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50 プロポーズ

 彼は私の前に跪き、左手にキスをした。


「デーヴィッド・フォン・メクレンブルグはミシェル・ド・ロレーヌを生涯愛し続けると誓います。私と結婚していただけませんか?」


「はい、私もデーヴィド様を愛しています」


 彼は私を強く抱きしめ「幸せで死にそうだ」と声を震わせた。


♢♢♢


 その後のデーヴィド様は……なんというか凄かった。私が今までみてきたクールで威厳のある団長は偽物だったのでは?と思うほど、ベタベタの甘々ぶりだった。


 気を遣って離れてくれているとはいえ、未婚の令嬢である私にはユリアが付いている。これを彼女に見られているかと思うと、羞恥で頭がおかしくなりそうだ。


 お昼になったので、私が作ってきたサンドウィッチを食べながらピクニックをしようと提案した。


 ラズリには好物のリンゴをあげる。嬉しかったのかパクパク食べた後に私の顔をペロペロと舐めた。


「ふふっ、くすぐったいわ」


 私はラズリと戯れていると、デーヴィド様は湖でハンカチを濡らし、私の顔を怖い顔で拭き出した。


「デ、デーヴィド様っ?これは何を」


「……ラズリは雄だ」


「え?」


「君に必要以上に触れてほしくない」


「いやいや、馬ですよ?しかも貴方の愛馬に嫉妬するなどおかしいです」


「……わかってる、自分が狭量すぎることは。でも今日だけは許してくれ。明日からは改めるから」


 彼は恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう言って、私を膝の間に挟み後ろから抱きしめる。

 ラズリに舐められた場所を探るように、後ろからちゅっちゅと顔に沢山キスをされた。そして首や耳のあたりもペロリと舐められてしまい、ビクッと体が震えてしまう。


「や……やめて……ください」


「どうして?ラズリと同じことしてるだけだよ」


 そんな恥ずかしいことを言われながら、そのままの体制でサンドウィッチを食べる。彼は私の手から食べたいと言い、私は仕方なく振り向いてあーんをしてあげる。


「君の味がする。美味しい」


 そう言って蕩けるような笑顔をみせるので、私はもうドキドキが止まらない。


 その後は、ラズリに乗って移動し色んな場所を回った。美しい薔薇園に行ったり港の大きな船を見たりわくわくする場所ばかりでとても楽しかった。


 あっという間に夕暮れになり、そろそろ帰ろうかと言われた。朝から一緒にいるので、離れるのが寂しい気がするがしょうがない。きゅっと彼の服を握って顔を見上げた。


「そんな可愛い顔を見せられたら、帰せなくなる」


 私達は今日何度目かわからない口付けを交わした。


「だけど、私にはしなければいけないことがあるからね。ミシェルのお父上に今日のことを報告して、婚約をきちんと認めてもらう」


「はい」


 家に帰宅して、そのまま彼はお父様に婚約の許しをもらえるよう頭を下げてくれた。私も彼を慕っており、お互い思い合っていると話した。


 お父様は一瞬、寂しそうな顔をしたが「ミシェルが幸せならそれが一番だ」と婚約を許してもらえた。ただ、ヴィクトリア様のことがあるので向こうにお断りをはっきり入れてから婚約することと決まった。


「早急にお断りを入れますので」


「彼女は諦めないかもしれぬよ。王家の人間はなかなかしつこいからな」


「わかっております」

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