ただいまとおかえり。そしてこれから――
結果から言うと手術は成功した。
私は目が覚めるまで時間かかると言われたので、面会時間一杯待った。
だけどその日は目覚めなかった。
だけど術後の状態は順調とのことだった。
特別に私だけ面会時間過ぎても傍に居させて貰った。
面会時間が終わって数時間後の頃、鈴兎愛は目を覚ました。
「……ただいま」
枯れたか細い声でそう言った。
「おかえり」
私は鈴兎愛の手を握ってそう返した。
それから看護師呼んだり色々あった。
色々終わって無事成功のお墨付きを貰った。
今後は様子見だけど、それでも大丈夫でしょうとのことだった。
「気分はどう?」
「綯い交ぜ」
「そっか。元気で調子が良いみたいで何より」
「……」
それから暫くの間沈黙が流れた。
先に口を開いたのは鈴兎愛だった。
「……ねえ」
「なーに?」
「好き」
「私も好きだよ」
「そうじゃないの。愛して――」
「分かっているよ、勿論。私も好き、大好き、愛してる。両想いだよ」
「! 本当に? 嘘じゃない? 夢だったりする?」
「夢じゃないよ。現実で本当の事だよ」
「嬉しい……本当に嬉しい」
身体は今そこまで自由に動かせないから、鈴兎愛は相当嬉しかったのか頭揺らして喜んでいた。
ただ揺らし過ぎたせいか、揺れは収まり、そして苦悶の表情を浮かべていた。
要は揺らし過ぎて気持ち悪くなっただけだった。
「大丈夫?」
「うん……嬉しくてつい……」
「もう……鈴兎愛ってば……」
「えへへ」
一呼吸置いて笑い合った。
そしてこれからのことについて話し合う事にした。
「まずはリハビリしなきゃね。長い間車椅子生活だったから相当大変だと思う。勿論私も力になる」
「ありがとう。その言葉だけで頑張れるよ」
「まあ車椅子だけど外出は出来るみたいだから、少しずつ外に出るのもいいんじゃないかな?」
「何年振りだろう、外に出るの。とっても久し振りだと思う。色々な所に行きたいな」
「最初は少しだからそこまで遠くには行けないけど、いつかはどこにでも行けるし、その足で歩いて行くことも出来ると思うよ」
それからの私達は何がしたいとかを紙に書き出していた。
あれがしたい、これがしたい、どこへ行きたいなど。
「楽しみだね」
「そうだね、鈴兎愛」
それから1か月位リハビリ等して過ごした頃、私達は病院の玄関に居た。
車椅子ですぐそこのお店に行こうって事になったので、準備をして玄関に集合していたのだった。
「わくわくするね」
「今日の為に頑張ったもんね。でも今日だけじゃなくこれからもあるからね」
「そうだね。これからの事を考えると、とても楽しみで仕方ないよ」
「さあ、行こう」
「うん!」
私達はその一歩を踏み出し、病院を出た。
「どう?」
「言葉にならない位感動しているよ」
「それは良かった。さ、行くよ」
「うん!」
それから10分程歩いて、車椅子を押してお店に到着した。
お目当てのケーキを注文して暫くして届いた。
「美味しいね、深優」
「そうだね、鈴兎愛」
「それにとっても楽しい」
「それは良かったね」
「あたし今とっても幸せ」
「私も幸せだよ」
私達は笑い合った。
そして色々な話をしながら食べた。
流石にケーキ3つは食べ過ぎたかもしれない。
鈴兎愛は7つも食べてたし……小食じゃなかったっけ?
所謂別腹的な感じかな?
しかし、鈴兎愛は――
「まだ食べたいけど深優が止めるから食べない」
と、言っていた。
止めなかったら後幾つ食べたのかな?
考えないどこう、うん。
「ねえ、深優」
「なあに、鈴兎愛」
「これからもよろしくね」
「もちろん」
「愛してるよ」
「私も愛してるよ」
それから数か月して鈴兎愛は退院した。
車椅子中心だけれど、毎日歩く事、歩ける範囲は歩く事を欠かさない生活を送っていた。
更に数か月して車椅子無しで歩ける様になった。
なので今日、鈴兎愛と結婚式を挙げる日。
「鈴兎愛、色々な事があったけどこれからもよろしく」
「もちろんよ、深優。愛してる」
「私も愛してるよ」
これからの事を色々願いを、誓いを込めて私達はキスをした。
それからの2人は、色々な事を一緒に乗り越えながら楽しく幸せに暮らしました。
「愛してる」
「愛してるよ」