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【デーヴィド視点】幸せな時間

 夜の観劇だと思い、少し大人っぽいドレスを贈ったがそれがいけなかった。


 ミシェルの瞳と同じサファイアブルーの細身のドレス、裾にはレースの蝶々がふわふわとたくさんついている。


 彼女はそれを見事に着こなし、大人の女に変身した。いつもより広めに開いた胸元は溢れそうな程豊かに実っており、腰のくびれやきゅっとしまったお尻もセクシーだった。


 まさかこんなにスタイルが良いなんて、想像以上だったなと思った。僕が彼女をドキドキさせたいのに、彼女にはいつもドキドキさせられっぱなしだ。


 彼女を見た瞬間、俺は見惚れて固まってしまった。紳士としてすぐに彼女を褒めたいのに、素敵な彼女を前に上手く言葉が出てこない。


「あまりに……いつものミシェルと雰囲気が違うから驚いたんだ。こんなに美しく大人なレディになるなんて」


 結局、当たり障りのない普通の言葉になってしまった。もっと気の利いたことを言いたいのに、俺はだめだな。


 (ああ、それにしてもなんて美しいんだ。ついこの間までは可愛らしい少女だったのに、すっかり大人の女性へ羽化したようだ)


 劇場に入ると、目立つ俺たちに視線が集まる。男どもの明らかにミシェルへ下心のある視線に腹が立つ。彼女の胸ばっかり見やがって……この世から消してやりたいくらいだ。


 俺はその視線に耐えられなくなり、無理矢理自分のジャケットを彼女に着せて胸が隠れるようにした。


 ボックス席を無邪気に喜んでくれて嬉しかった。見た目はセクシーなのに中身は無邪気で可愛らしいだなんて最高で言葉にならない。


 その後は抱き寄せて彼女を堪能する。恥ずかしいと言われたが、嫌ではないらしいので腰の手を離してあげることはできない。


 (やっぱりあの手紙と同じ香りがする……とてもいい匂いだ。それに、ミシェルはどこに触れても柔らかいな)


 ふと彼女の左手を見て、この前のヘンリーがしたキスを思い出しイラっとする。デートに誘っていたということは、本気で好きな女=ミシェルということで間違いないだろう。絶対にあいつに彼女を渡すものか。


 左手をさっと取りヘンリーを上書きするようにキスを落とす。きゃ、と彼女は驚いたが「この前ヘンリーにされてたから嫉妬したんだ。彼には許したのに私はだめなのか?」と言うと恥ずかしそうに黙った。それを見て、もう一度同じ場所にちゅっとキスをする。

 こう言えば彼女が受け入れてくれることをわかっていて、あえてそうしている俺は意地が悪いのだろう。


 ミシェルは劇を観ながら涙を流したり、笑ったりころころ表情が変わっていた。


 なんて素直な反応なのだろう。俺は劇ではなく彼女の横顔をずっと眺めていた。彼女をこんなに近くで眺められるなんて幸せだ。


 しばらくして劇が終わり、彼女はあそこが面白かった!ここが素敵ねと終始興奮気味に話してくれてとても楽しんでくれていたようで安心した。

 そんなに喜んでくれたのであれば、彼女とデートするために色々と手を回し苦労してこのチケットを手に入れた甲斐があったというものだ。


 俺は彼女の言葉に相槌を打ち、話を合わせた。


 きっと、ミシェルに真剣に劇を観ずに彼女ばかり眺めていたと知られたら怒るだろうから……


「何か食べて帰らないか?」


 俺はまだ君と離れたくなくない。


「はい。いっぱい感動したら、お腹ペコペコになっちゃいました」


 可愛らしいことを言って承諾してくれた。ああ、この幸せな時間が永遠ならいいのに。

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