3 学校へ行こう1
「ユウくんも今日入学式じゃない。
一緒にいこっ!」
姉はどこかわくわくした様子でそんなことを言ってくる。
僕はすばやく洗い物を済ませ、
部屋に戻り、
鍵をかける。
ガチャッ!
「って、ユウくんっ!?
なんで鍵かけるのっ!?」
今日は行く予定の日じゃないからですよっ!
行ってもただ暇なだけでしょう?
「お姉ちゃんが着替え手伝ってあげようと思ったのにっ!」
・・・そっちですか・・・
僕は額に手を当てる。
「早く開けてっ!
急がないと遅刻しちゃうっ!」
ガチャガチャガチャッ!
僕は椅子に戻り、
イアホンを耳につけ、
勉強を始める。
・・・こういう時は無視に限ります。
それから、10分ほど経ち、
音が立たなくなった。
さて、もういなくなりましたか?
と、鍵穴を覗くと、
「ふえ・・・ふええぇぇぇんん~・・・開けてくれないっ!
きっとお姉ちゃんのこと嫌いになっちゃったんだ~っ!」
泣いていた。
えっ・・・なんでこの人泣いてるんですか・・・?
僕が鍵を開けようとしたとき、
「きっとお姉ちゃんと同じ洗濯物にしちゃいやとかいうんだ~うわ~ん。」
・・・言いませんよ・・・別に・・・。
・・・というか、一緒に洗っていたんですか・・・?
むしろそのことの方が驚きなんですが・・・。
ガチャッ!
「姉さん、
泣かないで下さいよ。
別に嫌いになったとかじゃないですから。」
「そ、そうなの?」
彼女はへたりと座り込んだまま僕に聞く。
「前にも言ったでしょう?
僕は学校には最低限しか通わないって・・・。」
「うん、知ってる。」
若干、涙ぐみつつ答える。
「なら・・「でも今日は行きたいんだもんっ!いっぱい写真撮るのっ!」・・・。」
・・・はあ・・・。
「それに今日は委員会なんかも多分決めるよ。
私も去年そうだったから。」
・・・へっ?
「私の学校はそうなの。
入学式が終わった後すぐに・・「姉さん、ありがとうございます。」・・・えっ?」
「姉さんが姉でよかったです。」
僕はすぐに支度を済ませ、
外で待っていた姉さんに声をかける。
「姉さん?」
「ふえ?な、なにかな?」
姉さんは僕の方を振り向く。
「姉さん、なんでそんなににやけ・・「さあ、行こう!遅れちゃうからねっ!」・・・はあ・・・?」
僕は姉さんに手を引かれ、家を出ていく。
・・・それにしても・・・
・・・姉さんはなんであんなににやけていたんでしょう・・・?