プロローグ2
と、勢いで派遣部とやらに入部したわけだが、まだ俺はこの部活が何をする部活なのかは全く知らない。
「えーと、先輩。派遣部ってなにする部活なんですか?」
「それは着いてきてからのお楽しみだ。詳しくは部室で話そう」
歩き始めた先輩の後ろについて行く。
「そういば、まだ君の名前を聞いていなかったな」
「あ、はい。俺、柴村謙一っていいます」
「そうか、私は如月透子だ。気軽に部長と呼んでくれ」
「わかりました部長って呼びます。ところで部長。派遣部の部室ってどこにあるんですか?」
「ああ、この文化棟の三階の教室だ。ここの文化棟はとても広くてね。たくさんの部活がここを拠点に部活動をしているんだ」
話しながら進むこと五分、ようやく部室があるという三階にたどりついた。そこからまたしばらく進んで廊下が途切れたところの左に扉があり。扉のすぐ隣には派遣部という札が飾られていた。少し先にいる先輩改め部長が振り向いた。
「ここだ。入ってくれ」
「お邪魔します」
広い部室に入るとそこには広々とした空間があった。おおー! 意外と広い。そう思い辺りを見わたす。よし、ここを俺と先輩の愛の巣にしてみせる!
「広いですね、ぶちょ……ん? なにしてるんですか部長?」
振り返ると部長が扉に鍵をかけていた。
「君が逃げ出してしまわないようにと思ってね」
まさか、もうそんな甘い展開が! 逃げるだなんてそんないやだなぁ。ウェルカムに決まってるじゃないですか。はっはっは、悪いな全国の男子高校生諸君、俺は一足先に男になるぜ!
「部長が求めるなら俺はいつでも——」
「ふぅー、さすがに声を保つのがきつくなってきてな」
「——え?」
俺は部長から発せられた声に驚いた。美声ではあるのだが先程とは違う女性のものではなく男性の声。いわゆるイケボ。
すると、部長は美しい長い髪に手を伸ばし——引っぺがした。
そこにいたのは一人の好青年といった感じのイケメンがいた。より具体的に言うと今もまだ女子高校生の制服をまとった、見るからにやばいイケメンがそこには立っていた。
「改めて自己紹介だ。俺が派遣部部長、如月透だ。そして、我が部は常に面白いことをしていくことを目的とした部活だ」
俺があっけにとられている中、派遣部部長を名乗る男——如月透は続けて言った。
「派遣部へようこそ柴村部員。共に面白いことをしていこうではないか」
「ふざけるなぁああああああ‼」
こうして俺のバラ色な青春部活動は見事崩れ落ち、ハチャメチャな青春(?)部活動が始まった。
なんでこうなった! 俺の青春ッ!