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 いや、この際それはどうでも良くて…いや、そんなことはないかもだけど…何とかしてこの子を救ってあげたい…。だって、元はと言えば僕が存在したからこの子はタコ殴りになってしまっているのである。


 僕が死ぬのは構わない。だって、誰も困らないから。むしろ歓迎するから…。だけど、それに関係ない子を巻き添えにはしたくない…!この子は悪いことをした?少なくとも、見ず知らずの赤の他人を体を張って守るなんてことは物凄く勇気があって物凄く正義感があって…少なくとも悪いことじゃないはずだから。自分より他人の為に動ける子なんてそうそういないと思うから。むしろ、こういう子こそ生きるべきだと思うから!


「逃げて…僕は良いから…お願い…」

「だ、ダメな…んです!見殺…しには出…来ないん…です!」

「ほら、その子も言ってるよ?君のために良くないよ。」


 くっ…僕が助言を出すと、連中が自分の都合いいように解釈してくる。僕が強引に立ってあの子の前に立つと言う方法もあるけど…体が動かない。既に体力はない。周りは僕の血の海。貧血状態だからどっちにしても…。


 いや、最終手段があるじゃん!だ、だけど…それを使えば僕はまた化け物レッテルを貼られる。い、いや…すでに貼られてしまっているけど。だけど、この子は僕のことを知らない。僕が本気を出したら彼女はきっと怯える。彼女も化け物扱いしてくる…そしたらまた裏切られる!


「い…痛いで…す!や、ダメ…なんです!」


 ち、違う…。別に化け物ならそれで殺されるだけ。少なくとも彼女は助かる!それでいいと思う。僕の目標はあの助けてくれた女の子を助けること…。元々僕がいなければこんなことにはならなかったはずなんだから、せめてあの少女は助けないと…!もうこれが僕の存在価値でいい…わがままは言わない。せめて最期くらい生きる意味を教えてください…!


 封印していた能力を解禁します。とは言っても、今まで使わなかっただけで使おうと思えばすぐ使える状態なんだけどね!僕の体にどんどん力が流れ込んでくる。傷は癒えない。だけど、立てれるようにはなる。瀕死でも、体力を周りから吸い込めば立てるようにはなるから…うん。


 体は重いけど…強引に立ち上がって少女の肩を掴む。女の子は驚いて僕の方を向く。彼女の身長は僕より頭一つ程度小さい。でも、その顔は滅茶滅茶可愛かった件!いやいや、この状態で何考えているんだ僕は?!


「だ、大丈夫ですか!怪我はありませんか!」


 見ればわかるでしょ?!どういう状態か!


「い、一応大丈夫。後は僕が…」

「嘘です!血だらけなんです!顔色真っ青なんです!」

「だ、大丈夫。…僕の後ろに隠れてて。」


 女の子の前に強引に立つ。連中も立場が変わったのを見て一瞬だけ止まる。


「お?ようやく出てきたかバケモン!そんな子に守られる気分はどうだ?」

「それで良いよ。ささ、君もこっちにおいで。若いうちに実戦用の魔法を見る機会は少ないから良い勉強になるよ?」

「何言ってるのよ?化け物退治邪魔したのよ?化け物葬ったら次はそのガキの番よ!」


 こ、こいつら…なんなの?!この子も僕のようにタコ殴りにしようとしてるの!この子は何もやっていないはず!少なくとも僕を守った行動は悪じゃないはず!


 僕の中のモヤモヤが形になりつつある。彼女を守らなければならない!しかも一時だけじゃダメ。永久的にしなければ…例えその結果、守った張本人に殺されることになったとしても。今の僕なら出来る…奪った力に実現できる物が丁度あったから!


「じゃあ、さっきの続きで…」

「ユルサ…ナイ…」

「あ?なんか言ったか?」

「ちょっとちゃんとした言葉喋ってくんない?あ、人外だから言葉も喋れないんだっけ?ごめんね、気遣いできなかったわ!」

「ミズハ…落ち着いて…目の色…変わっている。」


 アカネさんが久しぶりに口を開いた件。もう僕自身自分を制御できなくなっているから落ち着けるわけないじゃん!というより貴女も同罪。


「うわー目が水色に光っているわ!これこそ魔物の証!正体を現したわね!化け物退治よ!」

「おう!」

「僕が人外ならそれでいいけど…関係ない子を巻き込むのはユルサナイ。イマスグツグナッテ…。」


 僕が頭の上を意識すると、頭の上に数センチの黄金に輝く光球が現れた。もちろん無詠唱。そんなの当たり前。え?当たり前じゃないって?そんなの知らないよ!


 光球の大きさは大体3cmくらい。え?単位がおかしいって?だって本当にそれぐらいちっちゃいもん!意識してその光球を前へ押し出すようにすれば奴らの方へ飛んでいく。


「なんだいその魔法は?魔法の実戦練習するつもりあるのかな?」

「そんなの俺の投石で秒殺だわー!本当にこいつ化け物なのか?」

「馬鹿ね。そんな魔法はじき返して私たちの魔法で燃え尽きればいいのよ!」

「た…助けて…」


 3人が僕の魔法を馬鹿にしながら、1人は怯えながら反撃してくる。アカネさんはこの魔法を知っている。前話したことがある。強力すぎて使うタイミングなくね?!って当時は笑いのネタに使っていたからね!実際、今日が最初で最後だと思う。こんな人外魔法目立つから使えない!


 この光球に魔法が当たっても石が当たっても全て吸収してそのまま彼らの元に向かっていく。


「なんだこの魔法?壊れねえぜ?」

「平気よ。どうせそんな強くないわ。そんなちっちゃい魔法握りつぶっしゃってよ!」

「あいよ!」

「だ、駄目…!触ったら…」


 この魔法の特徴は見かけがショボいこと。そして発動条件は生き物に触れること!規模は使用した魔力に依存する。今回はまあ、見ればわかる。そんなことすら知らないマコト少年は光球に触る…そして、音もなく爆発した!範囲は丁度4人を巻き込む形で…。


「あー、これで良かったのかな…。」


 そして無理した僕はそのまま倒れた…意識も一緒に…。

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