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【デーヴィド視点】俺が守る

 俺はヴィクトリア様に、王宮の客間に呼び出されていた。


「どうして私と婚約できないのかしら?」


「私とミシェル嬢が婚約するからです。お手紙でもご報告させていただいたはずですが?」


「ミシェル嬢より私が劣っているとでも?」


「まさか。貴方は素晴らしい女性だが、私にとっては彼女が()()()()だったというだけです」


 この女は侮れない。見合いの場面もわざとミシェルに見せるために小細工をしていたことも調べがついている。ディランに急な仕事を振り、食事を断られたアンヌがレストランにミシェルを誘うだろうと踏んで()()()あの場所で待ち合わせたのだ。


「私を妻にして、彼女は愛人になさったら?」


 この女はそんなことを、さも当たり前のように言うので頭にカッと血が昇る。


「彼女を愛人になどするわけがないだろう」


 俺は怒りで拳がわなわなと震える。


「あら、そう。よっぽど大事なのねえ」


 そう言ってニヤリと意地悪く笑った。


「知らないでしょうから、良いことを教えてあげる。アルシャ帝国の王も貴方の大好きなお姫様を御所望らしいわよ」


「アルシャ帝国の王が……?」


 俺はそれを聞き呆然とする。アルシャ帝国とは我がハーメルン王国の隣国にあり、有数の軍事力を誇る大国でいる。今のところは我が国との関係は良好なはずだが……まさか王と彼女の接点など見つからない。それならば我が国の治癒士(ヒーラー)を一人寄越せと言っているということか??


「陛下が臣下を人質のように差し出すわけがないでしょう。しかも治癒士(ヒーラー)は我が国とっても得難い宝でもある」


「宝だからこそ、強い隣国にあげる価値があるんじゃない」


 うふふふ、と嫌な笑い声が聞こえる。まさか、本当の話なのか。俺は背中に冷や汗をかく。


「そんなことはさせません」


 俺は彼女を睨み、ギリギリと歯を噛む。


「私は彼女と必ず結婚しますので。失礼致します」


 足早に客間を去り、早く手を打たなくてはとミシェルの父上の執務室へ向かった。


♢♢♢


 ミシェルの父上に先程の話を伝える。今のところ、陛下からそのような話はないが気をつけるにこしたことはないということだった。


「ミシェルを他国に渡すなど許すことはできぬ。治癒士(ヒーラー)は少数なせいで、常にそのような危険にさらされてきた。他国からも狙われるから、子ども二人が成人するまでは誘拐にもかなり気を付けていたんだ」


「そうだったんですね……そんなご苦労があったとは」


「私も情報を集めるが、君もミシェルを頼む。あとこのことはミシェルには黙っていてくれ……不安にさせたくない」


「わかりました」


 婚約についても、早くする方が安全だということになり一週間後に婚約書類を出すことになった。通常婚約する場合は色々と用意があり、一ヶ月はかかるがあのような話を聞いた以上、正式な婚約者になっておかないと危険だとの判断になった。


 例え大国の王であろうと、ミシェルを渡すなど有り得ない。何に変えても俺が守ると心に決めた。

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