4話 光の道
キクノを捕まえている悪党は、銃口を突きつけており今すぐにでもキクノの命を奪える。
どうしたら救える? 何をすればいい? 何も持たない僕に出来る事は果たして有るのか?
すぐ弱気になるのは僕の悪い癖だ。それに加え僕は何かに躓くと前へと歩き出さずに躓いた所でずっと立ち止まっていた。
そこで下を向きなんで躓いてしまったのかを永遠後悔するのだ。
しかしそれも今日で終わりにする。前を上を見上げなければ太陽の日は目に入らないし、月明かりは見えないんだから。
だから僕はこの時決めたんだ、これから何が待ち受けていようとも顔を上げて前へと進むと。
「威勢のいい登場したくせに、何も出来ねぇのか? この女殺されてぇのか早くキングを呼んでこい!」
「僕には力がない…… ひとりでは立ち上がれない、弱い人間だから……」
僕だけでは勝てないあの男に、でも僕は一人じゃない。今まで一緒に歩いてきた友がいる、目の前に助けなければならない人がいる。
ならば進もう、前へ。
「僕に力を貸してくれ、ガルム!」
「ウォーンーーーー!」
僕とガルムの魂が重なっていくのが分かる。だって気持ちは同じだから、僕を助けてくれたあの子を、助けたいから!
[ クロスソウル] 獣機 ガルム
アレクは走り出す…… 友の魂を鎧として纏って……
ガルムは形を変え、足、胴体、拳に至るまで鎧として装備される。
それによってアレクの身体能力は何倍にも強化され、体全身を金色に光るエネルギーが纏っていた。
「お前は誰なんだよ!? お前の情報なんかアニキから教えてもらってないぞ!」
「俺はアレク・ルチアーノだ! キクノを離せ!」
アレクはさきほどとはまるで別人のようだった。
おどおどとしていた足並みは、両足で地面を踏みしめ曲がることのない信念で立ち。
逃げ腰だった体は、敵を捕らえ、逃すことは許さない。俯きがちの顔は前を向き、敵を確実に見つめている。
「来るんじゃねぇぞ! 近づいたら、コイツを殺すからなぁ!」
「そうか……じゃあ覚悟は出来てるんだろうな……」
悪党が瞬きをした瞬間、アレクの体は加速した。
次に悪党が目を開けた時、目の前にはアレクの拳があり、避ける動作にも入れなかった。
アレクの拳は悪党の顔面を捉え、男の体はそのまま吹き飛び建物の壁にぶつかる、悪党はそのまま気を失った。
「キクノ、大丈夫か?」
アレクは、悪党から離れたキクノを抱きかかえる。
「ありがとう、アレク。」
キクノは前と変わらない笑顔でアレクを見つめた。その様子を見てアレクは安心したのか、微笑んで気を失った。
「お疲れ様…… アレク…」
キクノを抱えたまま気を失ったアレクと、横で倒れているガルムを満月の月明かりが照らしていた。
白髪で男にしては長い髪で痩せ型の人物がその様子を見ていた。
「こちらノヴァ・アルトリオ、ボスに伝えてくれ新しい家族が増えるかもしれない。」