1 僕
僕の名前は美咲優。
最初に言っておきたい。
僕は効率的な人間です。
どうかこれだけは覚えていてほしい。
僕がどれだけ効率的な人間なのかと言うと、
まず、早寝早起きは基本。
それから、食事は携帯食料。
残りの足りない栄養はサプリで補う。
そして勉強は基本自分で、
学校の勉強は非効率性が目立つ。
だから僕は出席日数なんかを計算し、
ほぼ最低限程度しか学校には通わない。
一応、資格の勉強なんかもしている。
あとは、朝にトレーニングを少々・・・風邪をひくなんて最も非効率ですもんね。
こんな生活をしている。
どうですか?
無駄なんて一切ない完璧な生活だと思うんですが・・・
・・・なんて考えてみましたが、なんかこの物言いは恥ずかしいですね・・・。
・・・ナルシストみたいです・・・
などと考えていると、
時計には、20:00の数字。
あっ!
もうお風呂の時間ですね・・・。
ペースを崩すのは最も効率的でないですからね。
僕は急いで風呂場に向かう。
そして、
扉を開けると・・・
・・・全裸の女性・・・
彼女は僕に向かって微笑む。
「ユウくん?
今日は一緒に入ってくれるの?」
しかも、かがみこんで、
こんなことを聞いてくる。
その瞬間、僕は彼女に向かって微笑み、
バタンッ!
扉を閉める。
「えっ!
なんで、なんでなのユウくんっ!
一緒に入ってくれるんじゃないの?
お姉ちゃんが身体洗ってあげるから、ねえったら!」
「・・・・・・。」
僕はドアノブを押さえる。
・・・そうだった・・・すっかり忘れていました・・・。
そういえば彼女がいるんでした・・・。
彼女の名前は
美咲 奏、旧姓、正木 奏・・・・現在の僕の姉です・・・。
僕の母が亡くなって、
十数年、
やっとのことで、親父が再婚した相手の菫さんにいた連れ子・・・。
彼女は見てのとおり美人で、
微笑みはものすごい破壊力。
たぶん、学校でもモテるんじゃないですか?
実際、僕も再婚の前に何度か会ったときは、
綺麗で優しそうな人で良かった
とさえ考えていました・・・なのに・・・。
「よし、やっと開いたっ!」
っ!?
油断したっ!
「ユウく~んっ!」
全裸の彼女に抱き着かれる。
スリスリ。
「ねっ、入ろ♪
身体洗ってあげるからっ♪」
僕に向かって甘くささやく。
その瞬間、
若干の逃げ道ができた。
チャンスッ!
僕はそこから駆け出し、
ダッダッダッ!バタンッ!
自分の部屋に逃げ込んでいた。
「・・・・・・。」
今のでわかったんじゃないですか?
彼女は僕の世話を焼きたくて仕方がないみたいなんです・・・。
彼女はもともと一人っ子でそういうことに憧れがあるのは、
再婚前の話し合いで聞いて知っていましたけど・・・
・・・ここまでとは・・・。
「ねえ、ユウくん、ユウくんったら・・・。」
・・・こんなことなら・・・こんなことなら反対しておけば・・・。
そんなできるはずもないことを考えつつ、
僕はいつものように頭を抱える。
・・・これは僕と世話を焼きたい姉の物語・・・。