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8話 集会

 お立ち台にいるキングが口を開く


「まず初めに、都内での鎮圧ご苦労。」


 その場にいた全員が胸に手を当て会釈をする。

 僕はその光景を見て、統率の取れた軍隊のようにも感じた。


「皆のおかげで、軽度の負傷者は出たものの大事には至らなかった。感謝する。」


 キングも同様に会釈をした。自分よりも大きく強く、上の立場の人にされると、少し歯痒さを感じるが、これもキングが信頼される所以だろう。


「この件に関してだが、捉えた者たちが洗脳されているという情報をもとに、裏に首謀者がいる事を断定。今、首謀者の特定を急いでいる所だ」


 静まっていた家族(ファミリー)達もざわつき始めた。


「特定でき次第、首謀者の確保に踏み切る! 各自戦闘準備を整えろ!」


「「イエス、ボス!」」


 キングの号令の元、何十人もの家族(ファミリー)達が返答する。その威圧感は流石、エルドラの守護神と呼ばれるだけある


「最後に、新しく家族(ファミリー)となったものを紹介する。上がれ、アレク。」


「ハイ!?」


 急に呼ばれ素っ頓狂な声を出してしまった…最初から赤っ恥だ…


「トータス村から来ました! アレク・ルチアーノです! よろしくお願いします!」


 緊張して頭を深々と下げる僕の背中を、キングは後ろからはたいた。

 村では母親と祖母に育てられ、父親を知らなかった僕は、はたかれた痛みの中に想像の父親の温もりを重ねていた…


「これからよろしく頼むぞ。ギル、アレクにファミリアの案内をしてやれ。」


「任せてくだせぇ! ボス!」


 ギル兄は親指を立てて、歯を見せて笑いかけてくる


「以上だ。解散!」


 キングの合図とともに家族(ファミリー)達が自分の持ち場へと戻っていく。

 この場に残ったのは僕も含めて六人だ。


「坊主! まずは、各々の隊長格の紹介だ!」


 身体に響く声で、近づいてくるギル兄。その後ろから体格、性別ばらばらの4人がついてくる。


「じゃあマリーからだな! 坊主も知ってるだろう。」


「ハイ! 手当をして頂きありがとうございました。」


「良いのよ、私の仕事だから。」


 マリーは優しく微笑んで答えた。


「あらためて…救護隊長マリー・ハートよ。昨日はキクノちゃんを守ってくれてありがとう。よろしくね。」


 さりげなく出される右手に、頭を下げながら握手で応える。


「次は若きエース、ノヴァだ!」


 白髪で、ギル兄やキングほどではないが背が高く、色白で細身の青年が、少し照れながら近づいてくる、僕より少し歳上ぐらいだろうか。


「おだてないでくださいよギル兄… 僕は、守護隊長ノヴァ・アルトリオだ。ノヴァで良いぞ。よろしく。」


「よろしくお願いします。気絶した時に運んでもらったみたいでありがとうございました!」


「気にするな、助け合いだ。」



 先程と同様に握手を交わすが、ノヴァの手は見た目とは裏腹に、ゴツゴツと男らしい手をしており手にもマメがいくつかできているようだった。


「次はケンだ。」


 茶筅髷の長い黒髪。ノヴァと同じ背格好の中年男だが、頬と顎に傷があり腰には刀を一本差している。

 纏うオーラだけで緊張感が伝わる。心臓の鼓動が早くなり、すこし胸が痛いくらいだ。



「俺は、諜報隊長ケン・レッドメイン… ケンでいい、昨日は花屋の娘を助けてくれたそうだな。感謝する。」


「いえ、守れて良かったです。これからよろしくお願いします。」


「俺の部下も紹介する。リナリア…」


「ハイ!」


 ケンの後ろから、黒髪のショートカットで褐色肌、僕より少し背が高くマリーと同じくらいの年齢の若い女性が出てきた。


「諜報隊、リナリア・ケントです。リナリアで良いよ?」


 ふわふわとした優しい笑顔に、柔らかい声だが腰には拳銃が2つぶら下がっている。

 リナリアとは握手を交わし挨拶をするが。ケンとは挨拶だけだった。


「さぁ! そして最後に俺! 特攻隊長ギル・ヴォルフだ! よろしくな坊主!」


 ガハハと笑い、手をぶんぶんと振り握手をされる。


「我ら、キングファミリアの中でも、ソウルの力が強く、扱いにたけている人物達を集めた!」


 ニコニコと得意げに話すギル兄に、他の皆んなは呆れた表情をしている。


「坊主はまだ、ソウルの力をうまく扱えてないようだからな。基本的には、ソウルの使い方が似ている俺が指導していくが、分からない事があったら皆んなを頼ると良い!」


「ハイ! お願いします!」


 深々と頭を下げて、感謝の気持ちを伝える。


「では、次はホームの案内をする。着いてこいアレク! 皆んなありがとう!」


 ドシドシと先に進むギル兄。お辞儀をした後、着いていこうとする僕に、マリーが喋りかけてくる。


「ごめんね、アレ君? 家族(ファミリー)が増えるの久しぶりだから。ギル様舞い上がってるの。」


「いや、大丈夫です。嬉しいくらいですから。」


 行くぞー!と遠くの方からギル兄が手を振ってくる。


「そう? じゃあしっかり教えてもらってね?」



 また皆んなに、お辞儀をしてその場を離れ、ギル兄の元へと急ぐ。


「じゃあ最初は、寝床からだな! 行くぞ!」


「ハイ!」



 ギル兄について行く。大部屋の一番奥に扉がありそこから出ると目の前には階段があった。

左右には扉がある。


「左は男子寮、右は女子寮だ! ただし女子寮の扉は開けないほうがいい…何を言われるか分からんぞ…」


 苦笑いを浮かべ、そそくさと男子寮の扉に入って行くギル兄。何かあったんだろうか?


「よし! 此処からが男子寮だ!」


 扉を開けて廊下の曲がり角を曲がると、廊下が続き両側に部屋が並んでいた。


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