第7話 **比較的な気持ち**
「ねぇ、カテイちゃん、猫に生まれるってどんな感じ?パパには全部が素晴らしく見えるんだけど…何か、猫に生まれて嫌だなって感じることってあるの?」
……
まただよ、このメガネの奴はいつも脳で物事を分けて考える…まったく、ニャー
まあいいさ…今日は美味しいウェットフードと猫のおやつを出してくれたから、特別に話してやるよ。我輩たち猫にとっては、「好き vs 嫌い」や「美しい vs 美しくない」、「良い vs 悪い」といった二元的な評価はあまり意味がないんだ。人間のように他者の存在を比較して評価するという考え方は、我輩たちには馴染まないものだ。(この言葉、もう112回はメガネの奴に目で訴えたかもしれないが、まだ理解してくれない…猫も疲れるよ、ニャー)
人間の意識(通常の?)では、家族や社会、そして環境によって条件付けられてきたせいか、常に自分を他人と比較するように教え込まれてきたのだろう。メガネの奴もそうだ。彼は一度、我輩に話してくれたことがある。彼の両親や教師、そして知り合いの人々が、「何をしてるんだ?他の人たちはみんな成功しているのに」や「○○を見習ってみろ、なぜ彼らのようにならないんだ?」などと言っていたらしい。メガネの奴はこう言った、そうした「ゴミのような考え方」を植え付けられた結果、自分も他の人間たちも、商品に値札を付ける機械のように他人を評価する癖がついたのだと。(そうだ、あの値札を付ける機械と同じさ、メガネの奴が文房具屋でよく使っているやつとね…)
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他者と比較して評価する心は、確かに人間の文明が発展する一因となったかもしれない。なぜなら、それが競争に打ち勝つための動機を生んだからだ。しかし、その一方で、この比較する心が人間の魂に深い傷を残し、脳と心を自由に使えなくしてしまう。まるで邪悪な魔法使いに呪いをかけられたように、自分の思考と心の迷宮に迷い込んでしまうのだ…ニャー。
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猫の意見としては簡潔にまとめると、「比較をやめて、自分や他人の価値を決めるのを控え、違いを受け入れろ」と言いたい。そうすれば、この短い人生における無駄なストレスや苦しみが大幅に減るはずだ。でもよく考えてみると…たぶん、君たちのほとんどはそれができないんだろうな…555 ニャー
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(第8話に続く)