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【デーヴィド視点】無防備な彼女

今回はデーヴィド視点です。

 まさか今までミシェルが共用のシャワー室を使っていたなんて。あんな飢えた野獣だらけのところで彼女が裸になり、シャワーを使っていた……本当にありえない。俺は何故このことに今まで気が付かなかったのかとショックを受けていた。


 本当に彼女に何もなくて良かった。ミシェルは騎士団の中で唯一の女性であり、見目も良く年齢も若い。考えたくもないが、シャワー中に彼女が無理矢理押し倒される危険もあった。シャワー室の扉を男の力でこじ開けるなど簡単なことなのだから。


 想像するだけでゾッとして顔が青ざめた。


 そうだよな――女性が騎士団に所属する時点で大変なのに配慮が足りなさ過ぎた。


 つい「今日は私の部屋に来い」と言ってしまった。俺、平常心を持て。これはただ上司が部下を心配して部屋のシャワーを貸すだけだ。決してそれ以上の感情があるわけではない。


 だが、時間が経過し冷静になると心が落ち着かなくなった。彼女が自分の部屋でシャワーを浴びていると思うとついソワソワしてしまう。彼女より十歳も年上なのにこんなガキみたいな感情を持っていることが恥ずかしい。


 これではいけない、気を逸らそうと書類仕事をもくもくとこなす。集中していたら知らない間に時間が経過していた――


「シャワーありがとうございました、助かりました」


 その声を聞き、顔をあげたら――そこにいたのは蒸気で頬をピンクに染め、しっとりと濡れた髪のままシャツを気怠げに羽織っているミシェルだった。


 俺は顔が真っ赤になり、恥ずかしさから目を逸らした。


 ドキドキドキ


 心臓がすごいスピードで音を立てる。化粧が取れいつもより可愛らしい顔なはずなのに、なぜか色っぽい彼女に戸惑ってしまう。

 仕事中はいつも一つに結っている髪の毛を、今は下ろしている。それだけでも……普段見ることができない特別な彼女を俺だけが見れたという喜びがあった。


「な……なぜシャツだけで出てきたんだ?」


「え?シャワー後すぐは暑くて。また汗かいちゃだめだと思いまして」


 暑い……そりゃ暑いだろうけど、男の前でそんな無防備な格好はよくない。この子には危機感が足りなさすぎる。それとも、俺は男として見られていないのだろうか。


 自分の邪な気持ちを消すように、濡れた髪をガシガシと拭いてやる。痛いと抵抗してきたが、構うもんか。俺はタオル越しに感じる彼女に指先が熱くなる。


 次第にミシェルは俺に身を任せて大人しくなった。


 ……髪からふわっと俺と同じ香りがする。置いてある俺のシャンプーを使ったんだろうから当たり前だが、なんとも言えない気持ちになる。


 今後は絶対に公共のシャワー室など使わせない。こんな湯上がりの彼女を他の男が見るなどあってはいけないことだ。

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