨシが呟く。


僕は友田の携帯に電話を入れた。


…ツーッツーッ


話し中だ。


すぐにメールを送る。


< 警察が報道止めた 逃げろ >

…友田、読んでくれっ!



テレビ画面では三流の役者が携帯のCMを流していた。


僕はその画面を見ながら友田に連絡をし続けた。


繋がりやすいなんて嘘ばかりじゃないかと思った。


モニターしてたテレビ局は全て通常の深夜番組を始めた。


友田にリダイヤルする間に吉岡から着信が入る様になったので電源を落とした。

まーくの携帯からかけ直して貰ったけど友田には繋がらない。


暫くトライしたが諦める事にした。


あのメールに気づいてくれたらいいのだけれど。


友田はどうしてるんだろう…





「ガモくん!倉庫!」


クーに言われてハッと気が付いた。


倉庫の方から声がする。

喧嘩してるみたいだ。


…いや、人質達の芝居かもしれない


ヨシと散弾銃を持って向かう。

扉を開けると女三人が、田頭と伊東と言い争いをしている。


「何があった?」

さっき最初にお茶に手を出した女…藤井と云うらしい…が僕に言う。


「この人達が武田の拘束具を外して逃げる相談をしてたのっ」


伊東の顔色が変わった。


まさか犯人に同じ人質の中から告発されるとは思わなかったんだろう。


「いや…その…」


伊東がしどろもどろしてる。


その時、ドアの陰にいた田頭がヨシに体当たりした。


不意を突かれたヨシがバランスを崩して倒れるとヨシの上に馬乗りになって殴りつけた。


僕がヨシを助けに行こうとした時、「危ない!後ろっ!」と声が聞こえた。

避けた瞬間、左肩に衝撃が来た。何かが僕の左で弾けた様に感じた。


続けて背中の肩甲骨の辺りに痛みがはしる。



振り向きざまに右手に持ってたショットガンを思い切り後ろに振り回すと固いものに当たった感触があった。


振り向くと伊東が首を押さえていた。その右手には太い鉄パイプが握られていた。

殴られたんだ…。


くらくらする


伊東が首を押さえたまま動きが止まった所を藤井がパイプ椅子で横殴りに殴った。

横向きに倒れた所に他の女二人が他の椅子で殴りつけた。


ヨシっ!


振り返ると馬乗りになった田頭が両手を上げている。

ヨシは田頭の下敷きになったまま、散弾銃の銃口を田頭の顎に押し当てていた。


ヨシは口の端から血を流しながら僕を見て苦笑いして言った。「だから言っただろ?こいつらにはまだ解放は早いって」




駆けつけたまーくにも手伝って貰ってとりあえず二人は拘束し直した。


スタジオまで引きずり出して貰って床に転がす。


僕は左手が肩から指まで痺れて感覚がないのに気づいた。

動かない訳では無いけど動かすと首から背中まで激痛がはしる。

背中が何だかヒヤヒヤする。


クーが救急箱を持ってきてシャツを脱ぐ様に言った。

肩を出す。

脱いだシャツの背中の所が破れて真っ赤になっている。


クーが傷を見ても何も言わないのが気になる。


僕は痛みで首を左に向けられないから見えないしさ。


藤井が職員室の冷蔵庫から氷を持って来て近くにあった袋に氷を入れて肩に載せてくれた。

痺れてるくせに冷たい感覚だけはすごい敏感みたいで痛みが首から指先まで走る。


「つっ…どうなってる?」


「情けない声出さないのっ。あんなパイプで殴られて…頭に当たってたら死んでるわ」

クーはそう言った。


クーの治療は…消毒液を瓶から肩と背中にダイレクトに掛ける。

背中の傷にガーゼを四角いまま置いて、脇の下のラインで包帯を引っ張りながら巻く。


…はっきり言って殴られた時より何倍も痛かった。

でも、クーはこんな事をした事ないだろうに、ぎこちない手付きで一生懸命治療してくれたんだ。なんだかすぐ治る様な気がしたよ。


背中はパイプの先が掠ったらしく抉れて溝の様になってたらしい。



肩は紫色と赤色で彩色されててなんだか解らないと言われた。まーくが

「ひいき目に見て、胸鎖乳突筋の部分断裂と鎖骨と肩甲骨の不全骨折」

とサラッと言ってのけた。


どうも首の付け根に当たってから肩に当たった様でワンクッションあったから肩が砕けず済んだみたいだ。

頭が割れたり首が折れなくて良かった…



包帯を結び終わった所にクーがさっき藤井の作ってくれた氷の入った袋をドンと載せた。


叫ぶかと思った…。



…そうだ。

あの時、声を掛けてもわらわなければ…今頃は自分の脳漿の中で倒れていただろう。


藤井に礼を言うとニコリと笑って頷いた。


…この女、人質にされてるのになんで…



まーくに小声で聞くと

「多分ストックホルム症候群だよ。」


「…なんだそれ?」


「昔、ストックホルムで銀行立てこもり事件があったんだ。

ところが途中から人質が犯人に味方するようになったんだ。中には事件解決後、犯人と結婚した人質もいたんだよ。

心理的に言うと……ま、いいか。犯人に同情して味方する行動だよ。」


「また寝返ったりするのかな?」


「…まずないよ。味方と考えていいと思うよ」


…味方


…複雑な心境だ。


倉井をいじめ抜いた女達だ。

性根から腐ってると思ってたのに、今は味方になってる…




「ガモ、どうするこいつらは?」

ヨシが散弾銃で床に転がっている二つの頭を小突きながら聞く


伊東は目を閉じて黙っているが、田頭はこっちを睨んでいた。目が合うとペッと唾を吐いた。

「殺せるもんなら殺してみろ」

そう言った。


決めた。

もう生かしておく価値はない。そう思った。


散弾で頭を…と思ったけど、まだ理性の破片は残ってたみたいだ…


まーくに相談する事にした。


まーくは暫く考えていたが頷いてカバンを探りはじめた。

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