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【ニコラ視点】親友の恋

今回は副団長のニコラ視点です。

 僕はニコラ・マーベル。侯爵家の次男であり第一騎士団の副団長。ちなみに二十八歳で、すでに結婚している。


 デーヴィドの方が身分が上だけど、同期として騎士として過ごすうちに喧嘩もたくさんして、結果仲良くなった。そんなわけで、公の場や部下がいないとこでは僕たちは気軽な話し方をしている。


 最近、そんな僕の親友であり上司であるデイヴの様子がおかしい。新任の治癒士(ヒーラー)としてきたミシェル嬢のことが気になってしょうがないようなのだ。


 何を思ったのか、彼はいきなり婚約を申し込んだと思ったら振られてかなり落ち込んでいた。

 いや、そりゃそうだろとツッコミを入れる。ろくに話したこともない無愛想で怖い十歳も年上の上司が部下に急に婚約を迫るとかホラーだ。


「自惚れていたわけじゃないが、俺はご令嬢達の中で一番条件が良くて結婚したい男だって噂で聞いたから。好条件な俺なら好きでなくても婚約してくれるかもって……」


 デイヴは酒を片手に机に突っ伏している。今まで付き合ってきた女達には淡白だったというのに、この変わりように驚きが隠せない。


「ああ、その噂は間違っていないな」


「でも、彼女は好きな人と結婚したいって断ってきた。俺の見た目とか、地位とか、名誉とか……彼女には全然響いてない」


「馬鹿だな、条件で結婚相手を決める子じゃないからお前が好きなんだろう」


 そうだけど……どうすればいいんだ、と頭を抱えている。


「彼女は騎士団の中で明るくて人気者だし、若くて綺麗だからすぐ恋人ができるだろうな」


「そう、婚約者のいない彼女は狙われ放題じゃないか!だから……俺が求婚したのに」


「でもなんで?彼女は魅力的だとは思うが、色々と規格外の女性だし正直言って将来の公爵家夫人としては向いてない。年齢差もあるし、別にお前女に困ってなかったろ?」


 すると彼はぐっと口を閉ざした。そして真っ赤になり頬を染めながら恥ずかしそうに答えた。


「……一目惚れだ」


「は?」


「実は昔から彼女を知っている……年齢差があるから何度も諦めようとしたが無理だった」


「え、ずっと好きとかちょっと引くんだけど。昔からっていつからだよ」


「俺も自分に引いてる。いつからって言ったらさらに引かれそうだから秘密だ」


「まさか、お前が今まで結婚を頑なに断ってたのって……」


「誤解がないように言っておくが、当時まだ少女だったミシェルをずっとそんな目で見てたわけではないからな!ただ、社交界デビューした彼女を見て……俺は彼女以外考えられなくなった」


 俺はこいつの発言に開いた口が塞がらない。そうか、確か彼女が成人したのは一昨年。そしてこの男はこのニ年間全く女っ気がない。


「本気かよ。昔から知ってるってことは彼女もデイヴを知ってるのか?」


「彼女は昔の俺など覚えてないだろうな」


 はぁ、かなり前途多難。こいつの初めての本気の恋を応援してやりたいがどうなることか心配だ。

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