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39 どちらが好き?

 私はデーヴィド様とヘンリーさんのどちらが好きなんだろう?二人とも私を愛していると言ってくださっている……いつまでも答えを出さないのは不誠実だ。


 実は私は結婚しないことも考えていた。将来はお兄様がロレーヌ家を継ぐため、私は未婚のまま治癒士(ヒーラー)として当家を支えるという選択肢だ。


 結婚していなければ、いつでも戦場に行けるしお兄様のサポートが全力でできる。有難いことに私は自分で稼ぐことができるので、一人でも生きていける。お兄様が家を継がれた後は、私が本家を出て外に住むことも考えていたのだ。


 治癒士(ヒーラー)は国にとって多い方がいい。お父様も本当は側室を持つように陛下から打診があったそうだが、お母様だけを愛していると跳ね除けた。

 恐らく私が結婚しないと言うと問題になるだろうとは思う。私の子どもに能力が出るかは不明だが、治癒士(ヒーラー)が増える可能性が少しでもあるのであれば、国としては私に婚姻し子を産んでほしいだろう。


 自分の人生をどうするか真剣に考えなくては。


♢♢♢


「おはよう、昨日はありがとう」


 ヘンリーさんは爽やかに挨拶をしてくる。彼は最近は開始時刻より早めに来ている真面目っぷりだ。


「こちらこそ、楽しかったです」


「そのリボンも似合ってて可愛い」


 コソッと耳元でそう言われて恥ずかしくなる。今日はヘンリーさんに買ってもらったシンプルなリボンで髪を結っているのだ。すぐに気が付き褒める彼はさすがだなと思った。


「今日の午後から明日にかけて隊長試験なんだよね、頑張ってくる」


「きっとヘンリーさんなら大丈夫ですよ」


「君の大丈夫は魔法の言葉だな。そう言ってくれたらなんでも叶いそうな気がする」


「もし怪我されたら試験前に治しますから」


「そんな事言われたら、君に触れて欲しくてわざと怪我しちゃうかも」


 そんな笑えない冗談をヘラヘラしなが言っている。


「馬鹿っ!わざと怪我する人は治しません」


 わたしは大声でプンプン怒ったが、ヘンリーさんはなぜかそれを見て笑っている。


「怒ったミシェルちゃんも可愛いよー!」


「揶揄わないでくださいっ!!」


 あはははは、と笑いながらウォーミングアップと軽い訓練だけしてくるねと訓練場に入っていった。


 あの人はいつでもあんな感じだ。真剣だと思ったら軽口を叩いたりするので、私の心が常にかき乱される。


「おはよう……朝から元気だな」


 私の後ろからデーヴィド様の声が聞こえる。あの子どものような言い合いを聞かれていたかと思うと恥ずかしくなる。


「団長、おはようございます」


 彼は団長と呼んだ事に一瞬不満気に眉をひそめた。でも、今は他の隊員達もいるのでこの呼び方が正解だと思う。


「あいつの前での君は、私といる時とは雰囲気が全然違うんだな……」


 そう言われて、私はヘンリーさんの前では子どものように感情を出してしまってることに気が付いた。伯爵令嬢として恥ずかしい。もっと大人になりなさいと、デーヴィド様は言いたいのだろう。


「申し訳ありません」


 デーヴィド様は「君が謝る事ではない」と小声で言い訓練場へ向かわれた。


 こんな子どもっぽい態度をする私、また彼に呆れられたかもしれないなと思った。

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