12.街の衒いへ
その街は、今までいた村とは異なり、夜でも明るく賑やかだった。毎晩のように呑みあかし、翌朝には酔い潰れが転がっている。
「またか」
ユーヤンは、自身のテントの横の吐瀉物をキレながら埋めこむ。ひとの家の前で吐くな酔っぱらい。
「おいチー! そのへんに酔い潰れが転がってるはずだ。引きずってこい!」
「おー」
夜間の賑やかさに眠気を奪われ、今ようやく睡魔がおりてきたチーだが、己の師は無慈悲だ。眠い目をしぱしぱと瞬き、擦りながらテントの周囲を見回りに出る。
毎日のように、いわゆる“二日酔い”の男や女、稀に10を超えてすぐくらいの子供までが、3〜4人はテントの中で横になっている。
消化のよいものを食べさせて、半日も寝ていれば回復して勝手に出ていく。しっかり代金をむしり取っていくチーに、ユーヤンは少し感心していた。そうしなければ生きていけなかった者は強い。
旅をしている人間の識字率は低い。なんてのは周知らしく、お遣いから帰ってくるたびに店でぼったくられそうになったとチーがキレた。計算を教えておいて良かった、とユーヤンは彼の正義感に感謝した。
そんなある日だ。ただでさえ眠りが浅いユーヤンは、馴染んできた街の子供に叩き起こされた。外はまだ夜だ。また、酒でも呑んで泥酔したんだろうと再び布団に潜り込むユーヤンに、子供が叫ぶ。
「父ちゃんが、父ちゃんが死んじゃう」
なんとなく察しがついたユーヤンは、同じく叩き起こされたらしいチーに、水を汲んでくるように伝えた。
読者様に分かりやすく言うとすれば、『急性アルコール中毒』である。




