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9話 ホーム

 ギル兄に案内され自分の部屋まで辿り着く。


「坊主の部屋は、ここだな! 一番奥で何かと不便だろうが、我慢してくれ!」


「いえ! 部屋がもらえるだけありがたいです!」


 扉を開け部屋に入ると、ベッドやテーブル、作業机などがあり基本的な生活はすでに送れそうだ。

 さらに僕の部屋は、一番奥の角部屋なので、窓が2箇所あり、太陽の日は十分に差し込んでいる。


 村で農作業ばかりしていたから、太陽の日が日常的にあたれるのは個人的に嬉しかった。


「まぁ、今は何も無いが、自分のしたいように部屋を使ってくれて構わんからな! 皆んな部屋も個性的で面白いぞ!」


 ガハハと笑いながらギル兄は、廊下に戻って行く。


 しかし、僕はこれからここでの生活が始まるのだと緊張とともに高揚感に包まれていた。


「次はここだ二階の西側、救護隊の作業部屋と医務室があるぞ!」


 先程の階段を上がると一階と同じように両脇の扉正面には大部屋があるみたいだ。今はその西側の扉の先にいる。


「まぁ、作業部屋はいいな、薬等の研究をしてるぞ!」


 部屋の中からはポコポコと水が沸騰するような音とあーでも無い、こーでも無いと議論する声が聞こえてくる。


「一番奥の部屋が医務室だ、重傷者など動けないものは別棟の一階が、全て病床になっているからそこに搬送する。軽度の時はここにくるがいい!」


「僕の時は医務室でしたよね?」


「そうだ意識がなかったが、ソウルの力で倒れたのは分かっていたからな! そういう時はマリーに直接見てもらったほうが早いぞ!」


「そうなんですね。」


 ソウルによる治療が関係あるのだろうか?マリーは、まだいないそうなので次に行く事にした。


「こっちは東側だな! 諜報隊の作業部屋だ。ケンやリナリアが普段作業しているぞ!」


「諜報隊は何をしてるんですか?」


「敵の情報収集や、偵察、街で異常が起きてないか、調べているんだ。詳しくは俺も知らんぞ!」


「何で知らないんですか。」


「俺たちは特攻隊、厄介事を片付ければいいだけだからだ。ガハハハハ!」


 何て豪快なんだ、少しは気にしたほうがいいと思うけど…ギル兄には言わなかった。


 「後は大部屋だが、我らが特攻隊の訓練場だ。中では極東から取り寄せた畳がしいてあって、肉弾戦を想定して訓練をしている。」


「大丈夫なんですか? 壊れたり、騒音とかは?」


「大丈夫だ! 特別製の鉄壁と防音材が入っている。気にすることはないぞ。では、別棟を案内する。」


 三階は全てキングとドルチェの部屋だから、入る必要はないと言われた。


 流石ファミリアの(ボス)女王(ミストレス)だ、部屋の広さはとてつもない。


 ギル兄について外に出ると、少し日が傾き始めた。


「少しのんびりしすぎたな。巻きで行くぞ!」


「ハイ!」


「ここが別棟だ!」


 ついたのはホームの東側、二階建ての建物だ。

 一階は説明してもらったとおり病床になっている。二階に行くと、幾つかの部屋に分かれていた。筋力トレーニングの重りや器具が置いてある部屋や会議室などだ。


 一番大きな部屋に行くと、闘技場があり、そこでトレーニングをしている人物がいた。


「ノヴァ! ちょっといいか!」

「ハイ!」


 今までスパーリングをしていたのに、ノヴァは何食わぬ顔でこちらまできた。額に光る汗も、美青年にかかれば綺麗なアクセサリーとなる事を知った。


「坊主に少し説明してやってくれ。」


「あぁ…分かりました。ここは守護隊のトレーニングルームや作戦室などがある場所だ。トレーニングルームなどはもう聞いたかもしれないが、鉄壁で出来ていて、壊れる心配や騒音は気にしないくていい。」


 息一つきれず説明していくノヴァの体力に驚きながら、守護隊の話を聞いた。


「外には小銃等の火器の訓練場、剣など武器の訓練場もある。トレーニングルーム等は部隊間を超えて、ファミリア全員で使っていくものだから手入れは怠るなよ。以上だ。」


「ハイ! ありがとうございます。」


ノヴァに感謝を告げ会釈する。今日は一日頭を下げてばかりだ。


「すまない、助かったぞ!」


「いいえ、大した事ではないですよ。」


「そうだ! ノヴァ、坊主、これから風呂に入ろうではないか!」


「いいですね。汗もかいたので、着替えてから行くのでアレクと先に行っててください。」


「え? お風呂ですか?」


「そうか坊主は入ったことないのか、極東の文化らしくてな大浴場といって皆んなで入るんだ!」


「そんなものがあるんですね…」


 外に出てホーム西側の大浴場に向かう。もうすっかり日が落ち夜の帳が下りていた。


 大浴場に行くまでギル兄が、今日の感想を聞いてきたりファミリアに入った祝福の言葉をくれた。

 さらにはこれからみっちり鍛えてソウルの力を使えるようにしてやるからなぁ!と明るく喋ってくれた。


 僕はキングファミリアは最強と名高いファミリアだったから、もっと怖くて厳しいところだと思っていたけど、皆んな優しくて心強くて、家族(ファミリー)思いの人達なんだと強く感じた。本当に、入れて良かった……

 

「よし! ここが大浴場だが男湯と女湯分かれてるからな気をつけろよ! もう遅いからな入ってるのは俺らぐらいだろう。」


 ウキウキとした表情と声色で、ギル兄は浴場へと入っていく。

 僕もギル兄の作法を見ながら、浴場へと入っていた。すぐにノヴァも追いついたようだ。


 静かに、大きな湯船に浸かりながら、エルドラに来てからのことを振り返る。急展開ばかりで、目まぐるしかったけど、最後にはこんな素敵な場所に来れて良かった。ハイドとキクノにもお礼を言わないと。


 しばらくしてから風呂を上がり、大広間でミルクを飲んだ、この味は一生忘れることはないだろう。


「じゃあ、これで一通りは説明したな。坊主。」


「ありがとうございました。」


「おう! 明日からみっちり鍛えてやるからな! ガハハ!」


 ギル兄とノヴァにもう一度お礼を言い、自分の部屋へと帰る。


 明日から訓練の日々だ…頑張るためにもしっかり寝よう。


zzz………







zzz………







zzz………






 ガルム?!?!ガルムの事忘れてた!!



 ワオーン!





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