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97 初めての夜

「奥様、お風呂に入りましょう」


「ユリア!その奥様って言うのやめてよ。それにもうお風呂に入るの?」


「ミシェル様はもうご結婚されて、この家の奥様です。名前ではお呼びできません。あと今日はお風呂のあとオイルマッサージ等磨き上げる必要があるので時間がかかりますから」


「み……磨きあげる」


「ええ、完璧に私が作りますから楽しみになさってください」


 そのユリアの言葉通り、薔薇が浮いた良い匂いのお風呂につかり髪の毛も香油をつけてさらさらのツヤッツヤに整えられた。


 その後も数人がかりで全身オイルマッサージをされ、結婚式で疲れた身体が癒されていった。うとうとしていると「終わりましたよ」と告げられた。


 今の私は頭から爪先まで輝いているといっても過言ではない。そしてユリアに差し出された夜着を見て……私は絶句した。


「こ、これは」


「今夜はこれを身につけてくださいませ」


 確かにこの夜着は美しい。ウェディングドレスを思わせるような真っ白でレースがついた物だが、今まで自分が付けていたものの何倍もセクシーだ。


「やっ……やだ。こんなの恥ずかしくて着られないわ。私がこれを着ていたらきっとデーヴィ様は驚かれるわ」


 私は真っ赤になって拒否した。


「あら、若旦那様はお喜びになると思いますよ」


 ライラはサラッと笑顔でそう言った。


「そうですよ、おっしゃらないだけで殿方はこういうのがお好きなものです。それにもっと刺激的なものは沢山あるので、今夜のはまだ布地の多い可愛いデザインですよ?さあ、早く着ましょうね」


 ユリアも笑顔でそう言い、二人に言いくるめられた私は結局着ることになった。「お似合いです」と言われたが、私があまりに恥ずかしがるため上に薄いガウンをかけてくれた。


「では、おやすみなさいませ。良い夜を」


「ユリアぁ……もう行っちゃうの?」


 私は泣きそうな顔でユリアの裾を握る。彼女はにこっと笑って「大丈夫です。幸せなことなのですから旦那様に任せてください」と私の手を握り部屋を出て行った。


 私はついに夫婦の寝室のベッドに一人になった。広くてフカフカのベッドはとても寝心地が良さそうだ。


「大丈夫かしら……」


 私は不安な気持ちのまま、ベッドで固まっていた。その時、ノック音がして「俺だ、入ってもいいかい」とデーヴィ様の声がした。


「は、は、はい。どうぞ」


 私は緊張のあまり声が上擦り、どもってしまった。扉を開けたデーヴィ様はお風呂上がりなのか、まだ少ししっとりした髪で……素肌にガウンを羽織っているが体格がよく筋肉質な彼はとても色っぽかった。


「ミミ……待たせたかな」


 彼は私をチラッと見て、頬を染めながらそう言った。


「い、いえ。今来たところです」


 すると、彼は私の横に腰掛けた。ドキドキドキ……胸の音が大きくて彼にも聞こえてるのではと思う。


「ミミ、緊張してる?」


「少し。は、初めてですから」


「そうだよね。俺も緊張してる」


「デーヴィ様も?」


「うん。ほら、俺の胸の音聞いてみて」


 そう言って、私の耳を彼の左胸に当てるように抱きしめた。


 バクバクバク


 彼の心臓はものすごく早く音を立てている。ああ、彼も私と同じ気持ちなんだなと思い嬉しくなった。


「私と同じくらい早い鼓動ですね。てっきり貴方は余裕があると思ってました」


「ミミの前で余裕なんてないよ。ずっと……ずっと俺は君とこうして触れ合いたかったから」


 私は恥ずかしくなり頬を染める。


「愛してる。二人で一緒に幸せになろう」


「私も愛しています」


 彼は嬉しそうに笑い、私に何度も軽くチュッチュッと口付け……それからだんだんと唇を食むような濃厚な口付けに変化しゆっくりとベッドに倒された。


「これ、ミミにとてもよく似合ってる」


 彼はレースの夜着にそっと触れながらそう言った。


「で、でもこんな夜着初めてで、恥ずかしくて。変……じゃないですか?」


「全然変じゃないよ。むしろ、可愛いのにセクシーで好きだ」


  (てっきりデーヴィ様は、こんな夜着ははしたなくて嫌だっておっしゃるかと思っていたわ。殿方はこういうのがお好きだって……侍女達の言っていた通りなのね)


「また俺からも贈らせてね。色んな君を見たいから」


「ええっ?」


 私は彼の囁きに恥ずかしくなり真っ赤に頬を染めた。どうか贈ってくださる物が布地が多いように心の中で祈った。


「照れてるミミも……可愛い」


 彼はまた甘い口付けをしながら、好きだと言っていた夜着のリボンを器用にしゅるしゅると解いていった。


 私はもうこの時点で限界を超えており意識が飛んでしまいそうだった。

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