第2話 **タイ王国の政治について**
我輩は「カテイ」と申す。タイの人間たちが「オス子猫」と呼ぶ生き物の一種である。しかし、実を言うと、我輩はただの猫ではない。我輩は、遥か遠くのネコ惑星の王子様であり、その惑星の未来を背負っていたのだ。だが、あの宇宙事故によって、我輩は全てを忘れてしまった。記憶の中に霞んだ使命感と共に、タイ王国という地球上の国にたどり着いたのだ。
タイ王国では、王室の存在が長きにわたり人々の尊敬を集めてきたが、近年、その権威が揺らぎ始めている。特に、若者たちが民主主義を求めて立ち上がり、不敬罪(112条)の廃止や王室改革を求める声が高まっている。しかし、彼らの訴えは政府や治安隊によって厳しく弾圧され、多くの若者が逮捕され、幹部たちは禁固刑に処された。
この国に住むようになってから、我輩は人間たちの間での対立や葛藤を見聞きするようになった。特に若者たちのデモ活動が頻繁に行われていることに気づいた。彼らの目には、未来への希望と同時に、王室に対する深い不満や怒りが映し出されている。我輩は彼らの声を聞きながら、自分の惑星での使命を思い出そうと努力するが、記憶は曖昧で、どうしても核心に触れることができない。
一方で、王室への忠誠心を強く持つ人々もまた多く存在し、彼らは若者たちの行動を裏切りと見なしている。こうした複雑なタイ社会の中で、我輩はどうやって「自分の使命」を見つけ出し、この国に平和をもたらすことができるのか。タイ王国の歴史的な瞬間を目の当たりにしながら、我輩は新たな決意を胸に秘め、少しずつだが自分の役割を果たすべく行動を起こすことを決意する。
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(第3話につづく)