【デーヴィド視点】嫉妬
気分転換も兼ねて、訓練場に行く。隊員達の声がいたるところから聞こえてくる。
ついヘンリーを目で追ってしまう。今日は……珍しくサボらずに真面目に打ち合いの訓練をしてるようだ。ミシェルは……少し離れた場所でパタパタと忙しなく治療をしている。
(ああ……やっぱり遠目で見ても可愛いな)
もし、もしも彼女がヘンリーを好きだと言っても俺は諦められそうにないなと改めて思う。
悩んでる時は体を動かした方がいいと思い、俺は自ら隊員達に剣の稽古をつける。
「団長っ……もう無理です」
至るところから悲鳴が聞こえる。
俺のあまりの気迫にバタバタと沢山の隊員達が倒れていく。ついヘンリー相手に力が入りすぎたことは言うまでもない。あいつは強いから手加減なしで本気で吹っ飛ばした……少なからず私情も入っているのは大人げないが仕方がない。
「お前ら、これからはもっと気合入れろ。今日はもう終わりだ」
檄を飛ばし、今日の訓練を終わらせた。
「お疲れ様です。精が出ますね」
いつの間にかミシェルが近くに来ていたようで、汗をかいていた俺に笑顔でタオルを渡してくれた。
「ありがとう」
彼女から話しかけてくれたことが嬉しい。でも休憩室で見てしまった光景を思い出してしまい、胸が苦しくなる。
「今日はお昼にお伺いできず、すみませんでした」
「いや……昼は何をしていた?」
彼女を責めるつもりなどなかったのに、つい嫉妬心から重たい低い声が出てしまう。
「あ、ああ。ヘンリーさんの休憩が遅くなってしまったので、残って食事の用意をしていました」
俺の質問に動揺してきるのか、彼女の目がキョロキョロと泳いでいる。
「へぇ、ヘンリーと一緒だったのか……」
ああ、だめだ。これ以上彼女と一緒にいたら、酷いことを言ってしまいそうだ。俺は、彼女を傷付けないために、今すぐここを去ろうとした。
「じゃあ、また」
そう言って訓練場を出ようとしたが……何か彼女の様子がおかしい。頬を染めてボーっとしており、目がとろんと潤んだままこっちを見上げている。
(な、なんだ。この色っぽい表情は)
一瞬だけそんな邪な気持ちを抱いたが、すぐに我に帰った。
俺は彼女の額にさっと手を当てる。
「熱い」
「だ、大丈夫です」
「熱があるじゃないか!どうしてすぐしんどいと言わなかった?」
俺は彼女を横抱きにしてふわっと持ち上げる。
「や、やめてください!私、背も高くて重たいからおろして」
「何を言ってるんだ。ミシェルは羽のように軽いが?背も私よりだいぶ小さいし……熱があるのだからもう黙っていなさい」




