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【デーヴィド視点】清い関係

 ミミは本当に天然の人たらしで、年齢問わず色んな男から好意を向けられる。


 今回のシャルル殿下の件も、子どもだと思って油断したら酷い目にあった。殿下がもう少しミミと年齢が近ければ……と想像するとゾッとする。彼女が本当に将来の王妃になっていそうで怖い。


 シャルル殿下が俺のことを認めてくれたことは素直に嬉しいし、殿下は可愛らしい。だが!いくら子どもであっても男がミミに触れるなど許せはしない。


 俺は怒りを抑えるように騎士団の共用のシャワー室でガシガシと血と汚れを洗い流す。


「団長こっち珍しいですね」

「あれぇー?部屋のシャワーは一体誰が使ってるんですかねぇ?」

「ミシェルちゃんと部屋で一緒に入ればいいのに」


 隊員達に散々冷やかされたので「お互い別で入った方が愛する時間が長くなるだろ」と意味深なことを言い、シャワー室を出た。

 彼らは俺の発言に対して口々に「羨ましい」と言っている声が聞こえたが……無視する。勝手に勘違いしてくれたので、俺たちがまだ清い関係だとは言わないでおく。


 他の討伐に行っていたルーカスもシャワーを浴びていたようで、着替え室でばったり出くわす。


 ん?なんか怖い顔だな、怒っているのか?


「団長、貴方がまさかもう妹に手を出していたなんて。俺は貴族令嬢らしくミシェルを清いまま嫁がせたかったんですけど?」


 ま、まさかシャワー室の中の会話を聞いていたのか!


「ルーカス!ご、誤解だ。まだ口付けだけで他は一切手をつけていない。あれは隊員達に揶揄われたから黙らすために言っただけで」


 彼はじとーっと俺を睨みつけてくる。俺は手を出さぬよう死ぬほど我慢してるのに、誤解されるのは辛すぎる。


 最近は双方が納得した時は婚約した時点で先に男女の仲になる恋人達も多い。だが、本当は昔からの伝統的にはこれはアウトなのだ。俺はそれをちゃんと理解しているし、ミミは結婚前に俺とそんなことをしようとこれっぽっちも考えていないと思う。


「……貴方を信じます。あとミシェルを部屋に呼ぶのは構いませんが、ほどほどにしてくださいよ!あと少しの辛抱でしょう」


「わ、わかっている」


 部屋に呼んでいることもしっかりルーカスに知られており、少し気まずかった。部下で年下の義兄と同じ職場というのもやりにくいものだな。


♢♢♢


 俺は部屋に戻り、スペアの鍵で扉を開けた。


「おかえりなさい」


 肩にタオルをかけまま、まだ髪の毛が濡れているミミが玄関までパタパタと走って迎えてくれた。


 (うわぁ……可愛い。しかもおかえりなさいのパンチ力がすごい!)


 (結婚まで我慢すると決めたのに、これはまずい。自制心をもて。ついさっきのルーカスの顔を思い出せ)


「た、ただいま」


「こうして二人でいると、新婚さんみたいですね」


 彼女はえへへと笑ってそう言った。だめだ、可愛いぎる。


「すぐに現実になる」


 俺は彼女の顔をこちらに向け、優しく口付けた。彼女の目がとろんと熱を持つ。俺はその後、じゅっと少し強引に強く吸い上げた。


「これは、シャルル殿下に唇を奪われた分だ。もうこれ以上……俺に消毒させないでくれ」


「妬いてるのですか?殿下は子どもですよ」


「何歳でも君に近付く男は許せない。しかも子どもは知らぬ間にすぐ成長するから侮れない」


 ふふふと彼女は笑った。


「私が好きなのはデーヴィ様だけです」


「俺も君だけが好きだ」


 俺たちは何度も口付けを繰り返して、抱きしめ合う優しくて甘い幸せな時間を過ごした。


 最近の彼女は少しずつ俺との口付けに慣れてきた。軽いものだけではなく深く濃厚なものも嫌がらずに素直に受け入れてくれるようになって嬉しい。


「んっ……」


 彼女から漏れる声が俺の全てを刺激する。可愛い、愛おしい、彼女の全部を手に入れたい。


 この状況でこれ以上手を出さなかった自分を褒めてあげたい。

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