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24 観劇①

 両親に挨拶し、玄関まで迎えに来てくれたデーヴィド様は、きっちりしたジャケットに髪の毛をかきあげており完璧な紳士だった。


 (きっちりした服装のデーヴィド様はいつもより素敵ね。これからこの人の隣を歩くと思うと不安だわ)


 デーヴィド様は私の姿を見てごくっ…と息をのんだ。そのあと少し頬を染め目線を彷徨わせた。


 (目を逸らされた。そんなに似合わないのかな…?でも贈った貴方のせいです!!)


 口には出せないが、心の中で文句を言う。


「あまりに……いつものミシェルと雰囲気が違うから驚いたんだ。こんなに美しく大人なレディになるなんて」


「観劇のお誘い、そしてドレスも贈っていただきありがとうございます」


「よく似合っているよ、君の隣を歩ける僕は幸せものだ。では行こうか」



 劇場に着き、デーヴィド様のエスコートで中の会場に入る。


 ざわっ


 入った瞬間に二人に視線が集まる。


 ああ、私への視線が痛い。そりゃそうよね……英雄のデーヴィド様の隣がこんな子どもの私では釣り合わない。彼の評判を下げてしまいそうだと不安になりそっと手を離した。


 その時、デーヴィド様にがっと肩を抱かれる。


「どうして私から離れた?だめだろ」


 私に顔をぐっと近付けて少し不機嫌そうな顔をしている。何も言えずに俯いていると「危ないから近くにいて」と微笑まれた。


 そしてなぜかデーヴィド様はジャケットを脱ぎ、私の肩にかけ「冷えるから」と。

 べつに寒くはなかったが、断るのも悪いのでそのままお礼を言った。



 時間になり、観劇のボックス席に案内されたが、すごく豪華な席で驚いてしまった。チケット代を考えるのが怖いが、嬉しい。


「ミシェルとゆっくり観たかったからこの席にしたんだ」


「すごい!この演目かなり人気だから来れるだけでも嬉しかったのにこんな……ありがとうございます」


 席の周りをパタパタ動きながら素直に喜ぶ。


 あはははは


 デーヴィド様が声を出して笑っている。


「ミシェルは可愛いね」


「どうせ子どもっぽいって言いたいんでしょう」


 私は頬を膨らませ拗ねる。


 すると、デーヴィド様がソファーに座るように手招きするので、大人しく席に着く。

 私はその時にデーヴィド様に借りていたジャケットを返した。いつまでも借りていてはいけない。せっかく彼は正装しているのにずっと上着を脱いでいるのは礼儀的にまずいと思っていた。


「君が子どものわけがない。今日は特に色っぽい見た目なのに中身は可愛らしいなんて…ずるい。これ以上私を惚れさせるなんて君は悪い女だね」


 急に腰に手を回され、ぐっと体が近付いた状態で耳元で甘い言葉を言われる。

 私は全身カーッと赤くなってしまう。


「は、恥ずかしいので離れてください」


「恥ずかしいだけなら離したくない。でも、嫌なら離すからはっきり言ってくれ」


「嫌……ではない……です」


 彼はその言葉に嬉しそうに笑い、デーヴィド様に密着したまま観劇が始まった。抱きしめられているのは恥ずかしかったが、いざ劇が始まると私はそちらに集中してしまった。


 評判の『青い月』の劇はとっても素晴らしく、私は笑って泣いてとても感動した。

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