23 大人のドレス
翌日、私はすっかり元気になって出勤した。
「ご心配をおかけしました」
みんなに大丈夫?と心配されミシェルちゃんがいないと寂しかった!と口々に言ってもらい必要とされているようで嬉しかった。この隊の皆さんは本当に優しい人ばかりだ。
「ミシェルちゃん、本当にもう元気?」
「はい!ヘンリーさ……ん、その顔どうしたんですか?」
「あはは、女の子と揉めちゃった。でももう今週中にはみんなと別れるから待っててね」
「へ?」
「ミシェルちゃん、俺が独り身になったらデートしてね」
チュッと私の手にキスをして訓練に戻って行った。私とデートしたいなんて本気なのだろうか。彼は基本的に女性への態度が軽い。もしかしたら……好きと言ってくれたのも深い意味はないのかしら?
「君はヘンリーとかなり仲が良いようだな」
後ろからデーヴィド様の不機嫌そうな声がする。
「デ、デーヴィド様っ!」
今のを見られていたことに驚いた。彼の表情は笑顔だが、私の手を取りキスをされたところをごしごしと何度も擦られる。
「汚れているから、しっかり拭かないとね?」
こ、これはもしかして妬かれているのだろうか。
「昨日は手紙とハンカチありがとうね、大事にする」
「いえ、こちらこそご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「迷惑じゃないさ。君が元気になって安心した。週末楽しみにしてる、お父上の許可もちゃんともらったからね」
「はい」
本当に二人で出掛けるんだと思ったら急に恥ずかしくなった。
♢♢♢
――そして、あっという間に週末になり、観劇に行く当日になった。
私は昨夜にデーヴィド様から届いた豪華で美しいドレスを前に頭を抱えていた。彼からドレスをプレゼントしてもらえるなんて思ってもいなかった。
「これ、私に似合うかしら」
ユリアを含め、他の侍女達もみんな「もちろんお嬢様にお似合いになります!デーヴィド様のセンス素晴らしいです」と太鼓判を押してくれたが不安である。
「私には少し大人っぽくない?セクシーだし……」
「お嬢様はもう成人されていますから、これくらい普通です。髪型もアップで編み上げてお化粧もいつもと少し変えますね」
キャーキャーと喜ぶ侍女達にあれのあれよと言う間に完璧な御令嬢に仕立て上げられた。
「あら、大人びたわね。よく似合っていてとても素敵だわ」
お母様に褒められたので少し自信がつく。
「ミシェルっ!そんなドレスが似合うような大人になったのか……デーヴィドと二人で出掛けさせるのが惜しいほど美しいよ」
お父様は相変わらず褒め言葉が溢れ出てくる。
デーヴィド様は私を見て何と言ってくださるだろう?少しでも大人な彼に近付けているのだろうかと不安になりながらお迎えを待った。




