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第一章6 『装備の錬成』

「らっしゃい。買い物か?錬成か?」


店に入って1番最初に聞こえたのは、いかにも職人という感じの人の声だった。


「錬成をお願いしたいんだけど、どれくらい時間かかる?」

「物にもよるが、比較的簡単なのなら今できるし、たくさん効果付与するってなら1日はかかる。どうする?どんな効果をつけたい?」


ユウは持っている鎧を机の上に置いた。


「物理的な攻撃を防御する自信はあるけど、魔法系の防御にあまり自信がないんですよ。だからそっち方面でお願いしたいです」

「分かった。魔法系全般防御となると、ここに書いてある通り、かなり値が張るが大丈夫か?」


机の上に書いてあった紙には、銀貨100枚からと書いてある。

宿に1人で30日間ほど泊まれるような額だ。


それに対して、持ち金は銀貨104枚と、銅貨が数枚程度。

王様にもらったのが、銀貨100枚だから、有り金の大半を叩くくらいだろう。


一応、王様は旅立ちのときに銅貨100枚だけしかくれないという、薄情者ではなかった。


「あと、少し軽量化できるならしてもらいたいです。」

「軽量化ですか。1割軽量化ならサービスでやってやる。どうする。もっと軽量したいか」

「1割で大丈夫です」

「値段は、そうだな。2人とも可愛いから、おまけね。銀貨70枚」


この際、値引きしてくれたので、プラマイゼロとしてやろう。うん。プラマイゼロ。マイナス寄りだけど。


「分割払いもできるが、どうする?」

「一括で大丈夫です」

金を取り出して、その場で払った。


「はい。70枚ちょうどだな。日が暮れるくらいに取りに来いよ」


終わったので謁見に向かおうとしたが、ユウはまだその店で何かをするつもりらしい。


「マイはどうする。重装備ができないから、そのローブに物理耐性を少しくらいつけておいてもいいと思うんだけど。私が守るって言ったって、限界があるからさ」


確かに僕は鎧などは着けられないがだが、その必要はない。


「いや、姉さん。妹ちゃんは大丈夫だと思うよ」


妹ちゃんとは何だ。僕は、ユウと同い年だ。

ユウは僕と反対の方を向いている。絶対こいつ笑ってやがる。


「そのローブの模様、全部魔法陣だと思うんだけど。違うか」


ユウが笑っているのは、一旦置いといてやろう。


「はい。よく分かりましたね」

「一応、錬成似たような技術だから、少しその技術もかじってるんだよ。にしても、ローブ一面に物理防御魔法陣やら、魔力防御魔法陣、状態異常魔法耐性魔法陣が書かれている物は初めて見た。それ描くのに一年以上はかかっているんじゃあないのか?」


そこでユウが口を挟んだ。


「待った待った。私全く話についていけてないから、少し詳しく話して」


ユウがそう言うと、この店の店長は笑いながら言う。


「実際に見てみた方が早いかもな」

そう言って、店の奥からボロボロの使い物にならなそうな剣を取り出してきた。


「姉さん。それを妹ちゃんに叩きつけてみな。まあ危険だから、当たる直前に止めてもいい」

「え?マイ。本当に大丈夫なの?」

「いいよ。思いっきりやっちゃって」


絶対に大丈夫と言う確信がある。このローブに魔力を流せば、魔法陣が発動して何重もの魔力で作られた結界が発生する。そんなボロい剣では、貫けたとしても、結界の三分の一程度だろう。


ユウが剣を振り上げる。そして、一気に振り下げた。当たる瞬間、ローブに魔力を流し込む。


バギィーンッ。当たる瞬間、剣が折れた。


「結界、半分くらいまで削れた。ユウに鋭いやつで本気で叩き込まれてたら、しっかり死んでたかも」

「え?折れた?どんだけ強い魔法使ったの」

「普通だよ」


「ああ、その折れた剣は置いといていけ。多分だけど、その魔法陣全部起動してないだろ」


折れた剣を拾って台の上に置く。


「はい。他には雷魔法とか、反撃できるものもあるので、流石に全部起動するわけには」


 それらも起動すれば、普通に負傷するくらいの威力は出る。普通の人だったら死ぬことさえもあると思う。


「マイ、それ昔から着てるよね。どこで買ったの」

「買ったんじゃなくて、師匠に魔法を教えてもらっていた時、魔法陣を書く練習をこの布でやってたんだよ。それを捨てちゃうのも勿体無いから、服屋でその布をローブにしてもらったんだ。あのおばさんがやってる服屋でやってもらったから、こんな感じのデザインのができた」


このローブを縫ってくれたおばさんは僕のことを女の子だと思っているため、少し余計なデザインも付けられている。


おばさん曰く、女の子なんだから、もっと可愛いの着なさいとの事だ。だから、少し余計な部分も多い。


「ああ、あのおばさんに結構気に入られてるもんね。放っておくと一日中着せ替えられてたり」


地獄の風景が蘇ってくる。


「じゃあ、マイは錬成してもらう必要はないんだね?」

「うん」


「よし。ならば、これだけでいいな」


「はい。装備の錬成よろしくお願いします」

「はいよー」


店から出て、大きな屋敷の方に向かう。


「結構な値段だったけど、何かやって稼がないとね」

「大丈夫。何なら、ここの王様に払わせてもいいし」


「う、うん」

王様どんまい。

いや、王様からしたら別に大した事はないだろうか。


ユウは鎧を置いてきたので、全くの手ぶらの状態だ。


「ユウ。剣は?」

「部屋に置いてきた。マイがいれば何とかなるでしょ?」

「まあそうだけど」


「なあ、姉ちゃん。まだ早いが、俺らとどうだい?」

前から来たのは、感じの悪い男たちだ。


ユウと目が合った。


「ほら」

「ほんとだ」


「なんだよ?2人でこそこそ」

「そんなことしてないで行くぞ」

「妹さん。君のお姉さん借りていくぜ」

「姉さん。断ったら、妹ちゃんがどうなるか分かってるな?」


ご丁寧に1人、1セリフずつ。


男たちがユウを囲んで、勇者の肩を掴んだ。

僕は、俯いていた顔を上げて、その4人組を睨む。


「ん?こいつもけっこう」


そう言いながら男は、僕の顔を覗き込んだ。

そして、肩に手を回される。


「ははは。お前は、そっち系趣味だもんな」

「るさいな。お前らがいらないなら、こいつは俺1人でもらうとするよ」


これ見よがしにため息をついてみる。


「はぁ。気持ち悪い」


予想通りの反応が返ってくる。

「あ?なんつった?大人しくついてくるなら、さっきのは見逃してやるが」


「ちゃんと聞こえてるじゃん。それなのに聞き返してくるのは、頭がちょっと……どころか結構、狂っちゃってるかもね」

「テメェ。自分の言ったことわかってるんだろうな」


おっと、めんどくさい事になってきた。


「はーい。じゃあ、この後の展開を予想しますね」


ユウが場の雰囲気に合わない、テンションで声を上げる。

語尾に音符がつきそうな勢いのテンションだ。


「この後、気持ち悪い顔のあなた達は、マイに『お前らこそわかってんのか?』て言われて、逆ギレしまーす。で、マイにあなた達は殺されちゃう。めでたしめでたし」


おお、とうとうやりやがったな。挑発しすぎじゃないか?


「なんだよ!お前ら。今から謝っても、許さないからな?」

「君たちが今僕らに謝ったら、許してあげるけど。どうする?」


これはもう、相手方さんの頭もプッチンでしょうね。関係ないけど、プッチンプリン食べたい。


「もう怒った。容赦しねぇ」

「あらら。大丈夫なの?そんなこと言って。『最小最強の賢者』に。もう動けないと思うんだけど?」


ユウのいう通り、もう誰も動けないだろう。


拘束魔法だ。


「さーて。どうして欲しいかな?一人一人炙って、脊髄まで頂くか。若しくは、こんな不味そうなのは魔物の餌にするか」

男達の顔が恐怖で歪んでいく。


「おばちゃん。この瓶一本ちょうだい」

「ユウ。それは名案だね」

「ん?そいつらやったら疲れるだろうから、水買ってるだけだけど?」


「……」

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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