印籠顕現
短編第5弾です。本当に、完全な思い付きで書き上げた作です。
暇つぶし程度にでも、読んでもらえれば幸いです。
結果、全体的に大雑把で、特に途中から無理やり感がかなり強くなってます…
「おい、これ洗っとけ、百合島!」
「…はい…」
お城から支給された、装備品を身に着けるたクラスメイト達が、私に汚れた洗濯物をまるでゴミをポイ捨てするかな様に、投げつけて去って行った。
「はぁ~」
ため息を付くと、投げ付けられた洗濯物を拾い集め、洗濯桶で一枚一枚手洗いした。
「(こんな洗濯の仕方を本当に、する日がくるなんてな…)」
大好きな時代劇で、よく町民が洗濯桶と洗濯板で洗濯物を洗っている光景を目にしていたが、現実でする事になるとは…
本当に、人生とはわからないものだな…
等と渋々思いながら、洗った洗濯物を干した。
私の名前は「百合島 律」。高校生。17歳。
見た目は至って普通の女子高生だが、他の子と少し違うところがある。それは…
私は演歌と時代劇が大好きなのだ。
共働きで殆ど家にいない両親。なので幼少からおじいちゃんの家で面倒をみてもらった。私のおじいちゃんと、おばあちゃん。優しい人達で、孫の私をとても可愛がってくれたので、両親が殆どいなくてもさみしくはなかった。
そんな育ての親の祖父母。祖父母は2人共、演歌と時代劇が好きだった。物心ついた頃から、一緒に時代劇を見たり、2人の入っている敬老会の人々と、カラオケで演歌を歌っていた。
そんな人達の影響で、私も若いながら演歌と時代劇が好きになった。読む本も時代小説が大半で、漫画も読むが時代劇ものを好んだ。
そこまでは良い。問題なのは、学校で周りの人達とその事で話せないことだ。周りの同世代の子達は、アイドル・ファッション・スマホ等と共通の話題で盛り上がっているが、私はという、詳しいのは演歌と時代劇の事位。
なので、話が合う人が全然おらず、おかげで友達も少ない…
そんなある日、それは学校の授業中のことだった。突然、床に魔方陣が浮かび上がったと思ったら、この世界にクラスメイト全員と担任の先生と共に、来てしまった。
気が付くとそこは、お城(時代劇に出てくる様な、和風のやつではなく、西洋風のやつ)の大広間だった。
そこには、立派な王冠を冠った王様を始め、煌びやかなドレスを着たお姫様、大臣らしき初老の男性、動く度にガチャガチャ音の鳴る甲冑を身に纏った人達がおり、お姫様が私達に向かって、
「あなた方は、選ばれた勇者です!」
と告げたのだった。
聞けばこの世界は、魔王率いる、魔族の脅威に晒されている。それに対抗できる戦力が、今のこの世界にはない。そこで行われたのが、他の世界から勇者を呼び寄せる、勇者召喚の儀式だ。
勇者召喚で呼ばれた勇者は、この世界の人には無い、特別な力、スキルを得る。
そのスキルを駆使して、魔族と戦い、最終的には、魔王を討伐して欲しいという。
魔王を倒す!
それ以外、私達が元の世界に戻る方法は無いのだとか(何とも勝手な話だ…)。
時代劇ものばかり、見たり読んだりしてる私でも、聞いたことがある。
「ラノベでよくある異世界ものだと…」
後はテンプレートなものだった。クラスメイト達は、皆が皆、チート級のユニークスキルと呼ばれる能力を得た。特にクラスいや、学年一のイケメンで、スクールカースト上位の男子なんて、勇者というスキルを得た。勇者は、様々な武具を訓練しなくとも完璧に使いこなせる上、色々な攻撃魔法も覚えれる。他のカースト上位の人達も、賢者や剣聖といった当りのスキルを軒並み得た。
恵まれた人達は、別世界であっても恵まれているようだ。
それに引き替え私は…
「…ステータス表示!」
そう呟くと、目の前にウインドウが表示された。この世界では、ステータス表示と言うと、自身のステータスが書かれたウインドウが出てくる。
ウインドウには、
名前: リツ ユリジマ
年齢︰17歳
職業︰高校生(転移者)
名前から始まり(この世界基準になっているか、姓と名が反対になってる)、年齢・職業が書かれ、以降は、至って平凡なステータスが並んでいる。
そして、一番下の方にスキルの項目がある。この世界の人達は、スキルという特殊な能力を生まれつき誰もが持っており、当たり外れがある。そのスキルの優劣で人生が決まると言っても過言ではない。転移者は、ユニークスキルと呼ばれるスキルを得られる。ユニークスキルは、普通のスキルとは比べ物にならない程の力のある破格のスキルだ。
勇者や賢者といったユニークスキル持ちの人達は、状態異常無効や全属性魔法使用可等といった、能力がある。他の人達も、勇者や賢者にこそ劣るが、軒並み大きな能力を持っている。
が、何事にも例外はある。そう、それが私の事なのだ…
「……」
私のスキルの項目をじっと見つめた。
そこには、
ユニークスキル︰【印籠顕現】
とあった。
(今もだけど)最初見た時は、意味不明だった…
周りのクラスメイトたちも、理解できる者は皆無だった。そんな中、近くにいたクラスメイトのコギャルっぽい娘が、
「試しに使ってみたら!?」
と言ったので、ものは試しと、言われままに使ってみた。スキルの使い方は、自然と頭に浮かんだ。心の中で念じるだけで良い。
そしたら、
ポン!
という音と共に、手の中に印籠が出現したのだ。
【印籠】
それは、時代劇の水戸黄門でお馴染みのアイテム。時代劇に、馴染みの薄い現代の若者でも、その位は知っているだろう。
手のひらに収まる位の大きさで、表に紋が描かれている。黄門様が、身分を証す際に出し(正しくは格さんが)、それをみた途端、それまで威張り散らしていた悪人達が急にひれ伏すシーンが有名だ。
権力の象徴の様な印籠だが、実のところ、印籠は本来、薬を持ち歩く際に使用される所謂、今で言うところの薬入れだ。印籠が作られたことで、薬を携帯するのが一般化したとされている。
それが何時しか、工芸品と化して行き、本来の用途は薄れていったという。
私のユニークスキル︰【印籠顕現】 は、文字通り、印籠を出すスキルなのだ。
そう、私のスキルは文字通りに、ただ単に印籠を出す。それだけのスキルだった…
「何の役に立つんだよソレ!?」
「完全にハズレだな!」
「うわ、ダッセー!」
と、多くのクラスメイト達に言われ、笑われた。
王様達も、反応に困っていた。そもそも印籠自体、何なのかもわからない様子だった(まぁ、無理ないけど…)。
その結果、私は転移者の中で唯一人、無能の烙印を押された。
クラスメイト達は皆、国賓並みの好待遇である中、私はというと…
「はぁ~…」
一仕事終え、城の側にあるボロ小屋の、これまたボロいベットに腰を下ろした。
コレが私の扱いだ。無能に使う金はないと言わんばかりに、私一人、まるで召使いか奴隷の様な待遇だ。いや、まるでじゃない。そのものだ。
戦力にならないのならせめて、身の回りの事でもしてろと、朝から晩までこき使われている。城の人達は、王様から一般兵士やメイドに至るまで、戦力外の私を鼻つまみ者扱いだ。
クラスメイト達も、助けてはくれない。元々、友達がろくにいなかったとはいえ、私の待遇に異を唱える者はいなかった。流石に、気の毒そうに見てくる人は何人かいたが、見ているだけで、行動に移す者はない。一人を除いて…
ベッドに座ったまま、【印籠顕現】を使用した。
手の中に出現した、印籠を見つめる。
「……」
食い入るように印籠を見るも、やっぱりただの印籠だった。もしかしてと思い、中を見てみたが、中に何かが入っている訳でもなかった。装飾は見事だが、単にそれだけだ。
表には、紋章らしきモノが描かれている。が、自分の家の家紋ではない(我が家の家紋は【傘】だ)。勿論、徳川家等といったものでもない。
何処かで見た記憶があるのだけれど…ダメだ、思い出せない。
グー!
考えていたら、お腹がなった。
思考を止め、印籠を消した。印籠限定で出し入れは自在だ。
これまたボロい机(汚れていて、少し傾いている)の上の、ヒビ割れた皿に乗ったパンを噛った。硬いパン2個、少量の野菜クズが入った薄味のスープ(少し塩っぽいだけ)、少量のおかず(正体不明のクズ肉等の寄せ集め)。コレが私の1日の食事だ。この世界に呼ばれ、城から毎日、代わり映えなく、コレだけは支給してもらえている。本当に、奴隷並だ(いや、下手すれば奴隷以下かもしれない…)。
後は、小屋の近くの井戸水だ。井戸水は、ふんだんにあったのが不幸中の幸いだ。足りない分は、井戸水を飲んで、お腹を満たした。
コンコン!
硬いパンをかじって咀嚼いると、戸を叩く音が聞こえた。
「はい!」
戸を開けると、
「こんちは、百合島ちゃん!」
「遠矢さん!」
ギャルっぽい娘がそこにいた。
彼女は「遠矢サヤ」さん。私のスキルを、試しに使ってみたらと言った、クラスメイトの一人だ。
元の世界から着ていた制服姿に、杖を持っている。制服はネクタイを緩めに、スカートも短めと、着崩している。加えて、各種アクセサリー・ピアス類。制服は元から、こんな感じだ。うちの高校は校則が緩く、余っ程でなければ、多少なら制服を着崩して着ててもいいのだ。
杖は、木彫りで目立った装飾もない地味なやつだ。持ち手の部位が「?」っぽい形のやつだ。何でも、城の倉庫の中に眠っていたのを貰ったらしい。本来はもっと、豪華な装飾が施された、お高い物を支給されるはずだったが、本人がコッチを希望したらしい。
それは置いといて、
「入るよ!」
そう言って小屋に入って来る遠矢さん。
小屋の中を見渡した後、
「…相変わらず、酷い待遇ね!」
「う、うん…」
「こんなの酷すぎるわよ!日本だったら、明らかに法に触れるわよ!アタシ、王様に百合島ちゃんの待遇を改善してって言ってるのに…」
「遠矢さん…」
「でも、検討しておくの一点張りよ!?完全に口だけ、日本の政治家と同じね!」
そう言いながら遠矢さんは、テーブルに向けて手をかざした。すると、テーブルの上の空間に亀裂が入ったと思ったら、りんご・パイ・柔らかそうなパンが出て来た。
「ほら百合島ちゃん、アタシからの差し入れ!食べて!」
「うぅっ…何時もありがとう遠矢さん…」
「気にしないでよ。どうせ、アタシ達に提供された食事から、キープしといただけだし!」
そう。遠矢さんだけはこうやって、こっそり私に、差し入れをしてくれる。その優しさに、思わず涙がこぼれそうになる。
今彼女が使ったのは、異空間収納という、何も無い所にモノを締まっておける、異世界モノでよくあるやつだ。中では時間も停止するので、生物だって何年・何十年も新鮮さを保てる。
遠矢さんは、万能魔術師だ。
この世界では、大概の人が魔法を使える人が、習得できるのは、各自が得意な系統の魔法だけなのが基本だ。変身魔法が得意なら変身系の魔法を、回復魔法が得意なら回復系の魔法をといった具合にだ。しかし、彼女はどの系統の魔法でも、習得できる。それが、彼女のユニークスキルだ。
最も、どの系統でも習得できるが、どの魔法も完全には習得出来ない欠点がある。例えば、炎の魔法があるとする。炎の魔法に適性のある人なら、炎の魔法に最高100%の威力を持たせられるが、遠矢さんの場合は、ものにもよるが精々5~70%、良くて約80%の威力までしか引き出せないのだ。
とはいえ、それを差し引いても、十分チートなのだけれど…
「でも、皆なんか変なのよ…」
「変?…」
遠矢さんに差し入れしてもらったリンゴを切り分け、一緒に食べながら話していたら、突然、切り出してきた。
「この城の人達ならともかく、クラスの皆が皆、百合島ちゃんを見下してるのよ!?」
「それは、私のスキルが使い物にならないから(そもそも、友達自体、殆どいないし)…」
「だからって皆が皆、そうするなんておかしいよ!だからアタシ、訓練の合間に少し調べてみたの!」
「調べた!?」
「そう。城の図書室の本を片っ端から読みあさってね!」
「図書室の本を読んだの!?私も目を通してみたけど、難しいのが多くて、結局、殆ど分からなかったのに。それも、あんなに沢山あるのよ!?…」
「そこは…まぁ…慣れかな?慣れればスラスラ読めるよ!?」
「慣れ…スラスラ…」
実は遠矢さん、見かけは派手なギャルだが、見かけによらず優等生で、成績優秀なのだ。試験も学年20位以内に常に入っている(因みに私は、中間くらいの成績だったりする…趣味柄、歴史は得意だけど、それ以外は…)。
因みに、この世界に召喚された者は、この世界の言語を理解し、字の読み書きも完璧に出来る特典が漏れなく付いてくる。
「で、調べった結果、どうやらこの城の敷地中を囲う特殊な結界が張ってあるみたいなの!」
「結界!?ゲームとかでよくある、魔物を寄せ付けないようにするアレ!?」
「そう、そんな感じの。でも、この国を囲う結界にはもう一つ、効果があるの。それが、国のトップ、つまり、王様の価値観を他者に共感させる効果よ!」
「価値観を、共感させる!?」
「そうすることによって、誰も王様に逆らったり、歯向かわないのよ。王様の言う事は全て正しいと。で、皆の場合、百合島ちゃんを見下したり、迫害する思想を、クラスの皆に植え付けたのよ。いわば、皆は洗脳状態になっているのよ!」
「洗脳!?」
「そうよ。現に皆、こんな世界に連れてこられて、魔族と戦えだなんて言われて、「ハイ分かりました」って、言えるわけないのに、王様と話してたら、妙にヤル気になったでしょ!?王様の価値観を共感させられて、皆、自分達には、この国の為に生命をかけて戦う義務があるとかなんとか、刷り込まされたみたいなの!」
「……」
にわかには信じられないけど、確かに私も、この世界に来てからの皆の様子が変わったと感じてはいた。戦争のない時代を生きていたのに、皆が皆、魔族とはいえ、敵の生命を奪うのに初めから躊躇していなかったし、戦いにも妙に積極的になっていた。漫画や小説とかがあるから、そういうものなのかと思っていた。
それがまさか、そんな仕掛けがあったとは…
「でも、それだと遠矢さんは?遠矢は影響を受けてないみたいだけど…」
「それはアタシが、万能魔術師だからみたいなの。」
「どういう事!?」
「アタシは、あらゆる魔法を使えるだけじゃなくて、他者からの魔法に対しても抵抗力が強いらしいの。簡単に言えば、病気に対して免疫があるみたいに、魔法の影響を殆ど受けないってとこね。だからアタシは平気なの!」
「成る程ね…」
そういうモノなのかと、とりあえず納得した。それだけ、万能魔術師は特別なのだろう。他に彼女と同じスキルを持った人はいない。この世界でも、万能魔術師たる人物は、歴史上、片手で数えれる位しかいないと聞いた。
それだけ稀有な存在なのだ。
と、真実が判明したとしても、目下、出来る事はない。万能魔術師の遠矢さんとて、結界に手を出すわけにはいかない。その価値観を共感させる効果を消したり薄めようとすれば、同時に結界の力を薄めてしまったり、最悪、決壊自体を壊れてしまう危険性が高いらしい。それだけ、結界は繊細なのだ。
遠矢さんは、原因が判明しても、何も出来ないことを申し訳なさそうにしていたが、
「気にしないで!」
と私は言った。遠矢さんだけでも、私の事を気にかけてくれるだけで十分嬉しいからだ。それにこうして、差し入れもしてくれるし。
その日はそれで遠矢さんと別れた。
「それじゃあね、又差し入れ持ってくるから!」
と別れ際に言っていた。
本当に、彼女だけが私の心の拠り所だった。
外見はイケイケのコギャルだけど、私には彼女が天使に見えてくる。
そんな日々が続いた。月日が経っても、城でも扱いはあいも変わらずだった。
奴隷の如く、朝から晩まで様々な汚れ仕事を押し付けられる。そんな毎日だ。
「ええー!水戸黄門って、実際は、世直しの旅に出てないの!?」
「そうらしいの。記録によると水戸黄門こと、水戸光圀公は、記録によると9回位しか旅をしてなかったらしいの。1番の移動距離は水戸〜鎌倉 間が最長みたい。」
「そうなんだ…」
「歴史を忠実に再現している作品もあるけど、時代劇は大半が創作だからね。剣豪の宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘した巌流島。話じゃ武蔵が遅刻したってなってるけど、実際は、遅刻してなかったらしいよ!?」
「へぇ~…フィクションって、他にはどんなのがあるの?」
「そうね…有名なのだと、忠臣蔵かしら?」
「知ってる知ってる!主君の敵討ちをした、お侍さん達の話でしょ!?」
「う~ん…まぁそんなところね。
で、その赤穂浪士の討入そのものは、本当にあったんだけど、目的が違ったという説があるの!」
「目的?」
「そう、討入は、敵討ちのためじゃなくて、自分達の就職活動のためにしたって説があるの!」
「就職活動!?どういう事?」
「吉良に主君を切腹に追いやられた訳でしょ。すると、赤穂浪士達は雇い主を失った。つまり、職を失った事になるのよ!」
「そう言えばそうね…」
「そこで彼等は、【主君の敵討ちをしたという事を世間にアピールして、自分達を売り込んで、新たな雇い主を得ようとした】、という説があるの!」
「えぇ、マジ!?」
「ええ。当時、主君の敵討ちって、そんなに珍しい事じゃなかったらしいからね。その頃は、本当に、敵討ちで新たな雇い主を得れたケースがあったらしいからね。赤穂浪士達も同じ様にしたという説が、近年では出て来たのか。」
「じゃあ討入は、自分達の為だった訳!?」
「諸説ありだけどね…まぁ結局、赤穂浪士達は討ち入り後、皆、切腹させられてしまったけど…」
「…それを知っちゃったら、何だかイメージ崩れちゃったな…」
「赤穂浪士達も人の子。まぁ、現実なんてそんなモノよ…」
と、その日も、時代劇の事を肴に、遠矢さんと盛り上がった。
遠矢さんが、よく会いに来てくれるのも変わらずだった。空いた時間に会いに来て、差し入れをしてくれ、時代劇の事や、他愛のない事を話す。コッチに来てから、それが私にとっては唯一の楽しみだ。
しかしそんなある日、事態は急変した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「何だと、魔王軍が!?」
「はい!」
何と、魔王軍がこの国に攻め込んで来たのだ。
突然の襲来に、国中大騒ぎ。至急、国中の冒険者達によって、防衛線が張られたが、力及ばず突破された。
そして間もなく、魔王軍は私たちのいる、王城の側までやって来た。魔王軍は、王城の近くの丘の上に陣取り、何時でも攻め込められる状態だ。
「ひぃ~魔王軍だ!あんなに沢山…」
「あぁ、恐ろしや…」
「も、もうダメだ…」
恐怖でパニックなる王城の人々。大臣から下働きの人達に至るまで、皆が皆、錯乱している。
そんな中、
「落ち着かぬか!!」
王様が皆を一喝した。
王様の大声に、ピタリと動きを止める人々。
「パニックになれば、それこそ魔王軍の思う壺じゃぞ!こんな時こそ、冷静なるのだ!」
と、王様は皆を諭した。
流石は国のトップ。肝が据わっている。私は、召喚されて以来の私の待遇から、この王様に良い印象を抱いてなかったけど、少しだけ見直した。
王様のお陰で、少しだけ冷静になる人々。
「ですが、このままでは…」
「案ずるな、我等には彼等という、頼もしい存在がおるではないか!?」
「彼等…ああ!」
そんな中、白羽の矢が立つったのが、そう。私を除く、日本から召喚された、
【勇者達】
の存在だ。
「やれやれ、ようやく出番か…」
「たく、待ちくたびれたぜ!」
「チートの力で、かる~く無双してやろうぜ!」
「よく見りゃ、良い魔物のチャンネーいんじゃんか。首輪して飼ってやろうかな〜」
「ふふふ、ついにこの秘めた力を解放する時が来たようだな…」
「燃えてきだせ!!」
「おい。誰が一番、ヤツラの首取れるか、競争しようぜ!?」
「おっイイね、それ!」
「ふっ、面白そうだ!」
「はん、我等最強の勇者達がいるというのに、攻めて来るとは…無知を、己等の運の無さをあの世で後悔するがいい!」
等と、様々なセリフが飛び交う。中には、イヤらしいモノや、中二病臭いモノも…
「そんじゃあ…征くぞ!!」
そんな掛け声と共に、クラスの皆は、突撃していった。ちなみに私はというと、お城の片隅でジッとしていた。
生憎、私に戦う力はない。あるのはこの、【印籠顕現】 のスキルだけ。完全に、戦力外だ。後方支援にもならない。
クラスメイト達も、
「無能は出てくんな!」
「印籠出すしか能のないヤツは、引っ込んでろや!」
といった、相変わらずの言われようだ。端から、何の期待もされてない。
勿論、城の人達も然りだ。
出陣した人達中には、遠矢さんもいた。その遠矢さんも、
「危ないから百合島ちゃんはココにいて!もしもの時は、あたし達の事は気にせず逃げてね!」
と、言っていた。
こんな時まで、私事を…
私は遠矢さんの無事を祈った。それくらいしか、私に出来ることはなかった。
かくして、皆の期待を背負い、突撃していく勇者達。
さぞ、無双ぶりを見せてくれるだろう。
…と、皆が期待していた。
が…
「ふぎゃー!!」
「ひぃ~〜〜!お助け〜!」
「イヤ~!」
「イタイタイタイタイ!!」
「な、何で…俺等は最強の勇者じゃ…」
見えるのは無双どころか、悲壮な光景だった。
アレだけイキっていたクラスメイト達は、一方的に、コテンパンにされていた。それも、魔王軍の幹部とかならまだしも、尖兵の魔物達にすらも勝てないでいた。一応、下級のゴブリンは何体か倒せたようだが、 彼等が出来たのはそれだけであり、オークの群れにボコボコにされるクラスメイト達。
男子は、涙に鼻水・鼻血、血反吐流しながら逃げ惑っている。その何とも情けない姿。
中には土下座して命乞いをしている始末…
「やめて~!離して〜!」
「嫌…うぐぐぐ…」
女子に至っては、恐怖から失禁してしまっている子もチラホラ。奥の方では、女子達がゴブリンに次々に捕まっている。後ろ手にギリリと縛り上げられ、猿轡をされている。
ゴブリンは人間の女を、性のはけ口にするらしい。想像しただけで、寒気がした…
「そんな勇者達が…」
「終わった…」
そんな勇者達の姿を見て、更に絶望の底に突き落とされる人々。膝から崩れ落ちる人もいる。
「何故…勇者達が…」
「オークにすら勝てぬとは…」
現実を受け止められない様子。
しかし、私には原因が大凡、見当がついた。
何故ってそりゃあ、皆、殆ど…いや、全く訓練してないんだから、当然だよ。
そう。召喚されたクラスメイト達は、皆が皆、スゴいスキルとかを得ていた。周りの人達も、それで皆をチヤホヤしていた。
が、それだけだ。強力なスキルを得た皆は、王城の人達からVIP待遇。豪華な食事に部屋、専属のメイドに執事、高そうな装備も与えられた。
そう。それがイケなかったのだろう。それで皆、自分は偉いと勘違い。要は天狗になってしまった。挙句の果て、装備が汚れるだのギズ付く等と言い出す始末。
いくら強力なスキルがあっても、鍛えていなければ、魔物達には、大した脅威にはならなかった。
その結果がコレだ。
先も言ったけど、皆、ろくに訓練をしていない。RPGでいえば、ゲーム開始して間もない状態だ。レベルで例えれば一桁台だろう。見た目は立派でも、中身は一般人並かそれ以下。それでは精々、雑魚モンスターくらいしか倒せないだろう。が、今戦っている魔物は少なくとも、二桁台はありそうだ。
そんなんで、勝てる訳が無い…
強力なスキルも活かせない。正に、猫に小判・豚に真珠状態だ。
そんな訳で、両軍の戦いは…完全に魔王軍の一方的なものになっていた。
男子は全員ボコボコにされ、死にかけの魚みたいにピクピクしている。学年一のイケメンなど、頭の形が変形し、顔は傷と血まみれ、歯もボロボロで見るも無残な有り様になっていた。自慢の装備も血糊で赤く染まっている。
女子もほぼ全員捕まり、運ばれて来た檻の中に次々と入れられていた。乱暴な子供に捕まり、カゴに放り込まれる昆虫みたいに。
皆、檻の中で泣き叫んでいるようだが、猿轡のせいで声になっていない。
こうして、召喚された勇者達は全滅した。
いや、正しくは、1人を除いて…
勿論それは、私のことではない。
彼女だ!
「氷柱!大地裂断!」
その掛け声と共に、巨大な氷柱が上空から落ちてきて、オークを貫ぬき、地面が割れゴブリンの何体かが、割れた地面の中に落下していった。
「ふぅ…」
遠矢さんだ。
他のクラスメイト達がボコボコにされる中、唯一、対抗出来ているのが彼女だった。見かけはギャルだが、中身は真面目な常識人の遠矢さんは、他の皆が怠けぬ中、真面目に訓練をしていた。
万能魔術師の遠矢さんは属性を問わず魔法を会得できる。なので今みたいに、水(氷)属性・地属性といった異なる属性の魔法を使える。
「鎌鼬!」
更に彼女は、杖を一点に向け、真空の刃を飛ばす風属性魔法を空に放った。少しして、魔法を放った方から切り裂かれた鳥型の魔物が落ちて来た。空から襲いかかってくるのに気付き、放ったのだ。
状況に応じて、各属性の魔法を使いこなしている。流石は優等生。
しかし…
「はぁはぁ…」
遠矢さんは身体をふらつかせ、杖で支えている。
魔法は自身の魔力を消費して放つ。魔力は体力と同じで、尽きると動けなくなる。ここまで一人頑張ってきた遠矢さんだけど、そろそろ限界みたい。魔法の連発で、彼女の魔力は尽きかけているようだ
「くっ…」
膝をつく遠矢さん。本当にもう、限界らしい。
そこへ、
『グゲゲゲゲゲ!!』
オークの倍くらいの背丈の魔物が現れた。三つ目の鬼の様な魔物だ。
側には同じ位の大きさの魔物が3体。
内1体は手の生えた蛇型の魔物。
他2体はハーピィ型の魔物に、黒い色の龍だった。
「!あ、アレは四天魔!」
四天魔は、魔王に次ぐ力を持った4体の魔物の総称だ。まさか、それが揃って出てくるとは…
「…」
ガタガタ振るえだす遠矢さん。無理もない。連戦でただでさえ、疲労困憊の状態なのに、そこへ四天魔だなんて…
いや。例え万全の状態であっても、遠矢1人では到底太刀打ち出来なかっただろう。
『ふむ、人間一匹にしては健闘した様だか…コレで終わりだ。まぁ、せめてもの情だ。健闘を称えて、一瞬であの世に送ってやろう!!』
「うぅ…」
鬼の魔物が鋭い爪を遠矢さんに向け、振り下ろそうとした。
「(ここまでか…お母さん、お父さん、百合島ちゃん…)」
遠矢が諦めかけた時、私は彼女の前に身体を広げて立っていた。
彼女の危機に、彼女の元に駆けつけてのだ。
『!?』
「!?なっ、百合島ちゃん!!」
「……」
「ちょっ、な、何してるのよ!?構わず逃げてって言ったでしょ!?」
「出来ないよ…」
「!?」
「だって…この世界に来てから、周りからは無能呼ばわりされてた私に唯一、優しくしてくれたあなたでしょう!?どれだけ、救われたことか…」
「…」
「それに、ろくに友達のいない私にとってあなたは、初めての心許せる友達だもん!」
「百合島ちゃん…」
「だから今度は私があなたを…」
そこまで言ったところで、鬼も魔物が話に入ってきた。
『フン!雑魚は雑魚同士で助け合いか…脆い人間らしいな…ならば、貴様から先に逝くがよい!!』
鬼の魔物は改めて、爪を振りかざした。
「「!?」」
目前に迫る鋭い爪。咄嗟に私は、印籠顕現を発動。出した印籠を盾のように構えた。
『何だそれは?そんなチッポケなモノで、分厚い鉄板をも切り裂く、我が爪を防げるとでも思ったか!?』
鬼の言う通り。これで、あの鋭い爪を防げるとは思はない。何か考えがあった訳でもない。ただ無我夢中で、咄嗟に出したに過ぎない。
何もしないよりはマシ程度に…でも…
「百合島ちゃん!!」
「遠矢さん…」
私は死を覚悟した。が、後悔はないつもりだ。彼女を守り、庇って逝けるのなら本望とばかりに…
その時だった。
【スキル覚醒条件クリア!】
脳内にアナウンスのような声が響いた。そして、手の中の印籠が光った。
次の瞬間、これから行うべきこと、スキル覚醒の詳細等が一気に頭の中に浮かんだ。この世界に来た時、スキルの使い方が自然に浮かんだのと同じだ。
そして、印籠を構えて、
「ドーマン!」
そう唱えると、格子状の印が何も無い空中に出現した。
『何だコレは?』
鬼は疑問を感じながらも、爪で私を攻撃してきた。
たが、
バキッ!
『ガァーー!!』
鬼の爪は折れてしまった。
『何をしている!?』
『ええぃ、どけっ!』
他の3体の四天魔が、代わって私を攻撃した。
が、彼等の攻撃は私には届かない。格子状の印が全ての攻撃を防いだ。いや、防ぐところか威力倍増して反射していた。
自身の攻撃を返され、負傷する四天魔達。
『がぁ…』
『何が起きたのだ…』
思わぬ事態に動揺する四天魔達。
対して私は、休まずに続けた。
「セーマン!」
今度はそう唱えた。
すると空中に、今度は五芒星が浮かんだ。そして、その五芒星が光ると共に、光線が四天魔目掛けて放たれた。
『ぐがっ!…』
『がぁあああ!!…』
光線を浴びた四天魔は、身体が蒸発する様に消えていった。近くにいた3体は完全に消え去り、鬼の魔物は全身黒焦げのようになりながらも、何とか生きているが、息も絶え絶え。先の3体のお陰で、威力が軽減された様だ。
が、それでも光線の威力は凄まじく、余波で魔王軍の8割方の魔物が消し飛んだ。
『うぅ…』
私を警戒しつつも、後方の部下達を見る。軍はほぼ壊滅寸前だ。
『こんな事が…』
一気に形成は逆転した。
鬼に私は、
「今すぐ引くなら、命は助けてあげるけど、どうする!?」
と、問いかけた。
『何を…人間ごときが…』
尚も戦おうとする鬼の魔物。
それを見て私は、
「控えなさい!!」
と、魔王軍に印籠を突き付け、叫んだ。
すると印籠の紋が輝き、
『うっ!?』
次の瞬間、鬼は頭を地面につけていた。生き残っていた、魔物達も同様に。
そして、その場にいる全ての魔物達は、
『『『ははーっ!!』』』
と言ってひれ伏した。
『(何故だ…逆らえん…こんな人間の小娘に…)』
「全員すぐさま自分達のいた場所に帰りなさい。そして2度と攻めてこないこと。解った!?」
『…はっ!全軍撤退だ!!』
鬼は撤退を指示した。
『(くっ…何故…)』
「ちょっと…」
『!?』
「皆を解放して!」
縛られ檻に入れられたクラスメイトの女子達を指差して、命じた。
『ははっ!おい!』
鬼の指示で、ゴブリン達は女子達を解放した。
『では、我々はコレで…』
「うん。あ、後それから…」
『まだ何か…』
「もしも、約束を破ったら…」
印籠を見せると、鬼の身体に五芒星が浮かんだ。
『コレは!?…』
「さっき消え去った、他の四天魔みたいになる事になるわよ!」
『なっ!!』
「特殊な爆弾みたいなものね。大丈夫、約束を守れば害はないから。だけど、破ったが最期。正確に言うと、魔物だけを滅する光がアナタから放たれて、周りの魔物を巻き込んむでしょうね!」
『…肝に銘じます…』
そう言い残しだ後、生き残った彼等は全員、魔界に帰っていた。
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「セーマンにドーマン!?」
「そう。どちらも三重のとある地方に伝わる、海女さんが身に付ける、魔除けのお守りよ!」
ここは王城の豪華な部屋。そこで私達は話している。
「セーマンは有名な陰陽師「安倍晴明」が、ドーマンは晴明のライバル、蘆屋道満からきているらしいわよ!」
「晴明は知ってる、メチャ有名人じゃん!」
セーマン・ドーマン。それはかつて存在した陰陽師の2人がルーツ。何方も魔物を防ぐ力があるとされている。
私の印籠顕現で出した印籠は、それらの力を使えるのだ。ドーマンは魔物からの全ての攻撃を防ぎ、セーマンの光は魔を滅する力を持つ。
時代劇とは少し違うけど、そういった作品も観たことあるので、知っていた。まぁ、陰陽道と印籠がどう関係するかは置いといて…
そして印籠のもう一つの力。それは、悪しき者たちをひれ伏させる事だ。相手が強ければ強い程、その力は強まるみたい。
「にしても、本当スゴかったよリツちゃん!リツちゃんを無能呼ばわりしてた奴ら、ざまぁ見ろってね!」
「ふふふ、ありがとうサヤちゃん!」
そう。あの一件で私達は、大の仲良しになった。互いに下の名前で呼び合うくらいに。
「さてと、町に美味しいもの食べに行こう!」
「うん!」
部屋を出て、城内の廊下を並んで歩く私とサヤちゃん。その間、何人ものメイドや使用人とすれ違う。すれ違った全ての人達が、
「お出かけですか!?」
「えぇ、城下の方にね。」
「いってらっしゃいませ、百合島様・遠矢様。」
あの一件で大きく変わった事。それが、城での私への対応だ。この力で、国の危機を救ったのだ。
皆の掌返しがスゴかった。蔑んでいた私に対して皆、分かりやすいくらい、ご機嫌取りをするようになった。部屋もボロ小屋から一転、高待遇だ。皆、都合のいいことだよ…
勿論、唯一魔王軍に対抗していたサヤちゃんも当然。
あの一件後、魔物達は私の事を恐れてか、この国には近付かなくなった。お陰で国は平和になった。町の人達からも、英雄だの救世主呼ばわりされている。
そんな訳で町でも高待遇の私達。町のカフェでお茶をしている。
「にしても、早く地球に帰りたいね!」
「うん、準備にまだ時間がかかるみたいだけど、早くしてくれないかな…見かけの時代劇映画の続き気になるし…」
「それって何て映画?」
「⚪⚪監督の作品で、少し古いやつなんだけど、これがまた、ストーリーが…」
といった感じで、おしゃべりを楽しむ私達。
王城では、私達の帰還の準備に取り掛かっている。実は、魔王を倒さないと帰れないというのは真っ赤な嘘で、本当は、帰そうと思えば帰れるのだが、その準備にはかなり時間と手間がかかるそうだ(後 金銭面的にも)。
それも私の印籠の力で聞き出した。この印籠の前では、誰であれ、嘘はつけないのだ。
お茶をすまし城に戻ると、
「あっ百合島さん、遠矢さんどうもっス!」
「どうもこんにちは!」
「ごきげんようです!」
なんとも腰の低いクラスメイト達。因みに皆、この世界の治癒師のお陰で、後遺症もなく回復した。
特に女子はペコペコしている。何しろ、貞○の危機だったからね…
何だか本当に、偉い人になったみたいだ…
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そんな感じでこの世界で過ごし、帰還の準備が出来、私達は地球に無事帰還し、元の日常に戻った。
地球では、私達がこの世界に呼ばれた直後の時間だったので、何の騒ぎにもなっていなかった。
地球に戻ってから調べてわかったけど、私の出す印籠の紋、それは 龍体文字と呼ばれるものだった。
龍体文字とは、古代日本で使われていたとされる「神代文字」の一種で、神の力が宿ると言われ、龍のパワーを宿した文字と言われている。全48文字で、一文字一文字に様々な意味があり、書くだけで願いがかなうとされている。
印籠の紋は、龍体文字の【フトマニ図】というものだった。歴史関連の本で見たことがあったのを、この時に思い出した。
皆、元の生活に戻ったのだけど、私達だけは少し違った。
地球に戻っても、私達は大の仲良しだった。休みの日に一緒に遊んだりするくらい。
その日も一緒に遊んでいると、ガラの悪い人達が絡んできた。ナンパだ。
無視しようとすると、キレて突っかかってきたので私は咄嗟に、印籠顕現を発動。
印籠を突き付けると、ガラの悪いは皆ひれ伏し、事なきを得た。
そう。地球戻ってクラスの皆は、スキルの力を消失したが、何故だか、私とサヤちゃんだけは消えなかった。まぁ、サヤちゃんの力は、こっちではおいそれと使えないけど。
「本当、スゴい力だね。あんなガラの悪い連中を無力化しちゃってさ!」
「へへ…」
「そういえば、何だってあのタイミングで、スキルが覚醒したんだろ?覚醒条件ってなんだっのかな?」
「さぁ…」
と誤魔化したけど、実は私、知っている。
印籠顕現の覚醒条件。それは…
そう思いながら、ジッとサヤちゃんの顔を眺める私。
「どうしたの、アタシの顔に何か付いてる?」
「ううん何でもない!」
サヤちゃんにも内緒にしている。何だか少し、照れくさいからだ。
スキルの覚醒条件は、
【誰か大切な人の事を、心から守りたいと思う事】
だから。
「あっ、イケない、映画始まるっちゃう!急ごうサヤちゃん!」
「オッケー、リツちゃん!」
これから映画を見に行く。最近人気の、若手俳優が主演を務める、勿論、時代物だ。
私達は映画館目指し、手を繋いで走った。
ー完ー
またも終盤が雑になってしまいました。コツコツ直しています。
セーマン・ドーマン・龍体文字等は、実際にあります。長くなるので、詳しい説明等は省いてます。なので、もし、興味がございましたら、各自でお調べ下さい




