2 朝ご飯
僕はいつも通り、
朝5時に起きて、
ランニングに向かう。
この時、
姉を起こさないように静かに・・・。
前までは父をだったんですが、
父と菫さんは、
1年ほど世界一周旅行に行っている。
まあ、母が死んでから、
僕がここまで育つまで男手一つで頑張ったんです。
それに菫さんの方も女手一つで・・・。
そんな二人が喜ぶのなら、
これくらいは・・・と言う思いで、
僕は二つ返事でGOサインを出しました。
・・・まあ、今はひどく後悔していますが・・・
などと考えていたら、
いつものコースを走り終えた。
そして、
シャワーを浴びる。
これを終えた後、携帯食料を食べて、
サプリで・・・というのが、
いつもの生活だったのですが・・・
「ユウくん、おはよう♪」
「はい、おはようございます。」
「朝ごはん作ったから、一緒に食べよう。」
今日の朝食のメニューは、
ベーコンエッグにトースト、サラダにスープ・・・。
・・・まあ、出されましたから、
食べましょうか、
と席に着き、
「いただきます。」
こう言って僕の席に置かれたご飯を見ると、
・・・おかしい・・・スプーンとフォークがない・・・。
・・・仕方ない・・・と、
席を立ち、
それを取りに行こうとすると、
「はいどうぞ。」
と言われたので、きっと取ってきてくれたんでしょうと思い、
「ありがとうございます。」
とお礼を言い、
声がした方を見ると、
「あ~ん。」
パクッ!
咄嗟のことで食いついてしまった。
すると、パ~ッと彼女は満面の笑みを浮かべる。
・・・朝からいいものを見たなぁ~・・・
・・・ではなく・・・。
「姉さん、今・・・なにをしました・・・?」
わかってはいたが、聞かずにはいられなかった。
「食べさせてあげたの♪」
嬉しそうにそんなことを言う。
「あげたのって・・・。」
僕が呆れ気味にそう言うと、
そんな彼女は僕が反論でもすると思ったのか、
・・・まあ、当たりですが・・・。
「そんなことよりスプ~・・「あ~ん。」・・・
フォー・・「あ~ん。」・・・」
ゴリ押しで僕に食べさせようとしてくる。
そして、僕が無視すると、
「・・・「あ~ん。」・・・。」
「ううう~・・・あ~ん・・・あ~んなの~。」
と、どこか悲しげな顔で続ける。
「・・・・・・。」
そんな姿を見ているのはひどく心苦しかったので、
口を開く。
すると、
笑顔になって、
「あ~ん。」
としてくる。
そして、それに僕が食いつくと、
「おいしい?」
などと嬉しそうな顔で聞いてくるものだから、
「・・・うん・・・。」
目を反らしつつ、
こんな答えしか出せなかったのは仕方のないことでしょう。
さて、食事が終わりました。
僕はきっと大惨事になっているであろう
台所に向かう。
なんでって・・・そりゃあ・・・
ごちゃごちゃ・・・。
・・・姉さん片付け苦手ですからね・・・。
はあ・・・気合入れてやりますか!
「うう・・・ごめんね・・・ユウくん・・・。」
「まあ、向き不向きは誰でもあるから、気にしないで姉さん。」
すると、
「お姉ちゃん、ユウくんがこんな風に育ってくれて嬉しいわ♡」
と抱き着き、
離したと思ったら、
「でもね、やっぱり、お姉ちゃんって呼んでほしいの、わかった?」
こんなことを言ってくる。
その時の行動は当然、
「・・・姉さん、今日学校でしょう?
急がないと・・・。」
ほぼ無視。
すると、
「・・・ユウくんもじゃないの?」
不思議そうにこんなことを聞いてくる。
「・・・・・・。」
・・・抜かったっ!!