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新釈・世界の童話  作者: 梅ノ木桜良


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2/2

北風と太陽 〜ちょっとやり過ぎじゃない?〜

第二作は「北風と太陽」です。


こちらも有名も有名、大抵の方は結末をご存知かと思います。


自分でこのネタを選んでおいてアレですが、前作のようには話が広がらなかったのは悪しからず。

 北風と太陽が、どちらが強いかで言い争っていました。


 そもそも強さの基準をお互いにわかっていなかったため議論ばかりしていても一向に決まらないので、それでは力試しをして、旅人の着ているものを脱がせたほうが勝ちと決めよう、ということになりました。


 と、ここまで言い争いをしてきた北風ですが、この両者の場合力試しとは何なのかよく分かりませんでした。そもそもが実体のない「風」と宇宙のはるか彼方に存在している「太陽」なので勝負のしようがありません。そうなるとなぜ今まで言い争えていたのでしょうか。まったくもって意味がわかりません。


 などと思っていた北風ですが、どうせやるなら先手で勝ってやろうと考え直し先にやり始めました。


 北風は旅人に向かって思いきり強く、ビューッと吹きつけました。


 旅人はふるえあがって、着ているものをしっかりと押さえました。


 そこで北風は一段と力を入れて、ビュビューッと旅人に吹きつけました。


  すると旅人は、


「うーっ、やはりまだまだ冬だな。寒い。これはたまらん、もう一枚着よう」


 と、今まで着ていた服の上に、もう一枚重ねて着てしまいました。


 そこで風を吹き付けながら旅人の様子を観察していた北風は気が付きました。人間が服を着る時には腕を袖に通し、基本的にはその腕を下げて過ごしています。更に、服には他の服や肌と擦れたときに摩擦力も生じます。それゆえにただ風を吹き付けるだけでは服をはためかせることは出来ても脱がすことはほぼ不可能なのです。おそらく旅人に事情を話して協力してもらっても達成は困難を極めるでしょう。それが理解(わか)ってしまった北風は大層がっかりして、「君に任せるよ」と、太陽に言いました。


 ほくそ笑んだ太陽はまずはじめに、ぽかぽかと暖かく照らしました。


 北風は急激な気温の変化はあまり良くないのではないかと不安を抱きましたがそれを口に出してしまっては勝負ができないことに気がついたので何も言いませんでした。


 太陽は、旅人がさっき一枚余計に着た上着を脱ぐのを見ると今度はもっと暑い、夏のような強い日ざしをおくりました。


「やけに暑っついな。どういうことだ」


 じりじりと照りつける暑さに旅人はたまらなくなって、着ているものを全部脱ぎ捨てると近くの川へ水浴びにいきました。


「この勝負、私の勝ちですね」


 太陽がにっこり笑うとあたりは真夏のようなさらに暑い空気に包まれました。


「ちょ、ストップストップ」

「おや、どうしました?」

「いや、どうしましたじゃなくて。さすがに気温変えすぎじゃない?季節が二つくらい進んでるけど?」


 北風は呆れたような物言いです。


「ですが、今回の力試しというのはこういうことではないのですか?」

「いやまぁそうなんだけど、旅人の着ているものを脱がせればいいんでしょう?てことはコートを一枚脱がせた時点でもう太陽の勝ちなのでは?」


 北風、もっともな主張です。


「それはそうなのですがね。どうせ勝つなら完膚無きまでの勝利を、と思いましてね」

「…………あぁ、そう」


 だからと言って季節を二つも進める必要はあったのでしょうか。


 何となく太陽が悪趣味な気がする北風でした。


「…………嫌な奴」

「何か言いましたか?」

「いや、何も言っておりません」


 さらに太陽が気温を上げそうになったので北風は慌てて撤回しました。


 太陽の黒い一面を垣間見て少し太陽が嫌いになった北風でしたとさ。

 読んでいただきありがとうございます!この作品では誤字・脱字報告、感想、レビュー等を募集しております。何かしら書いていただけると作者としてはかなり励みになります。お忙しいこととは思いますが、ぜひぜひお願い致します。

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