21 お兄様
チチチ……という鳥の声と朝の眩しい光が差し込んだことで目が覚めた。ここは、私の部屋??
「お嬢様、お加減はいかがですか?」
侍女のユリアの心配そうな声が聞こえる。
「私は……どうして」
「お嬢様はお仕事終わりに熱を出され、医務室で第一騎士団長様が看病してくださっていたのですよ」
それを聞き、ボーっとしていた意識が鮮明に戻って来る。そうだ!デーヴィド様に横抱きにされて……医務室に連れて行ってもらったんだわ。
思い出すと恥ずかしくて真っ赤になってしまう。
「デーヴィド様にご迷惑をかけてしまったわ」
「お優しい方ですね。とてもお嬢様を心配しておいででしたよ」
今日、お会いした時にお礼とお詫びをしなくてはと起きようとしたら「旦那様から今日は休むように強く言われています」と強制的にベッドに戻され、部屋から出してもらえなかった。
「でも……治癒士がいないとみんなが困るわ」
「大丈夫です。昨夜、ルーカス様がお戻りになられているのです」
「お兄様が戻られてるのね。お出迎えしたかったわ」
「後でお部屋にお呼びします」
熱は下がったが、病み上がりのため体に負担のかからないスープを食べ、汗をかいていたのでユリアに体を全身拭いてもらい着替える。
部屋にノック音が響き、返事をするとそこには二週間ぶりに会うお兄様が立っていた。
「ミシェル、久しぶりだな!体調はどうだ」
「もう大丈夫です、ご心配をおかけしました。お兄様もご無事でなによりです」
久しぶりに会えたのが嬉しくて、お互いにっこりと微笑む。
「俺が不在の間、負担をかけて悪かったな。今日はゆっくり休め。父上なんてお前が心配すぎて仕事に行きたくないって言ってたぞ」
お兄様は父の姿を思い出しているのか、苦笑いを浮かべている。
「負担などありません。私が未熟で体調管理ができず申し訳ありませんでした。それに私が今日仕事を休むとなると、またお兄様にご迷惑をおかけしてしまいます」
しゅんとした私に、お兄様はポンポンと頭を撫でてくれた。
「こんな時くらい兄に頼れ。可愛い妹の力になれるのは嬉しいことだ。第一騎士団のことは俺に任せろ」
「ありがとうございます」
お兄様は五歳上の二十三歳。若いが治癒士としてすでに一人前であり、その能力の高さに加えて的確で冷静な判断力は父の跡を継ぐに相応しいと名高い。
同じ能力を持つ妹を気にかけ、時には厳しく、時には優しく接してくれる自慢の兄だ。
ちなみに見た目もお母様の可愛らしい部分とお父様の格好良い部分をハイブリッドした中性的な男前である。
しかし、性格はなかなか腹黒く怒らせると怖いと言われているらしい。
今、私はそんなお兄様のそばで治癒士の修行している途中なのである。




