第1話 **我輩は「カテイ」である**
我輩は「カテイ」と申す。タイの人間たちが「オス子猫」と呼ぶ生き物の一種である。毛は白と黒のまだら模様…いや、待て、正確には黒と白のまだら模様と言った方がいいかもしれない。我輩は「ワット・マハータート」という、王宮近くの寺で生まれた。あのメガネをかけた奴が我輩を見つけて、ボロボロの段ボール箱に入れて誘拐していったとき、我輩は人間の時間でおよそ2ヶ月の年齢だった。正直言って、我輩にはこの誘拐がメガネの奴にとって何の利益をもたらすのかさっぱり理解できなかったが…
ただ一つ言えるのは「まぁ、悪くないか」ということだ。なぜなら、ここに来てから、寺にいた頃よりもずっと美味しい食べ物を大量に味わうことができたのだ!寺にいた頃の方が、運動するための広いスペースと新鮮な空気はあったけれどもね。それでも今、我輩はこのメガネの奴とそのぽっちゃりした恋人と一緒に「巣、別名: アパートの一部屋」の中で暮らしている。気がつけば、もうすぐ2年が経とうとしている。しかし、正直に言わせてもらうと、「ニャー、まったく理解できない!」メガネの奴の、むっつりとして矛盾だらけの行動には、まだまだ我輩の猫脳では理解できない部分が多いのだ。
さて、どこから話せばいいのだろうか。我輩たち猫は、自分の感情や考えを友達や兄弟姉妹、ましてや精神科医に打ち明けるようなことはしない。目を合わせるか、尻の匂いを嗅げば、相手が何を考えているかはすぐにわかるからだ。しかし、ここではこのメガネの奴の理解不能な行動を、少しだけ君たち人間に紹介しよう。
1. あのメガネ野郎は、四角い棒をいじって、その光と音に夢中になることが多い。食事も、そして我輩という主猫の存在さえも、あまり気にかけていないようだ…。
2. メガネが部屋に戻ってくるたび、その顔は疲れ切っていて、何か思い詰めた表情をしている。そして我輩を抱きしめ、キスをし、撫でながら、「ティーちゃん、愛してるよ」とか何とか人間の言葉でぶつぶつ呟いている。
3. 我輩から見れば、メガネの奴は奴隷としてはよく働いている(餌を与え、トイレを掃除し、おやつもくれる)。しかし、その奴は奥さんから「怠け者で真剣さが足りない、人生に本気で向き合っていない」と毎日のように軽蔑されて叱られていることが多い。
4. メガネの奴は本を読むのが好きで、まるで学者のように知識を追求しているように見える。しかし、我輩が褒めようとした矢先に、メガネの奴は何か他のことを始める。ゲームを取り出して、また四角い棒をいじり始めるのだ。これでは、集中力という点では我輩たち猫には遠く及ばないことが明らかだ…ニャハハ〜。
5. メガネの奴が扉を開ける瞬間を狙って、外に出て遊ぼうとすると、必ず奴が我輩を追いかけてきて、この狭い部屋に閉じ込めるのだ。我輩たち猫は狭い場所が好きで、例えば段ボール箱の中に潜り込むのは楽しいが、ずっとそこに閉じ込められてしまうのはやっぱり「嫌」だ。体内に溜まったエネルギーを発散できないのは、余計なストレスの原因になるんだよ。そうだろ、みんな?
今まで述べたメガネの奴の奇妙な行動は、我輩「カテイ」の目に映ったほんの一部に過ぎない。猫の脳では理解しきれないことも多いが、まあ安心してくれ。我輩たち猫は、他の猫に「良い vs 悪い」とラベルを貼って価値を判断するような習性はない。人間がよくやるように、勝手な価値判断で自分や他人に問題を引き起こすことが多いが、我輩たちはそんなことはしないのだ。
(第2話に続く)
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