表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/139

43 お別れ①

 レストランでデーヴィド様と一緒にいらっしゃった女性は、王弟の末娘であるヴィクトリア様だとアンヌが教えてくれた。彼女は社交も積極的にこなし、とても顔が広いので色んなことを知っている。


 ヴィクトリア様は私の二つ年上の二十歳だそうだ。歳の近い友好国の王子がいらっしゃらなかったため、婚約者が決まらず本人の希望で長期留学されていたそうだ。


 美しい黒髪はウェーブがかかっており、大きな目と長いまつ毛、背は小さいのに優雅で可愛らしい魅力的な女性だった。とても二人はお似合いに見えた。


 でも、振られてもいいから……自分の気持ちを伝えよう。


 私はデーヴィド様に『週末、貴方の一日を私にいただけませんか?最後にお話したいことがあります』と手紙を書いた。返事がくるかはわからないが。


 デーヴィド様にお会いする前に、ヘンリーさんにちゃんと自分の気持ちを伝えよう。


「ヘンリーさん、今日訓練が終わったら……お話したいことがあります」


 その言葉を聞いて、彼は困ったような顔をした。


「ミシェルちゃんからの呼び出しとか、普段ならめちゃくちゃ嬉しいんだけど……なんか良い話じゃなさそうだよね」


 私は何と言っていいのか、無言になってしまう。


「わかった。そんな顔しないで!笑って!終わったら門で待ってる」


 ふっと笑顔になり頭をゴシゴシと撫でてくれる。


♢♢♢


 訓練後、約束通りヘンリーさんは門で待っていた。何故か馬と一緒に立っている。


「あの……」


「これ俺の愛馬のアポロ、可愛いでしょ?でも俺以外には気性が荒いから気をつけて」


 実は私は馬にも乗れるので、慣れている。アポロに近付き「初めまして」とよしよしと撫でたら、気持ちよさそうにしている。


「アポロも君を好きみたいで良かった。これで振り落とされることはない。俺、君に見せたいものがあるんだ。一緒に行こう」


 そう言って、アポロに二人で乗って駆けていく。風を切って走るのは気持ちがいい。


 連れてきてもらったそこは、とても美しい一面の花畑だった。


「綺麗……」


「でしょ?ミシェルちゃん元気なかったから、連れてきたかったんだ」


 彼は元気付けようとしてくれたのか……相変わらずとても優しい。

 木陰に座ろうと言われ、アポロを木に括り近くに二人で座った。


「さあ、ここには誰もいないよ。なんでも話して」


 彼は明るい声でそう言った。


「私……デーヴィド様が好きです。だから、ヘンリーさんのお気持ちには応えられません」


 彼は真剣な顔でじっと私を見つめている。


「……団長、別の女と見合いしてるの知ってる?」


「知っています」


「俺じゃだめなの?団長は家のために公爵家夫人に相応しい人を探す義務がある。その点俺は三男だし一緒になっても、君はなんのしがらみもなく自由だよ?」


「だめ……なんです。彼が他の女性と一緒にいると思うだけで、胸が苦しいんです」


 私ははっきりとそう言った。


「じゃあ、逆に俺が他の女の子といても胸が苦しくないってこと?」


「……はい」


「はは……そっか。それは……俺に脈はないね。だって君を好きな俺は、君が団長と話しているだけで胸が張り裂けそうに痛くて、苦しいんだから」


 ヘンリーさんは辛そうな顔で無理矢理笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ