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98 おはよう

 明るい光が顔に当たり、眩しくて重たい瞼をゆっくりと開ける。なんだか……身体が怠くてまだ眠たい気がする。あれ?この部屋はどこ……


「ミミ、おはよう。起きたんだね」


 その声に気が付き、顔を上げると私の隣には裸で美しい肉体美を惜しげもなく見せているデーヴィド様が片腕をつきながら私を笑顔で眺めていた。


「ひやぁっ」


 私は驚いてシーツの中に隠れた。そうだ、そうだった。私は昨夜デーヴィ様と結婚してしたのだ。


「照れるのも可愛いけど、寂しいから隠れないで。昨日ミミの全てを見たから今更隠しても意味がないよ」


 そう言われて、私は真っ赤なまま顔だけシーツから出した。


「おはよう、俺の天使(エンジェル)。身体は大丈夫かい?」


 彼は優しく私の頭を撫でて、キスをした。その眼差しは本当に優しくて甘くて蕩けそうだ。


「お、おはようございます。ちょっと痛いですけど、大丈夫です」


「無理をさせたよね。その……可愛いすぎて我慢できなかった」


 彼は少し気まずそうに謝っている。


「責任持って俺が全てお世話するから。体は清めたから気持ち悪くはないはずだけど」


「デーヴィ様!大丈夫です。少し休めば動けます」


 体を清めた?もしかしてデーヴィ様が?そんなの恥ずかしすぎる。


「ミミ、昨夜の約束忘れたの?結婚したんだし敬称は省いて呼んで」


「デーヴィ……」


「そう、いい子だね。いいんだ、俺がしたいんだよ。朝食頼んでくる」


 彼は私の唇にチュっと軽いキスをしてガウンを羽織り、ベッドから降りた。


 私は一人になったことで冷静になり、昨夜のことを思い出して真っ赤になった。情事の最中に敬称を抜いて名前を呼ぶように彼に強請られたことを思い出した。


 初夜は恥ずかしさと緊張で何がなんだかわからなかったが、デーヴィは終始「ミミ、愛してる」「好きだ」「綺麗だ」と繰り返し……いつの間にか何も纏っていない私の身体中に甘いキスをたくさん落とした。


 全てを見たと言った彼の言葉はあながち間違いではない。昨夜は頭からつま先まで全身彼に愛されてしまったのだ。


「ミミの体はどこも甘い」


 そんなことを言いながら恥ずかしいところを沢山吸ったり舐めたりされた……気がする。


 それからじっくり時間をかけて優しく触れられて、体も心もふわふわした。気持ちよかったりすごく痛かったりと、大変だったがなんとか彼と一つになれて幸せで涙が出てきた。


「様はいらない、デーヴィと呼んでくれ」

「デーヴィ……デーヴィ」

「ミミ、もっと俺を呼んで。可愛い……好きだ」

「んっ……デーヴィ」

「ミミ……ミミっ……愛してるよ」

「私も愛してる」


 それからの彼は……言葉にできないくらい凄かった。一言「限界」と呟いた瞬間、私を激しく愛した。目の前にいたのは先程までの優しい男と別人かと思うほど、ギラギラした肉食獣のような男だった。デーヴィにこんな一面があることに少し驚いたけれど、私だけを求めてくれることが嬉しかった。


 そして、無事にお互いの愛が一つになれたことに私はホッとした。これで正真正銘の夫婦になれた。


「デーヴィ、私貴方と結婚できて幸せ」


 私を強く抱きしめて動かない彼にそう伝えた。彼はガバッと顔を上げ、目を潤ませている。


「それは俺の台詞。ミミと結婚できてこれ以上の幸せはない」


 彼は微笑み私に優しいキスをした。ああ……幸せだ。体も怠いしこのまま眠りたいな、とゆっくり目を閉じる。


 そんな私に彼は「ごめん……もっと愛したい。まだまだ足りない」と彼にあっという間に再度組み敷かれ、今に至る。恐らく二回目の後に私は完全に意識を失った。


 自分の体を見ると……私の体は全身キスマークだらけ。お風呂とか着替えとか侍女の手を借りるのにこれは誤魔化しようがなくて恥ずかしい。


「ミミ、ご飯だよ」


 彼はベッドの上でそのまま食べられるように、机を出しフルーツやパンケーキを並べだした。


「はい、あーん」


 彼は嬉しそうに私の食事の世話を焼いている。自分で食べられると言ったが、だめだと譲らない。私はしょうがなく、彼の手から軽めの食事を取った。


「眠たかったら寝てていいからね」


 彼は髪をゆっくり撫でながら、そう言うので私は本当にうとうとしてくる。


「可愛い……ずっと見ていられるな」


 そんな声が聞こえながら本当に私は眠ってしまった。

次回で最後になります。

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