71 アンヌに相談②
「それは愛されてるってことでしょ?デーヴィド様はきっとシェルが隊員の男の人と仲良くしたり、治療で触れたりするのが不安なのよ」
「そんなこと言われたら治癒士の仕事なんてできないわ」
私はムーっと頬を膨らます。
「デーヴィド様は実は何年も前からミシェルが好きだったんでしょ?それがやっと両想いになって、今愛が溢れ出して持て余してるのよ。向こうの愛が大きすぎて、本当にミシェルは俺のこと好きなんだろうかって不安なんじゃない?それが嫉妬に繋がったんだろうね」
「私のこと信じてくれてないようで嫌よ」
「んー……まあ、本当なら十歳も上だし大人の余裕みせて欲しいわよね。でも逆に歳が離れてるから不安に思うのかも」
「……確かに告白した時も、年齢差は気にされてたわ」
「でしょ?許してあげなさいよ。貴方を愛してることに変わりはないのだし」
「で、でも、彼があんな破廉恥なことするなんて驚いたの!人が来るかもしれない場所で信じられないわ!!」
私は全身真っ赤になりながら、彼を拒否する。
「ああ……うん。シェルはそういうの疎いものね。それくらいは恋人同士なら普通にするわよ」
「ええ――っ?本当に?」
私は信じられなくて目を見開いて驚く。じ、じゃあ世間では普通のことを私はずっとデーヴィド様に怒っていたということ?
「嫌って言ったのにやめてくれなかったのは、完全にデーヴィド様が悪いとは思うけど。でも、殿方は途中で止まれないこともあるのよ」
「じゃあ、アンヌもディラン様とそーゆう場所で口付けするの?」
アンヌは急に話を振られてゴホゴホとむせる。
「何度か……あ……るわよ」
彼女も珍しく頬を染めて小声で答えた。そうなのか……そんな恥ずかしいことが当たり前に行われている事実に驚いてしまう。
「でも、無理することはないわ。無視するのではなく、デーヴィド様ときちんと話すべきよ。嫌なものは嫌と毅然と拒否したらいいわ」
「そ、そうよね。私にはまだ無理そうだもの」
「ええ、きっとデーヴィド様はそんな初心なシェルが好きだもの。大丈夫よ」
なんか色々なもやもやが、アンヌと話してスッキリした。ちゃんとデーヴィド様と向き合ってみよう。やっぱり持つべきものは友だなとありがたく思った。
「ふふ、でもアンヌはディラン様と上手くいっているのね。レストランの時は喧嘩してたから心配してたのよ」
「私、彼の気持ちがわからなさすぎて全部不満をぶちまけたの。冷たいことばっかり言うし!私のことが好きじゃないなら婚約破棄しても構わないとまで言ったわ」
「ええ!それは大胆なことしたわね」
彼女ならしそうではあるが、直接彼にそんなことを言うなんて……ディラン様はさぞ驚いただろう。
「それ聞いて、彼はすごい焦ってた」
アンヌはふふふと嬉しそうに笑っている。
「そこで、実は沢山の婚約者候補の中から自分で私を選んだこと。私のハッキリ物を言う性格も、この見た目も好きなこと。レストランはずっと私と行くのを楽しみにしてたのに、自分に急に仕事が入りつい酷いことを言ってしまって申し訳なかったと。口下手だし今までは恥ずかしくて君に素直に伝えられなかったが、これからはきちんと気持ちを伝えると言ってくれたの」
「良かったわね、アンヌ。愛されてるじゃない」
「ええ、政略結婚ではあるけど彼がそう思ってくれてるのに驚いたし、素直に嬉しかった。そこから……仲良くしてる」
私はアンヌをギュッと抱きしめ「お互い幸せになろうね」と誓い合った。




