40話 これからのために
「そうだ、手紙を貰ったんだ。」
僕は博士の研究所からホームへ帰ると、ガルムを連れて自室へと戻った。そこでキングから手紙を渡された事を思い出す。
僕は懐から白い封筒を取り出し、さらに封筒の中から手紙を出して広げる。
「………。」
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アレクへ
先日はキングファミリーの皆様のおかげで大変助かりましたわ、重ねて感謝申し上げます。
ヴォルガーが意識を取り戻した為、情報の報告を致します。
目を覚ましたヴォルガーはまるで別人の様に大人しくなっていました。話を聞くと、突然現れたバーロックにそそのかされて気がついたら悪魔を宿し暴れていた、危害を加えるつもりは無く認めて欲しいだけだったと。その他アドヴェエントドグマの事は詳しく知らないみたいでした。
ですが、どんな事情があろうとヴォルガーとヴィオラが街を破壊したのは事実ですわ。二人は回復次第クリミロスへと移送予定です。
それとアロンの遺体はこちらで埋葬し、供養をしました。
ワタクシ達が得た情報はこれしかありませんがワタクシの能力が発動した場合はすぐさまキング達にも伝えますので、よろしくお願い致しますわ。
最後になりますが、こんな時だからこそ今度訪れた際はゆっくりとアクアホルンを堪能していただける様ワタクシ達も準備してお待ちしております。
パッチーノ・オーデエスより
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僕は手紙を読み終えると綺麗に折り畳んで封筒へと戻した。その封筒を机の中へとしまう。
「……。」
「バウ?」
暗い顔をしている僕を心配したのかガルムは擦り寄ってくる。
「大丈夫だよ、ガルム。」
もし僕があの時ガルムと出会わなかったら、アキランサスやケンに憧れてキングファミリアを目指さなかったら、僕は今頃何をしていたんだろうか……。
僕は悶々とした気持ちを抱えながら思考を巡らせ、眠りにつくまでそのままベットに横たわっていた。
コンコンコン
翌朝、部屋のドアをノックする音で目が覚めた。ガルムも大きく口を開けながら体を起こす。
「はい?」
「おう、坊主!今日は遅い起床だな!」
「すみません……。どうかしましたか?」
ドアを開けると、ギル兄が朝から陽気な笑い声を響かせて立っていた。
「キングが呼んでるんだ。早速キングの部屋へと行こうじゃないか!」
「分かりました。でもガルムはどうしましょう?」
ギル兄が部屋を覗き込むとガルムがくるくると回っている。
「自分で帰れるんじゃないか?俺のグマは勝手に帰るぞ。」
「えっ? ガルム一人で帰れるか?」
「バウ!バウ!」
ガルムは元気よく返事すると、尻尾を振って部屋を出て行った。
「大丈夫かなぁ?」
僕は遠ざかっていくガルムの背中を部屋から見送った。
「よし!俺たちも行くとするか!」
「行きましょう!」
ーーーキングの部屋に着くといつものメンバーが揃っていた。
「よし全員揃ったな。」
キングは僕とギル兄が来たのを確認すると、椅子から立ち上がった。
「急遽集まってもらってすまないな。実はニコのとこやチーノの所、ゼロが拠点としているハイノまで守るとなると人手が足りなくてな。」
キングは「そこで」と一呼吸置いてから話を進める。
「ルマールの教会に腕の立つブラザーがいるらしくてな、勧誘へ赴いて欲しい。」
「ブラザー?」 僕が不思議に思ってるとノヴァが小声で伝えてくれる。
〜ブラザーって言うのは、男の修道士の事だ。ほら女性の場合はシスターってよく言うだろ。〜
〜なるほど、ありがとうノヴァ。〜
「誰が向かうんだ?」
ギル兄が疑問の声を上げる。
「本当はノヴァが一番いいんだが……。」
ノヴァは嫌そうな顔で首を横に振っている。
「今回はアレク、リナリア、ケンの三人で行ってもらう。」
「「はい!」」
キングは少し不安そうな顔で近づき僕の肩へと腕を下ろした。
「アレク、リナリアは自由だし実はケンは人見知りなんだ。」
「えっ……?」
「だから、アレクが頼みのつなだ上手くやってくれよ。」
「はい……?」
僕は頭がこんがらがったままキングの言葉を飲み込む。
「早速で悪いんだが、ルマールには今日の昼頃から向かってもらう。リナリア道案内を頼む。」
「はーい!」
キングは定位置の椅子の前へと戻ると皆んなに向けて最後の言葉を発した。
「三人がいないうちはギルとノヴァはエルドラをよく見回ってくれ。それでは解散!」
キングの言葉によって、それぞれの持ち場へと戻っていく。僕はケンとリナリアを呼び止め一階へと向かった。
三人で長椅子に腰掛けると、僕はルマールへの道のりなど詳しい事をリナリアに尋ねる。
「エルドラから一日ぐらいかな?今回は馬車使わないから。」
「え? 使わないんですか?」
リナリアはニヤリと微笑むと僕を馬鹿にする様に質問してくる。
「じゃあ、アレクはお馬さん乗れるの?」
「な、なるほど……。」
今回はノヴァがいない為、馬を乗りこなせる人物が不足しているというわけだ。
「そういえばケン、人見知りってなんですか?」
「うるさい、人見知りではなく警戒心が強いだけだ。」
「そんなこと言って師匠!最初アレクにだって少し気まずそうだったじゃないですか!」
リナリアはここぞとばかりケンを攻撃する。ケンは焦った様に言葉を発した。
「違う!あれは色々あってだな……。とにかくその話は置いといて、各自昼食を取ったらホームの前に集まる様に。」
「「ハイ!」」
僕達は時間になるまで準備のために各々の行動へと移っていった。
第二章はここで終わりとなります。
次からは第三章が始まります、三章はしばらく寄り道になるかも知れませんがこれからも読んでいただけると幸いです。
しばらく更新できないので気長に待って頂きたいです。
でも絶対に更新はするのでよろしくお願いします。




