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30 討伐は誰が行く

 昨日は休日だったのでゆっくり家で反省し、今日は朝から仕事に来ている。ちゃんとデーヴィド様にお礼を言わないといけないわ。


「おはようございます、あの一昨日はありがとうございました。私寝てしまって……ご迷惑をおかけしました」


「おはよう。いや、何も問題ないよ……酔った君はなかなか積極的だった」


「えっ!」


 ニヤリと悪戯っぽく笑うデーヴィド様に、私は酔って何をしたのかと顔面蒼白になる。


「あ、あの私何かしてしまったのですか?」


「秘密。でもこれからは俺以外の前ではお酒は禁止してくれ」


 うわぁ……これは絶対に何か変なことをしたのだとショックをうける。


「あの、お兄様が殴ったというのは本当ですか?」


「ああ、あれは当然だ。きっと父上ならもっとボコボコにされてただろうから。しかし、ルーカスは力が強いな……治癒士(ヒーラー)でなければ騎士として活躍できそうだ」


 そんなことを呑気におっしゃっている。


「あの、本当にすみませんでした」


 気にするな、と笑顔で頭をぽんぽんとしてくれた。


♢♢♢


 ここから二日程かかる離れた南の森に、キメラが何十匹も暴れているらしい。すぐに討伐をという指示が来たため、隊を組んでいくがキメラは一匹でもかなり強いため誰を行かすか難航している。


「数が多い……やはり、私が行った方が確実だ」


「団長はだめです、キメラ討伐に行っている間に他の依頼がくる可能性があります。何かあっても距離があるのですぐに戻って来れませんから」


 団長と副団長が言い合いながら、隊員達も含めて話し合っている。


「俺が行きます!俺が最前線に立って、副団長は後ろで隊全体を動かして下さい」


 ヘンリーが自ら声をあげた。今までそんなやる気を出したことがないため隊員達は「本気か?」とザワザワしている。


「確かにヘンリーなら大丈夫でしょうね。団長、今回はそうしましょう」


「ああ、では前線はヘンリーに頼んだ。皆、副団長の指示に従え。治癒士(ヒーラー)は……ルーカスに頼む」


「承知いたしました」


 私はまたお留守番だ。修行の身だから仕方がないけれど、本当は戦場でもっと経験を積みたい。


 キメラは強い魔物であるため、討伐すればきっと褒賞される。私はヘンリーさん自ら行きたいと言われた姿を見て、以前のやる気のない彼とは違うのだと感動してしまった。


「ミシェルちゃん、サクッと倒してくるから待っててねー!頑張って稼いでくるから」


 ヘンリーさんは私にウィンクしながら、そう言った。彼の口の軽さは身についてしまっているらしく、相変わらずだ。


「ご武運をお祈りしています」



 それから一週間後、彼は本当にあっさりとキメラ討伐を終え無傷で帰還していた。

 彼の働きは素晴らしかったらしく、暴れ回るキメラを最前線で引きつけつつ半数以上を一人で討伐したそうだ。


 軽薄だと言われてたヘンリーが本気を見せたことで、こんなに強いのかと周囲の評価は一瞬で変わった。

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