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僕らの革命 【改訂版】  作者: 片山 碧
13/45

13時


『Aクラスが何だか変なんだ。』



クーを連れて二階に上がる。


Aクラスが妙に静かだ。小さく笑い声も聞こえる。


「な、変だろ?」


「…多分何か企んでるね。様子みて人質を幾つかに分離しようか」


友田とクーを廊下に待たせる。


ヨシと僕は銃を構えたまま教室内に入った。


武田と伊東、田頭がニヤつきながら座りこっちを見ている。


「ああ、ガモウ。俺達Aクラス全員はお前の言うことは聞かない事にしたよ。これから帰るよ」

ニヤつきながらそう言った。


「…」

どういう意味だ?


「さあ、みんな帰ろうぜ。」

武田はそう言って縛られた状態ながら壁を使って立ち上がり出口に向かった。


「待てよっ!」

ヨシが銃を構える


「どけよ。どうせお前らには天井以外撃てないんだろ?」


僕達が人質は脅しても撃たないと解ったんだ



クラスの他の生徒も武田達の後に続こうとしている。


マズい 数で圧しきられたら突破される!


殴って抑えても4人対39人では到底勝ち目はない。

ヨシも解ったのか、じりじりと後退った。


先頭の武田が扉を出ようとした時


「うがぁぁぁぁっっ!」

武田が弾かれる様に海老反りになりその場に倒れてのた打った。


「ガモくん、しっかりしてよねっ!」

クーが教室内に顔を出して怒りながら言った。

クーの手にはスタンガンが握られていた。




武田のすぐ後ろにいた伊東が武田の姿を見て立ち竦んだ所をヨシが銃底で側頭部を殴った。


それを見た生徒はみんな下がった。


ヨシは倒れてる武田の脇腹に蹴りを入れる。


「ウッ!」

と言って武田は動かなくなった。


僕はみんなの方を向いて言った。

「君たちは人質なんだよ。だから丁寧に扱おうと思ったんだけど、もう無理だ…。

逃げようとしたらこれからは警告なしに撃ちます。スタンガンやナイフも遠慮なく使います。」


みんなは青ざめた顔をして僕を見てる。


ふらふらと立ち上がった伊東の肩を僕は警棒で殴った。

「ぐぁ!」


痛がる伊東の服を掴んでみんなの方に押しやった。


パフォーマンスを見せなくては統治できなくなる。


「田頭くん、次、騒ぎ立てたら君だからね」


田頭は引きつった顔をしてこっちを見た。



武田を廊下に引きずり出す。



「こいつどうしようか?」

ヨシが武田の脇腹を蹴りながら言う。


「…て…てめえら…覚えてやがれ…」

恨みの篭もる目つきで見上げる武田を見て、ムラムラと怒りが湧いてきた。



両手両足を拘束して転がしてもこの口の利き様だ。


殺したいが殺したらダメだ…。



…まーくに任せよう。


インカムで話をすると

『しぶといんだね。任せて』

と言った。


しばらくしてまーくが上がって来た。

ガムテープとタオルと放送室のヘッドホンを手にもっている。

武田にタオルで目隠しをして大きなヘッドホンをさせる。

ヘッドホンは耳がすっぽり隠れるタイプだ。

「これをガムテープで…」

まーくが頭を持ち上げてる間に僕がガムテープで武田の頭とヘッドホンをぐるぐる巻きにした。


まーくはポケットからiPodを取り出してヘッドホンと繋いで最大音量にする。


「ぎがぁぁぁぁっっ!」


武田がのたうち回る。


「まーく、何の音楽だい?」

ヨシが楽しそうに聞く


「…音楽じゃなくて、職員室にあったハンドスピーカーにマイクを近づけてハウリングさせた音を録音したんだよ。エンドレスだよ」


「…キツそうだね」

と僕が言うと まーくが



「ああ。しばらくは廃人だよ」


と事も無げに言って、遠くを見るような目をして


「…僕はハードロックで三時間された事があるんだ…」


と言った。


武田はそのまま転がしておく事にした。


武田の叫ぶ声が廊下中に響く。勿論教室内にも聞こえてる。


目障りで煩わしいけど少しでも抑止力になるだろうとまーくが言った。


ヨシを1人残して4人で放送室に戻る。



「なぁ、クー、テレビ詳しいか?」


「どうかな。篭もってた時には良く観てたけど…なんで?」



「レポーターで好きな奴いる?」


「え?…ああ、そうねSRB放送の楠戸っておばさんレポーターかな。

ズバズバ言うし口悪いし…でも聞いてて何だかすっきりするんだよね。」


「解った」


僕は携帯の電源を入れた。


すぐに着信する


『吉岡だ。さっきは解放してくれてありがとう。残りの118人はいつ解放してくれるんだい?』


電話に出た途端にそう言った。


「さぁ。どうですかね。…解放する時にはもう少し少ないと思いますよ」


『人質達に食事を差し入れたいんだがいいかな?』


「要りません。さっき断られましたしね」


『じゃあ次の要求聞こうか』


「SRB放送のレポーターの楠戸さんをここにすぐ呼んでください。」


『え?さっきテレビジャパンを代表って…』


「解ってます。楠戸さんを30分以内に呼んで下さい。断るなら人質の数はもっと減りますよ」


僕はすぐに電源を落とした。


計算づくだよ。大手テレビ局に言えばそれだけ情報伝達が早い。

だけど警察が一枚噛んで決めたテレビ局なんて信用できる訳がない。

どうせ中継クルーは化けた警察官だろう。

準備させておいた上で全く違う会社のノーマークで、しかも世間に顔の知られた人をいきなり呼べば警察も下手な小細工はできないだろ


それに、好都合なのは、SRB放送みたいな中堅テレビ局にしたら破格のスクープだ。

視聴率だって半端じゃない筈だ。

しかも大手のテレビジャパンに一泡吹かす事ができるとなれば絶対にレポーターを送り込んでくる。


それに、中断したくないだろうからこっちの要求に従うだろう。


…でも安全の保証ができないと言って断ったらどうするかな…


しばらく待ってから携帯の電源を入れる。


すぐ吉岡から電話が入る。

こちらの行動を見てるんじゃないかと思う位だ。


「楠戸さんどうですか?」


『今、SRB放送の役員と警察が話してる。おっつけ来ると思う。』


「変な真似はしない事です。こっちにはまだ掃いて捨てるほど人質が居るんですからね」



『…解ってるよ』


「楠戸さんが来たら校門付近に立たせて下さい。確認したら指示します。」



それだけ言って電源を落とした。





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