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32. 家族からの祝福


「父上、兄上、大丈夫ですか……!?」


 家族団欒のテーブルで突っ伏したままのベルトランとユージーンをジュリアンが心配そうに揺さぶる。


 二人が屍と化してしまった理由はひとつ。

 クリスから正式にルシンダとの結婚の申し込みが届いたからだった。


「クリスを信じた僕が馬鹿だった! いきなり結婚とか飛ばしすぎだろう!?」

「ルシンダ……もうお嫁に行ってしまうのかい……? 父上は寂しくて死んでしまいそうだ……」


 ユージーンは悔しそうに拳を握り、ベルトランは干からびてしまいそうなくらい衰弱している。


(やっぱり、こうなると思った……)


 ルシンダも、クリスから公爵家に結婚の申し込みを送ると伝えられ、「さすがに急すぎるのでは……」と言ったのだが、元々兄妹として一緒に暮らしていたからルシンダのことはよく分かっている。今さら婚約の必要はない。それに、早く結婚しないと邪魔が入りそうで嫌なのだと説得されてしまった。


 おまけに、「ルシンダは、まだ結婚したくないか?」と悲しそうに言われてしまっては承諾するほかない。


 首をぶんぶんと横に振って「結婚したいです」と答えると、クリスが本当に嬉しそうな表情をするものだから、ルシンダも一刻も早く結婚式を挙げようと心に決めたのだった。


「父上、公爵家の権力でなんとかなりませんか!?」

「そ、そうだなユージーン。今こそ我らの権力を使うときだ……!」


 怒ったり拗ねたり騒がしかった二人が、しまいには権力を濫用しようと暴走し始めたところで、アニエスが立ち上がり、腰に手を当てぴしゃりと言い放った。


「やめなさい、二人とも!」


 いたずらを叱られた子犬のような顔で、ユージーンとランベルトがアニエスを見上げる。


「気持ちは分かるけど、ルシンダだってもう結婚しても珍しい年齢じゃないでしょう。それに、クリスさんは国王陛下の命を救ってくれた恩人なのよ。あなたたちは文句を言える立場じゃないでしょう? お互いに想い合っての結婚なのだから、馬鹿なことばかり言ってないで、ルシンダにお祝いの言葉のひとつでもかけてあげてちょうだい」


「ルー姉様、ぼくはルー姉様のお相手がクリス様で嬉しいです。本当におめでとうございます!」


 ユージーンとベルトランがうなだれている横で、ジュリアンがルシンダに祝福の言葉を贈る。


「あっ、ジュリアン! 抜け駆けする気か……!?」

「何言ってるんですか。ぼくは初めから反対なんてしてません。兄上も父上も、いい加減にしてください。ルー姉様の幸せが嬉しくないんですか?」


 ジュリアンにまで説教され、ユージーンとベルトランはますます小さくなった。


「……嬉しくないわけないだろう」

「ただ、ルシンダが遠くへ行ってしまうような気がして、寂しかっただけなんだ……」

「ルー、大人気ないことを言って悪かった。本当におめでとう」

「私もユージーンも、ルシンダの幸せを心から願っているよ」


 反省した様子で祝福の言葉を贈ってくれる父と兄に、ルシンダが満面の笑みで応える。


「ありがとうございます。祝福してもらえて本当に嬉しいです。結婚しても、私はいつまでも二人の娘で、妹ですから」

「ルー……!」

「ルシンダ……!」


 今度はおいおいと声を上げて泣き始めたユージーンとベルトランを、ルシンダとアニエス、ジュリアンは温かな目で見守ったのだった。


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