表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/139

58 命懸けの約束

「私と一対一で勝負してください。そこで私が勝てばミシェルを返していただきたい」


「デーヴィド!やめよ!」


 陛下がデーヴィド様を咎める。


「私たち王の前でそのような野蛮な真似許されません。それにいくら()()()とはいえ知ってる男の血を見るシェルは後味が悪すぎるでしょう」


「本気です。受けていただけぬのであれば、私はこの場で喉を切ります」


 ギリギリと剣を押し、首からは一筋の血が流れている。


「そのようなこと……やめてくださいませ」


 私は堪え切れず震えた声で声をかけてしまう。


「いいだろう、明日の正午から勝負だ。ハーメルン王、闘技場をお借りしてもいいでしょうか?」


「それは大丈夫ですが、しかしこんなこと……」


「名目上は、交流試合としておきましょうぞ。今日はシェルは王宮に泊めさせます。二人で話したいこともあるので」


 レオナルド様は泣いてるわたしの肩を抱き部屋を退出させた。


 バタン


 扉の閉まる音が聞こえる。どうしてこんなことになったのか。私が行けば誰も傷付かないのではなかったのか。


「あいつは馬鹿な男だな。シェルの優しさを無駄にするとは」


「私、嫁ぎますから……明日中止してください」


「そうしてやりたいが、命をかけたあの男との約束を違えるわけにはいかぬ。晩御飯は一緒に取ろう、それまでは部屋でゆっくり休め」


 私の頭をひと撫でしてレオナルド様は離れて行った。


♢♢♢


「ごめんなさい……ユリアだけでも帰って」


「何をおっしゃますか、お嬢様のいらっしゃるところが私の居場所です」


 その優しい言葉にまた涙が出てくる。


 コツ……コツ……


 窓に何かがぶつかる音がする。不思議に思い、私は窓を覗き込むとそこにはなんとヘンリー様がいた。驚いて窓の鍵を開ける。


「ヘ……ヘン……」

 

 彼はよいっしょ、と窓から部屋の中に入ってきて私の口を手で塞ぐ。


「大きな声出さないで。秘密できてるんだから」


 彼は小さな声でそう言った。この部屋の前は警備が何人もついており、中からは入れないそうなのだ。


「ここ三階ですよ……なぜこんなことができるんですか」


「あー……昔女の子と遊んでた成果?基本的に窓から出入りしてたから」


 こんなに役立つなら、遊んでたことも意味あるよねと彼は苦笑いしている。そんなことを言うので、つい笑ってしまった。


「よかった、ミシェルちゃんが笑ってくれて。陛下の生誕祭から大変だったね」


「もう何がなんだか……」


「大丈夫、団長がなんとかしてくれるよ。あの人が心配だから様子みてきてくれって俺に頼んだんだ。本当は本人が行きたそうだったけど、さすがにバレたらやばいから止めた」


「ヘンリーさんにまでご迷惑を。すみません……最後の我儘です。彼に明日来ないでと伝えてくださいっ!殺されてしまうかも……」


 私は彼の腕を握り必死にお願いする。


「ミシェルちゃん……なんで団長信じてあげないのさ?」


「え?」


「俺が諦めたのは、君の相手が団長だったからだよ。隣国に嫁がすためじゃないっ!」


 ヘンリーさんが本気で怒っている。


「……なんか脅されてるんだろうけど、俺の前では偽らなくていいから」


 彼は私の手をゆっくりと握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ