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10.これからふたりの

「………話し、相手」


「うん、そ。話し相手。技術なら見て盗め?ってやつ?………あ、やめて、そんな軽蔑するような目で見ないで。傷つく」


 チーは無意識だったらしい。ユーヤンに言われてハッと目をそらした。チーの長くて黒い髪が、肩から流れる。


「………とりあえず、その髪どうにかしようか。梳いてあげるからおいで」


「? いや、切るつもりだから、わざわざ梳かなくても……」


「えっ、やだよせっかく綺麗なのに!!!」


「あんたそういうとこあるよな……」


 呆れた顔でユーヤンを見る。彼の髪も長い方ではあるが、根っからの癖毛らしく、どうまとめても乱雑に見える。それに引き換え、チーの髪は腰ほどまでの長さがあっても絡まることがほとんど無く、指が引っかからない。


 普段から薬を扱っているだけあって、ユーヤンの手先は繊細だった。


 ふんふんと鼻で歌を歌いながら、チーの髪をいくつかの束にして編み込んでいく。


「……それ、なんの歌?」


「んぇ? あーーー……覚えてないや。ガキん頃によく聞いたんだけど、誰から聞いたとか、どこで聞いたとか、もう忘れちまった」


「? ふうん」


 見事チーの髪を綺麗に結い上げると、ユーヤンは身支度をするように言った。もうすぐ、この村を出るらしい。


「といっても、お前ほとんど私物ないもんな。服くらいは揃えてやるから、動き易いの探しとけよ」


 そんなことを言われても。今まで布切れ一枚で過ごしてきたチーにとって、衣類に動きやすいも動きにくいもない。


 いつものように、なんでもいいと言うチーに、ユーヤンはまた困ったように笑った。

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