第5話 **ネコ風のプライバシー**
我輩はただ静かに壁を見つめるのが好きだ…
我輩は窓の外を眺めるのが好きだ…
我輩は心の中の静寂が好きだ…
…
…
…
(ふぁ~あ…眠いな…ニャー)
…
…
…
外の世界がどれほど混乱していようと、我輩の心の中は深い海の底のように静かなままだ。
それにしても、なぜ我輩はこの静寂が好きなのだろうか…
わからない…ニャー。でも、なぜ人間はいつも「好き vs 嫌い」という二者択一しか持たないのだろうか…?!メガネの奴もいつもそんな感じで、感情や心を愚かな選択肢に押し込めている。
だから、どれだけ時間が経っても、人間は我輩たち猫のように完全には考えられないのだろうな…ニャハハ~でも、それは仕方ない。
一緒に壁を見つめてみないか?メガネの奴。楽しいぞ…必要なのはリラックスと少しの忍耐だけだ…(いや、実際、猫には忍耐なんて必要ないんだけどね。ごめんよ…ズルをしているわけじゃないからさ…)
…
…
…
君は我輩に、かつてこの世界の歴史上、9年間も壁を見つめ続けた人間がいたって話をしてくれたよな!?彼の名前は何だったっけ…たしか、達磨だったよな?ニャー…あの人、本当に人間だったのか?どう考えても、魂の半分は猫だろうに…
…
…
…
…
(冗談だよ、怒らないでくれよ、あっ!どこかに行っちゃったよ…)
…
…
…
(ちょっと待って?!ニャー…ウェットフードを一個くれたら、秘密を教えてやるよ、どうだ?)
もぐもぐ…
もぐもぐ…
もぐ…
(お腹いっぱいだ…ニャー…じゃあな、バイバイ~)
…
(何だって?我輩が静寂と共に過ごす秘密を教えるって約束したって?)
(秘密なんてどこにもないよ?!次からは猫の言うことを簡単に信じるんじゃないぞ…)
(ニャハハ~)
---
(第6話に続く)