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Part1:「TS&ゲーム世界転移なオチの無い話」【表紙イラスト有】

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


※青い方がメイン主人公、星宇宙(正体はおっさん)。

 黒髪の方が別の主人公、ヴォート(Chapter4から登場、正体はおっさん)。


――――――――――


 彼の名は未知(みち) 星図(ほしと)

 べつに特筆した所はない、そろそろ三十路のおっさんの年齢の成人男性。

 趣味はゲーム実況動画、特に音声合成ソフトを用いたゲーム実況やTRPGリプレイ動画が好みだ。


 それまでは見る専門であった星図だが、しかし好きな動画投稿者の方々に影響されて、日に日に沸いて来る欲求を抑えらなくなり。

 ついに自分でも動画作成に挑戦する事にしたのだ。



 実況プレイに選んだゲームは。今も夢中の、海外製であるファーストパーソン形式を取るロールプレイングゲーム。


 ――〝ザ・ダウンワールド・レジェンドⅤ〟。


 科学と魔法が交錯し、しかし荒廃してしまった世界を旅するゲームだ。



 そして実況に使用するのは、最推しの音声合成ソフトキャラクター。


 ――〝路宵郷(みちよいきょう) もか〟。


 イメージキャラクターの姿は、茶髪の長めのショートカットの映える、少し一匹狼気質のような雰囲気の美少女。

 そしてそのソフトにより調整されて紡ぎ奏でられる声は、大変にパワフルでそして人を魅了するもの。



 その最推しキャラクターのソフトが先日手元に届き。同時に環境も整えた。

 そして迎えた、明日明後日は休日となる仕事上がりの夜。

 いよいよ星図は、自身も音声合成ソフトの実況動画投稿者となるべく。その作業の一歩を始めようと――



 おもてたんだが――



「――気づいたら、そのゲーム世界に入り込んでしまっていた」


 それは星図の言葉。

 何を言っているんだと皆思うだろう。

 分かっている。しかしそう思っているのは彼自身も同じだ。

 そしてしかし、驚くべきはそれに留まらなかった。


「これ……マジか……?」


 星図の視線と意識は目の前に向いている。

 目の前は何か半透明のスクリーンが、大きな姿鏡のサイズでSFチックに投影されている。


 そこに映るは――一人の美少女だ。


 少し長めの、鮮やかな青髪が眩しい大変な美少女。

 格好は女学生の制服を模したような、しかし同時にアイドルのようなイメージを受ける服装。

 言ってしまうと、お胸は少しつつましい……


 そしてだ。

 星図が自分の体を動かしてみれば、スクリーンに映る美少女はそれを反映してか、まったく同じ動きをするではないか。

 さらに、星図が自身の身体に視線を落とせば。

 そこに見えるはその美少女と同じ衣装、いや同じ身体。そして自身の意思によって動く手足は、しかし自身のものではなくそのスクリーンの美少女と同一のもの。


 そう、その美少女は――星図自身であったのだ。


「やっぱり俺自身なのか――」


 訝しみながらも、その事実を漠然とだが確認して言葉を零す星図。

 その声は、その紡がれ聞こえる声色は。何人をも魅了してしまいそうな大変な美麗なものだ。


「――〝美惑(みわく) 星宇宙(ほしぞら)〟……これがこの子、いや俺の名前か」


 そしてまた投影されるスクリーンに目を移せば、その端にそんな名称が記述されている。他にはステータスのような記述や数値も一緒に見える。


 どうにもそれこそがこの美少女――いや星図自身らしい。


 そしてそのステータス画面も、気づけばよく見知ったもの。

 それは他でもない実況しようとしていた洋ゲー、ザ・ダウンワールド・レジェンドⅤのウィンドウであった。


「――どぅひひ。マスターかわいいねぇっ♡」


 そんな諸々に気づきつつある星図――以降は星宇宙――に向けて。

 背後横より透る美麗な声で、しかし反した気持ち悪い台詞が寄越されたのはその時。


 星宇宙が振り向きそこに見えたのは、茶髪が映え。青色ブレザーの女子高生制服姿に身を纏う、一見は一匹狼風の美少女。

 その美少女こそ、星宇宙の最も推し合成音声ソフトキャラクターの――路宵郷 もか、だ。


 その、もか――以降見やすさの関係上、モカと表記――は。

 しかし一匹狼系美少女の容姿に反した、いやらしさ丸出しの顔で星宇宙を見ているではないか。


「……モカ……それよりマジなんだな?ここが、TDWL5(ザ・ダウンワールド・レジェンドⅤ)の世界だって――?」


 その見た目美少女のモカする、しかしヤラしいおっさんムーヴを白い目で見つつ。

 その自分をマスターと呼ぶモカに向けて、星宇宙はそんな尋ねる言葉を紡いだ――

パクr――オマージュ元が多々あるんですが、分かった人はぼっくんと握手!

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