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28 素直な言葉

「あの!さっきは勝手にデーヴィド様のもとを離れてすみませんでした」


 勇気を持って、あの時のことを口に出す。


「いや、私のフォローが甘かったんだ。ジュリアの言葉で君が傷付いたかもと心配だったんだが、私から逃げる程だとは思っていなくて……」


「私、嫌だったんです。ジュリア様は貴方とお似合いに見えたから!」


「嫌……だった?」


「それに昔お付き合いされていたと聞いて、デーヴィド様は今まで彼女が何人もいらっしゃったのに、私は誰とも付き合ったことがないし、何もかも初めてで格好悪いなって」


 一度話出したらどんどんと言葉が溢れてきて止まらなくなった。


「デイヴって愛称で彼女が呼ぶのも、貴方が呼び捨てで彼女の名前を呼ぶのも……なんかもやもやしたんです!」


「そして、その場から逃げたくなってし……」


 話の途中でガバッと勢いよく抱きしめられる。


「……しい」


 ん?この人は何て言ったんだろう。


「嬉しい。こんなことがあって、君が傷付いたのにとても不謹慎だけど……嬉しい」


「え?嬉しい??」


 私は彼が何に喜んでいるのかが全然わからない。この人はちゃんと私の話を聞いてくれていたのだろうか?


「だって、君が嫉妬してくれたから」


 頬を染めながら満面の笑みで彼はそう言った。私はその言葉を聞いてパニックになる。


 (え?そうなの?私はジュリア様にやきもちをやいていたの?)


 ニコニコと嬉しそうに私を抱きしめている。


「私をちゃんと男としてみてくれているってことだろう?それに私を好きじゃなきゃ嫌な気持ちにもならないよね」


 それを聞きボンっと音がするくらい顔が赤くなってしまう。


「過去は変えられないが、今愛しているのはミシェルだけだ。君が嫌なら、今後君以外の御令嬢を呼び捨てでは呼ばないようにすると誓うよ」


「い、いえ……別にそのようなことしていただかなくても大丈夫です」


「いや、もう呼ばないと決めた。あと、君は恋人がいなかったことが格好悪いと言ったがそんなことはない。むしろ私にとってはとても嬉しいことだし、自分が君の全ての初めてを欲しいと思ってる」


 全て欲しいなんて、恥ずかしくて頭がパンクしそうだ。


「で……でも、逆にデーヴィド様の初めてを私は何ももらえないじゃないですか」


 不公平だと、ついプイッと怒ったように言ってしまった。


「ははは、今日のミシェルは本当に可愛いらしいことを言ってくれるね。私がこんなに女性を心から愛したのは君が初めてだ。求婚したのも、結婚したいのも全部君が初めて」


 私は頭がぼやーっとしてきた。きっと、この甘い言葉とアルコールで酔ってしまっている。


「私はデーヴィド様のことす、好きだと思います。でも……私、まだ貴方とお付き合いしたり、結婚したいくらい好きなのかは自信がないんです」


 私は自分の気持ちを隠さずに正直に伝えた。


「こんな中途半端な気持ちの私は、貴方に相応しくない気がして。デーヴィド様にも失礼ですし」


「ミシェルが少しでも私を好きだと思ってくれてるだけでいいんだ」


「でも……」


「うん、わかってる。君が婚約してもいいなって思えるようになるまでちゃんと待つから安心して」

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